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Sheet5:プロパティ

「メッセージを潜ませたクイズ…そんなこと出来るんですか?」貴美代が薔薇筆を凝視する。

「重要なのは、クイズを解いた人にとって、元カレ以外には何の変哲もない正解であること。反面、彼にはあなたからのメッセージだとはっきり分かること」薔薇筆は淡々と語る。

「伝えたいのは貴美代さんがまだ彼の事を想っていて、やり直したいってことだよね」アキラが念を押す。貴美代は頷く。


薔薇筆は天井の何もない空間を見上げていたが、ゆっくりとアキラとエルに目を向けた。

「やっぱりアナグラムですかね、ちょっと癪ですが」薔薇筆は以前東京のイベンターが作ってきたクイズに引っ掛けられた事を今だに引きずっているようだった。

「『ウワダキミヨ』、『ウワダキミヨ』…『ウワキダミヨ』、『浮気ダミよ!』」エルが勝ち誇ったように言う。

「エ、エル、『ダミヨ』って何だよ」アキラが笑いながら言う。「ちょっと面白いけどさぁ…あー貴美代さん、ゴメンね悪ノリだよね」

「いえ…実は彼と喧嘩した時、私が他の男性と仲良くしてたのを『それは浮気だよ!』って彼が怒ったんです。だから良くも悪くも私の事を連想するかもしれませんね」貴美代が言う。気分を害した風ではなかった。

「じゃあ、別れた彼女が残した暗号という体で進めて、答えのワードをそうしますか」薔薇筆が言う。「エルさん、どうでしょう?」


エルはPCを少しいじった後、薔薇筆に問いかける。「ねぇ薔薇筆さん、アナグラムもいいけど直接シンヤさんにだけ違うメッセージを付け足せばいいんじゃないかな?」

「うん、それが出来れば…えっ、シンヤさん?」薔薇筆が目を丸くする。

「私、彼の名前言いましたっけ?」貴美代も不思議そうにエルを見る。

PCを覗き込んだアキラが言う「あー、プロパティね」

貴美代が持ってきたエクセルファイル。そのプロパティの詳細には作成者として『shinya_p1』とあった。


「そっか、プロパティか。でもこれ会社で作ったファイルでしょ?自分のPCが退職した職場のと同じ名前ってないんじゃ?」薔薇筆が言う。

「たぶん会社で彼が使ってたPC…今は私が使ってますけど、彼の名前じゃなかったと思います」貴美代が言った。

「恐らく元から自分のPCで作ったんだろうな。コンプラ的にはダメダメだけど」アキラが言う。貴美代がこのファイルを社外に持ち出している時点でお察しだが、それを言っちゃおしまいだ。


「なるほど」薔薇筆もお察しの事情には触れず話を進める。「彼のPCがこの名前だったら、どうやって特定できますか?」エルに尋ねる薔薇筆。

「Environ関数っていうのでユーザーネームを取得できるよ。あぁMacだとダメだけど…」エルが貴美代を見ると「彼のPCはWindowsです」と言った。エルは続ける。

「クイズのファイルを開いた時にこの関数でユーザーネームを調べて、シンヤさんのだったら最後のメッセージに一言付け足す。何なら貴美代さんの名前だけでも通じると思うよ」

「分かりました。それなら今作ってるクイズにちょっと手を加えるだけで出来そうです。来週から公開しましょう。あぁ今日に限ってPC持ってきてないんだよなぁ」薔薇筆は早く取り掛かりたくてウズウズしている。


「皆さんありがとうございます。来週から毎晩通います」貴美代が言うとアキラが「彼が来たら貴美代さんの気持ちは伝えるか、こっちから連絡するからわざわざ毎晩来なくてもいいよ」と言った。彼が来店しても「余計な事はしないでくれ」ってクレームを付けに来ただけって可能性もあるからだ。


翌週。

クイズを公開した翌日、彼は現れた。

一人の女性を連れて。

以下は現在のユーザー名をメッセージボックスに表示させるマクロです。

※作中にあるようにMacでは使えません。

※自己責任で使用してください。


Sub GetCurrentUserName()

Dim userName As String


' 現在のユーザー名を取得

userName = Environ("USERNAME")


' 結果を表示

MsgBox "現在のユーザー名: " & userName

End Sub

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