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10話 舞

舞は、高校に行って新しい生活をして、空のことを忘れようと思っていた。


でも、栞は時々メールをして来ては

空とのことを書いてくる。

―――空の家に行った…

―――空とキスした…

―――空と結ばれた…


それを見るたびに、舞は苦しくて仕方なかった…

もう、忘れたいのに…

栞が、空のことを忘れさせてくれなかった…


それでも、頑張って高校生活をエンジョイしたかった。

舞は、体育祭や文化祭…行事があると

人一倍頑張った…

そんな、舞をみて…告白してくれる男子もいた。


でも…どうしても

誰かを好きになれる自信がなくて…

付き合うことが出来なかった…


舞は、自分から栞に連絡しないようにしていた。

そうしたら、そんな舞の行動に気が付いたのか…

いつの間にか、栞から連絡が来なくなった。

別に、栞のことは嫌いなわけじゃない…

でも、ただ自分が苦しかった。

これ以上、栞と空くんのことを聞きたくなかった…


舞は、大学に行くことにした。

一生懸命、勉強して地元の大学に行った。

それを機に、電話番号も変えた…


舞は、大学生活が楽しくて仕方なかった。

新しい世界…

新しい友達…

何もかも忘れて…前を向こう。


そして、同じゼミで仲良くなった1歳上の先輩に告白された…


「俺、舞のこと好きなんだ…舞は忘れられない人がいるって言って誰とも付き合おうとしなかったけど…俺が忘れさせてやりたい…だから、試しに付き合ってみないか?」


彼は、そう言ってくれた…


好きかどうかも分からなかったけど…

好きになる努力しようと決めた。


「ありがとう。よろしくお願いします」


その人は、舞のことを優しく扱ってくれた。

舞のことを必要としてくれた。

誰かに必要とされるだけで、何か安心だった…


付き合うということを初めて知った。

彼と、色々な所に一緒に行った。

たまには、喧嘩をすることもあったけど…

いつも、彼から謝ってくれた。

彼といると、穏やかな気持ちになれた…


彼が好きなのかどうかは分からなかったけど…

彼が、いなくなると思うと…寂しい気持ちになった。


でも、そんな優しかった彼が

就職してから、少しずつ変わっていった…

仕事が忙しいのは分かるけど…

会っても、なんだか冷たい…


そんな状態が半年ほど続いて…


久しぶりに会った彼から…


「別れて欲しい…」


そう言われた。


「なんで?私のこと嫌いになったの?」


「そうじゃない…でも、好きな人ができた…」


「そうか……職場の人?」


「うん……。舞は俺のこと好きじゃなかったろ?彼女は俺のことを本気で好きだって分かるんだ…」


「そうか…わかった。」


「元気でね…さよなら」


そういうしかなかった…


こうして、3年間の彼との生活が終わった…

でも、不思議と悲しくなかった…

私は、3年一緒にいても、彼のことを好きにはなれなかったのかもしれないな…

そんな態度が私に出ていたんだろうな…

彼が嫌になるのも、仕方ない…


私は、どうしたら人を好きになれるんだろう…



電話番号を変えたから、栞からは連絡は来ない…

空くんのことも、まったく分からない…

病気をしてから、5年以上経つけど…

大丈夫だろうか?

再発してないだろうか?


思い返せば私は、ずっと会っていない空くんを

いつも探していた気がする…

空くんに似た人を見ると、ドキドキしていた。


やっぱり…私は、まだ空くんのことが忘れられないのかな…



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