砂漠に軟禁 ロミィSide(2)
「アルベルト、諦めが悪いわ」
「本当に、ロミィさまのおっしゃる通りで。やってしまったことはもう元に戻せないのですよ」
「ジャック、お前までよせ。元に戻せる方法がないのかは、最後まで分からないんだぞ」
私はゾッとした。
うっかりするとブルクトゥアタの力を知られてしまって、少し過去に戻ってディアーナ姉様を失わないようにしたいとか言い出しかねない。
「出発前に星空を見て、ここでもし休暇を取ったら、一生忘れられない日々になりそうとおっしゃっていませんでしたか?」
アダムがすかさずジャックに話を振った。アダムもアルベルトの執着心に恐怖を感じたのだろう。
「ああ。そうか!その休暇が今急に取れることになったということか。素晴らしいな」
ジャックは目を輝かせて、うっとりした表情になった。アルベルトの参謀のジャックは、心労が尽きないだろう。ゆっくり休めば良い。
「寝台車の旅もお前は気に入っていたと思うが?」
「そうですが、ここの邸宅は摩訶不思議な魅力に溢れていますから。あぁ!ユーリーを忘れてきました。大変です!」
「大丈夫だ。フェリクスがいる」
「そうでしたね。フェリクス様なら大船に乗った気持ちで、ユーリーを預けられます」
「俺より、か?」
「まーた、そんなことを聞いて。聞かなくても答えは決まっていますよ。その通りです!」
「本当に口の減らない奴め」
私の心配をよそに、アルベルトとジャックは戯れ合うように話をしながら、執事のレイトンたちがいる居間に歩いて行った。
私がブルクトゥアタとバレてからは、イボンヌは私の父をコケにするのはやめてくれた。新聞の第一面に、かっこいいと大評判のルイ兄様と私が一緒に挿絵で登場してからは、少しは見直してくれたようだ。
だが、相変わらず体育の授業でいかに自分が大活躍できたか、私に言いたくてたまらないだろう。私は小学校が懐かしかった。私は反省しなければならない。自分がロクセンハンナ家一の頭脳派と自負しながら、実は危なすぎる、ただのバカなのではないだろうか。
「計画は失敗ね」
私がつぶやくと、ダニエルに気づかれないようにそっとルイ兄様が「ディアーナは無事だ。心配するな」とささやいた。
「そうだ、ロミィ、失敗したと決めつけるには早すぎる。僕は過去の生物を間近で見れて、最高だったんだ。ロミィのおかげだ」
アダムは私にそう言って笑った。
「この不思議なアダム・スペンサー邸宅でしばらく過ごそう。父上には挙式までには必ず帰ると伝えてあるから、挙式の準備は進んでいるはずだ」
ルイ兄様は誰がどのベットで寝るかを決める部屋割りの戦いに参戦するために、執事のレイトンたちが待つ居間に行った。
「アルベルトのやつはディアーナの部屋と同室を主張するだろうから、断固却下しなければ」
ルイ兄様はそうぶつぶつ言っている。
私は自分がやろうとしていることは果たして問題ないことなのか、もう一度振り返ってみなければと思った。イボンヌよりも私はバカかもしれないと初めて自分のことを思った。
「ロミィのせいではないけれど、ディアーナ姉様を巻き添えにしたのは僕ら3兄妹の問題だ」
アダムはそう言って、ルイ兄様の後を追って行った。
とにかく、本当にディアーナ姉様が死を回避できたのなら、私は謝らなければならない。
アルベルト以上の自惚れ者は、今までの私かもしれない。




