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砂漠に軟禁 ロミィSide(1)

1867年6月25日、過去から戻ってきたロミィたちは砂漠のアリス・スペンサー邸宅で。

 絶滅した恐ろしい生物の世界からアリス・スペンサー邸宅に帰還した私たちは、客間の八芒星の中で気を失っているディアーナ姉様に気づいた。


「ディアーナ!」

「ディアーナさま!」

「ディアーナ姉様!」


 私たちの叫び声に気づいた執事のレイトンやテレサやミラも駆けつけて、大騒ぎになった。


「お嬢様っ!」

「まぁ、なんてことお嬢様っ!」


 ディアーナ姉様は息をしていた。


「大丈夫だ、眠っているだけみたいだ。気を失ったのかもしれない。力を使いすぎたんだ」


 落ち着いた様子のルイ兄様は、にっこりして皆に報告して、ディアーナ姉様をそっと客間のベッドに運んだ。まるで初日に救われた時の、あの時のように。


 ディアーナ姉様が回復するまで、私たちはアリス・スペンサー邸宅で待つしかないため、皆で数日灼熱の砂漠の中のこの快適な邸宅で過ごすことを覚悟した。ディアーナ姉様がいなければ、砂漠を一瞬で超えていけない。


 私はイボンヌに当分会えないことを残念に思った。


 ――イボンヌったら、きっとまた体育の授業で一番になったと得意げになっているわ。でも、ディアーナ姉様が無事でよかったわ。私が元々がやりたいと言い出したしたヤバい計画に巻き込んでしまって、本当にごめんなさい。


 ――あのディアーナ姉様が寝込むほど力を使うなんて、思わなかった。結婚式はまんまと1週間後に設定できたけれど、果たして間に合うかしら?


 私が星空を見ながら膨れっ面で考え込んでいると、横にダニエルがやってきた。ルイとアダムもだ。


「さあ、隠しごとを全部話すんだ」


 ダニエルは私たちが隠しごとをしていることに気づいた。だが、『時を操る闇の禁書』がこのアリス・スペンサー邸宅にあるとは口が避けても言えない。


「一つだけ俺がみんなに言えるのは、俺たちは一度失敗したんだ。戻ってきた時に、ディアーナが亡くなった。今回は修正してやり直しているんだ」


 ――亡くなった?死んだってこと?


「飛ぶ長椅子の伝説を体現する、8代ぶりに生まれた魔法の長椅子の操作者で、ブルクトゥアタと呼ばれる特殊な能力の持ち主である君が、運命を修正したとでも言うのか?」


 ダニエルは眉を顰めてルイに聞いた。



 ――私のせいだ。私が頭脳派と息がって、自分の危険な思想のためにディアーナ姉様の力を利用しようとしたからだ。


「大丈夫だ。ロミィ、泣くな。ディアーナはなんとか命をとりとめたようだから。ただ、しばらく時間はかかるだろう」


 そこにアルベルトが割り込んできた。


「あぁ!俺の大事なロミィを泣かすな。俺がロミィの長椅子に乗ってやってきたことにまだ怒っているのかっ、この若造!ロミィは悪くない」


 アルベルトのやつは事情もわからずに口をはさんできている。彼は勘違いをしている。


「違う、これは私が」

「いやー、あなたのお噂はかねがね聞いていましたが、これほどまでにディアーナのことを愛してらっしゃるとは存じ上げませんでした。予想以上です。ただ、それなのに、とんでもない裏切りをやらかしたことはひどいですよね」


「だ……だめだ。子供の前で言うなっ!」


 私が思わず本当のことを言おうとすると、ルイ兄様は割って入ってきた。アルベルトは慌ててルイ兄様に最後まで言わせないようにした。


「……いつまでそのくだりやっているのよ。ジャック!エイトレンスの王太子は諦めが悪すぎるわ」


 私は涙声でジャックに助けを求めた。ディアーナ姉様が死にかけるほど大変な時だというのに、その原因は私にあると言うのに、アルベルトもルイ兄様も呑気過ぎる。


「はい、本当に事態を分かっていなさすぎて、俺もほとほと手を焼いています。すみません」


「何を言う、ジャック!本当に口の減らない奴め。しかし、不思議だな。こうなることをまるで予見していたかのように、このアリス・スペンサー邸宅にはかつて無いほど食料がたっぷりあるそうだ。数日は何の問題もないとレイトンもテレサもミラも言っていたぞ。アメリカで製氷機の特許を取ったやつがいただろ?あの仕組みを応用した冷蔵庫もここにはあって、冷やすことで食料が痛むのを遅くできるらしい。一体どういう仕組みだ?君は見たか?」


 アルベルトはルイ兄様に聞いている。


「太陽光発電を使って電気を起こしているとか言っていたような」


「うわー、暑いこの太陽を利用して?すごいな」


 ルイ兄様とアルベルトは意外に普通に会話できている。


「ザックリードハルトの宮殿を出発する前に、ディアーナがフェリクスに言っていたんだ。アリス・スペンサー邸宅には食料をたっぷり用意していますから、数日戻らなくても全然平気なんですよってね。俺たちがすぐに戻らなかったら、大騒ぎになるだろう?でも、こうなった今、弟のフェリクスは食料はたっぷりあるから大丈夫だと周囲に説明してくれるはずだ」


 アルベルトはペラペラと話し続けた。


「ここに閉じ込められたということは、若造の結婚式までの間は俺がつきっきりでディアーナの看病をするチャンスができたということだ。ハハッ、若僧。お前、俺に取られるぞ。俺はまだ全然諦めてないからな」


 アルベルトのやつは、相変わらず氷の貴公子にそぐわない執着心をあらわにした。美貌が増して迫力すらある。11歳の私ですら、アルベルトが超絶的な美しさを兼ね備えていることは認める。だが、それでは困る。



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