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エピローグ。
あのちょっと怒りっぽいルエという娘がなんとか無事に帰れてよかったということが、しばらくしたらセテアが貰った手紙でわかったので、俺はホッとした。
しかし、なぜか負に落ちないところがあった。
それは榎間奈津美と閻魔大王が関係あるのではというくだらないことだ。
俺は閻魔大王が大嫌いだ。
俺が死んだ直後、俺は天獄裁判にかけられて、手強い上に俺以上の俺様感が出て、何しろ、威圧感がすごいある。
「なぜダリネは800人以上殺したのか、罪を償え!」
「お前は地獄逝きだな!
国を変えるのだというのは建前だ。
本音は国を全うに支配したいからだな」
こいつは頭に来る。
俺だって、生きている間はすごい良いことをしたのに。
例えばメフィレスという国を有名にしたとか、住みやすい国にしたとか、貧しい住民に手を貸したとか、外交に協力したとか。
800人殺しは1500年戦争で、仕方がなく自分を守るために、誤って殺したのに、この閻魔大魔王は何もわかっちゃいない。
俺が生前にやった悪いところばかりつっいていくのだ、この閻魔大魔王。
そういや、あのルエって言う子に日本人だから、また余計に日本に興味を持ってしまったじゃないか。
テレビを日本のテレビ番組へと回す。
宗教団体が介入しない限り、テレビ番組は物体界よりもちょっと放送が遅れるが、どこでもいちおうはテレビ見放題だ。
そしたら、回したら、丁度、日本のテレビドラマで銀行員が「100倍返しだ!」と言っていたので、それにピンと来た。
「お、おい、セテア、俺、散歩行って来るわー!」
俺は洗濯物を取り込んでいるセテアにいちおう伝言を入れておいて、なんとかあとで治って復活した地区10年の木造家から出たのだ。
「ふっふふふ、あの“えのま”って言うヤツ、俺にも気に食わん。
アイツに恥欠かせないと…!
えのま大魔王め!ふっふふふ!!
ルエちゃんに可愛そうだからな!
タイミング見計らって、“あいつ”に100倍返ししようっと~!」
そこは地上の日本だった。
犬が犬小屋でスピースピーと寝ている。
生前のルエの飼い犬のアティだ。
今は通夜葬式、49日がを終わって、またいつもの日を取り戻そうとしている小野崎家。
天空から覗き込んだ俺はアティに向かって、「エテアーデ、コフデューデ!」と放ち唱えた。
すると、アティは起き上がり、興奮してしまって吠えるでないか。
そこに榎間奈津美が登場!
なんとなく通りすがりだった、榎間は「げっ、ここはまずい!」と思ったのか避けようと、別の道へと通ろうとする。
だが、背後から暴走したアティが、ものすごい勢いで榎間の頭を叩きつけて、そして、何事もなかったかのように忍者のように自分の家へと戻る!!
「今の何!?」
榎間は何事かと思ったら、それはなんとスカートが広げられる。
「あら、いらしい子だねー、お嬢ちゃん。」
欲望で興奮したお年寄りのおじいさんたち、おばあさんまでもが「あら、まー」と唖然としているではないか。
スカートの中が周りに見られてしまうハプニングが発生!
“やったぜー!”
俺は予想通りの榎間の失態に喜んだ。
まあ、あいつのスカートの中なんて全然興味ねーけどな!
榎間はあまりにも赤面になってしまい、逃げようとする。
しかし、そこでパトカーが現れ、警察が現れる。
「榎間奈津美だな、例の件知っているな?
自殺、事故と見せかけて、お前は小野崎ルエをイジメたということの真犯人だ。
お前にはいろいろと事情聴取を受ける件がある。
来なさい。」
「えええー!?」
「そうよ、この子よ、私の可愛いルエをイジメたのはこの子よ、お巡りさん!」
ルエの母親が自宅から出てきて、榎間に向かって指をドンと指す。
その後の榎間はどうなったのかはわからないが、少年院でも入ったんじゃないか?
それをこっそり見ていたセテアはあとで飽きられていて、怒られることになってしまった。
「いくら、テレビドラマのマネだからって復讐はよくないですよ!」
「ごめんよ、セテア」
セテアのお説教が3時間くらいも続いてしまった。
しかも、その翌日の家事は俺がやるハメに。
「閻魔大魔王様、アイツどう思うでしょうか?」
閻魔大魔王に着きそう、神官たちがダリネを見ていろいろと審議を問う。
もちろん、閻魔大魔王もその様を見ていた。
「全く、あいつはいつになっても子供だな!」
「そうだ、今度は世界で一番有名なあのアイドルの魂をダリネの元へと送り込んで、アイツを悩ませよう」
「閻魔大魔王様も、それこそ子供ですよ」
「なんだと、お前らも仕事せーい!」
「はっ!!」
閻魔大魔王はガミガミと神官たちに怒る。
これで一件落着したが、またダリネに問題が降りかかろうとする。