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ダリテア・スピアーズ  作者: らーじ
6章
64/73

6-4

 一方でダリネたち、地獄では……。

 罪として刑でキツい働きをしている人間、それを見守る警守の人間と鬼や魔物たちの他に本来ここにはいないはずの外来種の禍々しい悪魔たち……おそらく魔界からやってきたのであろう侵入者たちがとうとうこの地獄全域にも襲ってきたのだ。


「ぐぬぬ、この逢ヶ魔時に待ちに待ったとあいつら(魔界の悪魔たち)が嬉々として大量にこのろくでもない地獄にもやってきたか!

 囚人たちや住民(人間、鬼、魔物)は一時避難待機するように!

 そして我ら警守員も民たちを一同で協力して安全な場所に避難誘導するように。いざ悪魔たちに襲われそうになったらトランシーバーで連絡しながら自分たちの守りをし協力連携で奴らを攻撃して叩きのめすこと。

 万が一、危なくなった民及び仲間たちのことを最優先にして考えながらそのときは死守するべき!」


 地獄灼熱5階層の管理をしているトップ総の警守官ザヒーはその場にいる者全員に命令判断を下した。


 ダリネやアイシャたちもうかうかしていられない。

「お前達は生憎ながら汗だく垂らしながら働いている囚人たちよりも戦える身だ。

 我ら警守たちに力を貸してもらおう!」

 と、二人の前に立ちはだかる黒スーツでいかにも威厳ありそうな一人のやや若い鬼の警守官に場を制された。


「いいじゃろう!

 ただし、俺様が非常に大事にしている兄妹であるトヘクとビレンの身柄は俺様たちの手で護る!

 お前らじゃ信用にならねーんじゃ!」

「なっ!」

 鬼警守の手を素早く振り払うアイシャ。


「ダリネ、お前も急いで俺様に付いて来いじゃ!」

「ああ!わかった!へへっーだ!」


「こら!鬼の話を聞け!!」

 鬼警守が慌てると、ダリネとアイシャは好戦的で得意気そうに笑って、この場から尋常じゃないスピードで立ち去って、目的の場所、トヘク兄妹のいる家へと向かうのだった。





「トヘク、ビレン、無事じゃか!?」

 アイシャが激しく家のドアを開けると、そこには残念なことに普段見もしない黒い影がぽつりぽつりと表していた。

 ダリネとアイシャはこの家に着くまでも多くの悪魔を倒していたので、少々疲労はしたものの、まだ疲れきれていなかった。


「兄貴たち、やっと来てくれたっすね!頼もしいっす!

 避難指示命令が出る前にこっちは悪魔たちがすぐさまやってきて、俺が相手にするので精一杯だったっす。

 もうちょっとで兄貴たちがこの時間まで来なかったら、妹ともども倒れていて本当にピンチだったっす!」

 トヘクが、普段ここに住む鬼や低級魔物(この地獄ではスライムやゴブリンなど)を周囲で撃退しているときに使っている、いかにもいびつで長くて危なさそうな巨大鍬で、今回はそれらよりもサイズが巨大な蝙蝠、骸骨ゾンビ、虫、そしていかにも魔界から来た独特な雰囲気を持つゴーストや黒や紫などのいびつな翼を持つガーゴイルと言う悪い魔物たちを相手に全身汗をかきながら戦って打ちのめしていたところだった。


 その一方で、トヘクの妹のビレンはと言うと、

「ふええええ~~~ん!!怖いよおおおお~~~~~!!」

 悪魔たちに見つからず、兄の近くのソファの影で毛布に包まりながら身を隠して、一安心ついたところで、やっと大声で泣きじゃくってしまっていた。



「すまなかったのう、トヘク。ありがとう、ビレンの身を守りながら戦ってくれて」

「いいえいいえ。いつもの調子なので」

 余裕で鼻をすすったトヘク。


 しかし、安心したのもつかの間、今のビレンの大声で悪魔たちは彼女の隙をついて距離を素早く手前に縮めてきたのだった!!


「あぶねえ!!」


 ダリネが間を入って魔術を放つと、悪魔たちは一気にびびって退いた。

 が、庇ったはずのビレンは涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔どころか、その間に奴らからかすり傷を食らってしまったのだった。


「ふえええん!!痛いよおおおおお!!痛かったよおおおおお!!」

「大丈夫か!?ビレン!!」

 トヘクは血の気が引いて思わず、すぐに大切な妹に駆け寄る。他の2人も心配そうな顔を浮かばせるのだった。


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