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自分の家を出てから、3.8キロメートルの橋を渡りそうでその渡った先には緑豊かな森林がある。
ダリネは朝早くからマッハで走ってすぐの橋の前で止まった。
久しぶりに見かけた大物が橋を渡ろうとする先に待ち構えていたのだった。
そいつがダリネめがけて超速スピードで大きい鎖斧と言う名のギガモーニングスターを脳天目掛けて投げつけようとする。
しかしダリネは余裕にそれを手のくるぶし辺りで止めようとするのだった。
「ちっ………!」
目掛けて狙おうとしてきた奴―――、それは狼のような長身の何もかも含めてが大きい赤髪の女らしき姿が立ち尽くしていた。
「へへっー!ひさしぶりだな。アイシャ!やはり予想通りその場所から目掛けてきたか。笑うわ!」
ダリネは口をにやりとつって笑みを浮かべて、アイシャと言うダリネのあの守護霊戦士である。
「くそ、俺様の行動が読められたか。さすが成長したようじゃのう」
「ひひっ。こっちも守護霊様に負けず劣らず長生きしているのでな!」
「ふむ、では俺様に付いていくのじゃ」
そして、ふたりは天国と地獄を紡ぐゲートホールを通して、地獄の開門へとくぐるのであった。
*
足を踏むだけでも、クソみたいな吐き毛がする匂いがきつい地獄には本当は嫌だったが逢魔が時をなんとか防ぐための試練のためには仕方がない。
ここは荒れ果てた地獄の地の灼熱5階層の目玉の147門塔が圧巻して立つ場所へと来た。
そこにはその罪に相応しい犯罪者やその者たちを働かせる魔物でごった煮返していた。
「この地は放火魔や強盗などで人を強制的に上層階へと試練を強制終了させた重い罪のものたちが足を運ぶんだが、お前達もやはりそのようだな」
「へい、本当にこいつとふざけて山火事を出すんじゃなかった」
お仕置き兵鬼悪魔たちに連れられたのはちょうど罪を犯して閻魔の方の裁判で判決を突き付けられた20台半ばの若者二人だった。
その二人の背後にとっさにささっと来たダリネとアイシャ。
「ここは相変わらず酷い地帯だ」
「お前が地獄堕ちでここの刑で罰を受けていた頃が懐かしい」
そして二人はアイシャの家へと赴く。
「兄貴、お疲れ様!」
「兄者、今日の飯の収穫は?」
147塔を駆け抜けた木がちょくちょくある台地の付近の家に足を踏み入れたダリネとアイシャの2人に、二人の兄妹が寄ってたかってきた。
「おおっ、お前らが期待していた通り、見張り目のダリネを連れてきたのじゃ!」
「ダリネ兄貴!
久しぶりっす!
兄のトヘクっす」
ツンツン黒髪頭でおでこ丸出しで元気の良い背丈が今にもダリネに追いつこうとしているアイシャに従う兄。
「これが妹のビレン」
そそくさ出たのは地獄でもへっちゃらそうな背丈が兄よりかは異常に低い黒髪ウェーブ綺麗な弓の大きな髪留めをちょこんとしている地獄にふさわしくないのになぜかいるお嬢様っぽい妹が兄の後ろ横から出てぺこりと頭を下げた。
「ビレンです。覚えていますか。
見た目は成長していませんが、料理やマナーはあれからいろいろと兄貴から教わり成長したと思います」
トヘクとビレンは本当は天国に行くはずだったが、母親と父親が強盗放火殺人で10人も魂を強制終了させたので、本来罪もなかった息子娘までもが強制的に罪をかぶせられた模様。
母親と父親は今でも灼熱地獄へと永遠に働くことになっていて、トヘク兄妹は本来は天国へ行って良いようになったものの、両親含めて、罪を犯したものを見るのは俺たち兄妹の強い役割だと使命を持ってずっとこの愚かに暑い地へと住みつくしている。
とは言うものの、好き好んでここで強くなろうとしている血のつながっていないアイシャが兄妹にし好きで応援したいと思っているのである。
アイシャは本来、男であったが、未来で裕福な医者の家庭へと生まれたのに、父親が多額の賄賂で自分もその金でやりたい放題やって、しまいには多くの人を強制的にあの世送り、親とともに医者から政治家へと転身してクーデターを引き起こして悪いことばかり起こした罪で、父親の方は魂抜きの5000年の刑と、息子は女両性者になる呪縛と掛かってしまう。
その息子であるアイシャがなんでダリネを守護霊になったのかは、遠く遠く大昔の仲間だったからであった縁である。
「俺様がぐれていた頃、後から地獄堕ちへとされたお前に精神を快心させられ、俺様もそのお礼をしたくてときどき守護霊をやらせてもらっているのじゃ」
地獄産の赤ワインを当たり前に飲むアイシャはははっと笑ってダリネに話しかける。
「お前の前の生まれ変わりのバルデンは元気か?」
バルデンはダリネの二つ前の前世の惑星に住んでいた貧乏貴族。
「俺はあのとき知らなかったけど、お前って俺の実の弟だったとはな!!知らなかったよ」
そこで激震が走る!
「何が実の弟だ!!
お前はいいけど、強制的の謎のダークホールによって未来を彷徨って罪を着せられた俺の身になってみろ!クソ爺ダリネ!!アホ死ねや!!」
飲んでいたワインを怒って床に叩き落したアイシャだった。




