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それは、高校の頃に入る―。
私は偏差値がそこそこある進学校に入って、友達は出来なくても、1人でいることを貫いて頑張って大学進学のために1年から勉強することを頑張っていた―。
しかし、ある帰り道、電車の中でだった。
妙に3人で騒いでいる子たちがいた。
電車の中だというのに、他人の迷惑をも考えずに―。
「あはははー。その話、超ダッセー!」
「ウケるわ~!」
「本当っ~!」
大声で喋り出す3人を思わず誰かと直視しようとすると、それは金髪パーマにミニスカートと、チャラチャラ容姿で、さらに目立つようになった榎間奈津美と、その連れの仲良しの親友である、鮫中たえ、犬嶋早苗の3人だった―。
私は再び恐怖に襲われてしまった。
すぐさま、目を背くが。
「誰だ、こっち見ているのは!」
榎間たち、そいつらたちが私の視線に気が付く。
私は急いで逃げるが。
「あ、あの髪型はっ!
まさかの久々のあいつだぜ!
追おうぜ!」
榎間が好物の獲物を見つけたかのように、チャンスを取り逃さないように、他の2人に合図をして、追うのだ。追って来るのだ!
それは電車にいる人ごみの中をかき分けてもだ、あいつらたちが必死に私を探そうとする。
“どうして―!?
あいつらも同じ方向の高校に通っているわけ―!?“
制服はもちろん違う!
でも、私は内心かなり焦りつつ、一生懸命に逃げ出す。
どこでもいいからと、急いで、目的の駅ではなく、途中駅まで電車から降りたのだった。
「ふー、よかったわー!」
と、私が一言安心しながら、汗を拭くのも束の間―、
「あ、あいつだ!小野崎ルエがあそこにいたぞっ!」
榎間の声が後方面から聴こえてきたのだ。
私はすぐさまに逃げ出す。
駅の改札を抜け、見知らぬ街へと急いで飛び出す!
信号を無視して、車の運転手がクラクションを鳴らしても、それをも無視して、どこでもいいから走り出す!
そして、あいつらをどこかで撒いたか、後方をチラチラと確認するようしながら走る!
やがて、何年もテナントをほぼ募集しているビル―、廃ビルに入る。
自力で階段を何回か入って屋上へと駆け登っていく。
屋上へと着いた際、呼吸の動きが治まらず、はあはあと息を巻き散らしながら、胸に手を当てる。
もう奴らはここまで追ってこないだろうな。
私は安心して、その場へとへたり込む。
「みーつーけーたー!」
その恐怖に震えあがる声はまたしても後方面から聴こえてきたのだ!
私はガクガクと震えながらも後ろを振り向くと、案の定、そこには榎間奈津美と、鮫中たえ、犬嶋早苗の三人が立っていた。
しかも、榎間は満面の笑みで、喜んでいて、その顔が獲物を仕留めようとする間際の目のライオンのようだった。
「おい、どういうことだよ!
どうして、アタシたちを見たらすぐに逃げるだよ!
ふざけんな!小野崎ぃー!!」
榎間は罵言を叫びちらして、こっちへとだんだん詰め寄る。
「だって…、私…」
「え!?なんだって!?
声が小さいぞ!?聴こえねーぞ!」
恐怖がおののいてガタガタと震える私とは対照的に、威圧的に責めりまくる榎間。
私は一歩一歩、後ずさると、背がフェンスに当たった。
「ふざけんな!貴様!
その態度が、どこまでもイラつかせるんだよ!」
「きゃっ!」
榎間の手が私を抜け、フェンスを思いっきり乱暴に叩く!
そしたら、そのフェンスはなぜか脆かったらしくて、壊れ剥がされー。
「わっ、わっわわわ」
私が後ろを見た瞬間、すでに足がフェンスのない向こうへと踏み外した。
そして、足でなく身体までも、7階まで登りつめただろう廃ビルから空中へと葬り返された。
直面落下―。
やがて、今までの人生で味わったことない、一番のとてつもない痛みが直撃して、私の意識はそこで途切れたのだ。
間が空き、私の意識、魂が別世界、メフィレスという国の世界へと目覚めるまでは。