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「お、俺は…」
スナレの目が覚めると、そこには褐色肌の女性がすぐさま目に入って、彼は驚いた。
「ようやく気が付いたようだね、自称天才少年君!」
「誰だ、お前は!」
「俺も知りたい。俺の名前を知っているとは、アンタ誰だ?」
「ふふーん、そんなに知りたいのかしら?
いいわ、教えてあげるわね。
アタシの名前はダウリヤ。
地獄から来た使者かな?
んでもって悪魔。
閻魔大王とは仲の悪い存在だけど、サタン様とは仲が良いのよ」
ベラベラと楽観的に説明するダウリヤ。
「悪魔か!」
スナレとダリネが同時に発言。
「みんな、残念だけどー、アタシ、時間が無いのね。
じゃあね、グッバイ♪」
と背中の漆黒の羽で空中を仰ぐと、すぐさまに消え去って行った。
「なんなんだ、あの女…」
ダリネがそうつぶやくと、セテアは黙りながら、ダウリヤの姿を見て、何かを考えている様子だった。
「あれ?私は…」
そして、ラネスも気が付く。
「ラネスちゃん、ようやく気が付いたかな」
すると、ラネスは目をウルウルしながら、ダリネに少し寄る。
「マシャムネさん、どうして、本当の名前隠していたんですか!?
やはりそうだったんですね、貴方がダリネっていう名前なんですね!」
「えっ!?
俺、ダリネって???」
そんなこと自分の口からは一言も話していないのに…。
いつ正体がバレたんだい?
「ダリネ様、あれですよ、ダウリヤさんが言っていたんですよ、ジャックというお化けと戦っていたときに…」
セテアがダリネの耳にひっそりと伝える。
“「今よ、ダリネ、そいつ、始末しちゃいなさい!」”
「あ、そうか、ダウリヤの言っていた何気ないあの一言をラネスちゃんが聞いていたとは」
「そうですよ、今までマシャムネさんって思って慕っていたのに…!」
ラネスは完全に裏切られたという顔をダリネに向けているではないか。
「ごめん、ラネスちゃん、イギリスとメフィレスは仲が悪いので、今まで黙っていて…」
頭を垂れるダリネ。
「何謝っているんですか?
私、こう見えても歴史オタクで、メフィレスのことが特に好きで、ダリネ英雄伝とい歴史ドラマを見るぐらいなんですよ。
ちなみに、うちの両親も近隣の国のドラマが大好きなので、仲良く見ていました。
悪魔さんも驚いたけど、貴方がかの伝説の英雄だと知り、なおさら驚きました~!」
と、ラネスが、興奮して熱くなってはしゃいでいる。
「おかげで、ダリネ様の戦うところもこの目に焼き付けられたし~」
「そうだったのね…。
それならよかった…」
危うくちょっと命拾いしそうになったダリネ。




