1-4
「さて、まずは今の貴方の周りの人たちを見てみる必要があるわね」
足を止められたKは再びリビングに戻り、何も置いてもいない壁を見つめる。
Kのポケットから紫水晶が出され、それを持ち、壁に向かってかざす。
その先から不思議と映像がだんだん広がっていく。
すると、そこには私の知っている人物たちが現れた。
その人物たちは私にとっては憎き人物だった…!
そこは日本のとあるハンバーガーチェーンショップの中。
ワイワイと人が賑やかに騒ぐ店に、問題の人物たちが映し出された。
「あーあ、この前はさんざんだったわ~」
いかにも目立つ金髪パーマの少女が携帯をいじりながら、ポテトをつまみ食いして、あと2人の友達と賑やかに振る舞っている。
この金髪パーマ少女は、私のことを中学高校と散々いじめていた相手―、榎間奈津美だ。
こいつのせいで、私の人生はメチャクチャになっていった。
許せない。
目も見たくない。
声も聴きたくない。
「あら、真実から目を逸らすつもり?ダメよ、ちゃんと見て」
私が映像を見ないでそっぽ向くと、Kが強引に振り向かせる。
「彼氏にいろいろと口ケンカみたいになって最悪ぅー!」
「ですよねー。」
榎間の目の前にいる同じイジメ仲間の2人の少女―、鮫中たえ、犬嶋早苗が反論もなく、したがなく同意する。
いやおうでもなくまたこの腹の立つ顔の連中と見合わせることになったか。
しかも、この高慢な態度、が許せない。
「なんだ、こいつら、この手前の女、わざとお化けみたいになりたいんだろ~?」
あのダリネも榎間のあざとい格好に目についた。
「俺はこの手の女は無理だ」
「私もですが、今の日本人ってこういう子もいるんですね、知らなかったです。
サムライと着物姿の女性ばかりだと思っていました」
セテアさんもこの女を見て、茫然として驚いている。でも、さすがにサムライは古いと思うよ。
しかし、こんなときにすぐさま、思いがけない発言が。
「アイツがいなくなってスッキリしたあ」
“アイツ?”
私のこと?
私は榎間のアイツ発言に立ち止まり、こいつを睨み付け、その映像に顔を近づけ見つめる。
「でも、あっちがドジして足を踏み外して死んだから、私たちには関係ないことよね」
ドジして足を踏み外して死んだ…???
どういうこと?
次第に私の脳の中でいくつかの映像が思い浮かんでいく。
そうか思い出したのだ、自分が死んだ間際のことを。
それは私が生きていたときの話に遡る。