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「いや!巨乳だ!」
「いいえ、ヒンヌーです!」
と、いきなり対立し合うダリネとスナレ。
ダリネとラネスは、スナレの自室へ入って彼のパソコンを見た。
しかし、スナレのパソコンのデスクトップ画面の趣旨といい、スナレの作ったゲームお披露目で、特にキャラ紹介辺りにげんなりするダリネであった。
なぜかというと、スナレの作った今までトップをキープしていた「kirisasame」の主人公の旅人がただの小さい女の子であったから、ダリネにはちっとも魅力が伝わらなかったのだ。
「いい加減にしてくださいよ!
2人ともこれ以上のケンカに発展したらよくないです!」
睨み合っている2人にラネスが止めようとする。
「いいですか?俺は小さい女の子が好きで、こうやってこのゲームの世界観に取り入れたんです!
小学生の高学年から中高生をターゲットにしやすいように。
その主人公を巨乳の女性にしたら、ここまでヒットしなかったんでしょう!」
「あ?なんだ、そりゃ。あんたみたいなのが正真正銘のロ○コンって言うんだよ!」
ダリネがへの字で口を曲げて怒っている。
「ああ、ロ○コンですよ、俺は。小さい女の子大好き!
別にいろいろ言ってもそこまでへこたれる精神じゃないですしね!」
そう言いながらも、スナレの方も真顔になって怒っていて、前にいる歴史上に残る英雄の存在をもうバカにしている状態だ。
「じゃあ、学校通えばよかったのに!
学校行ったらそういう可愛い子がゴロゴロいるぞ!
なぜ自殺なんかしたんだ!」
「くっ…!」
ダリネの言葉に槍で心臓を貫かれたようにトドメをさされたせいか、スナレが黙り込む。
「小学生と中学生じゃ、身体の発育、生体が違うんですよ!
もうわかっちゃいないな!
やれやれ」
スナレが決定的なひと言を投げつける。
「自殺に関してはスルーか?」
「もうやめてください!
マシャムネさん、そういう人の心の闇を聴いて楽しいんですか?」
ラネスがここぞとばかりどうどうと立ち入って叫ぶ。
2人は…、特にダリネはラネスのその言動を見ると、他人の心の領域に入り過ぎたと、後ずさる。
「すまんかった。
今のは無しにしてくれ」
「まあ、いいですけど…」
「それじゃあ、私たちは居間に戻ったらすぐに他の2人含めて帰る支度する予定ですので」
ラネスが自分らしくない行動をうっかりしてしまったと、これ以上いたらこの眼鏡の少年に迷惑にされ、もっと大変なことになりかねないと、そそくさ、ダリネを連れて出て行こうとする。
「まあ、別にすぐにいそいそ出て行かなくてもいいですよ。
それに俺の自殺した理由は生きるのがかったるいからですということで」
「は?かったるい?」
ダリネは今までに聞いたことない自殺の理由に目を仰天させた。
「周りの人間がバカばかりで困るし、これ以上生きても老けるだけで意味ないってね」
そしてスナレは目を瞬きしないで、まっすぐに見つめて言い放つ。
「でも、死んでも同じバカの集まりで困ったよ。
まあ、幸い天国っていう場所は老いらなくて済むけど」
こいつは周りの者をまるで奈落の底へと見下している目だ。
見ているこちらも非常に冷気が伝わり、イヤな予感しかない。
「スナレさん…」
「ラネスちゃん、もういいよ。
こいつ相手にしている俺たちが悪かった。
創作しているヤツは基本こういう人の道外れたヤツが多いって聞くしな。
他の2人を連れて出て行こう」
ダリネはラネスを手招いて、スナレの部屋へと出て行った。
やがて、他の2人をも声かけて、スナレの家から一向は出て行ったのだ。
「バッカな英雄…。
こういうヤツが歴史上で偉い態度をしていたっていうのは非常に腹が立つぜ」
出ていくダリネ一行を自室の窓のシャッターから覗きこみながら、1人の平和がまたやってきたのに、妙に胸がムカムカする少年がトゲトゲしく言い放つ。
すると、その少年の後ろに突然、影が入り、何者かと少年は振り向く。
「あのダリネって言うヤツがムカつくだろ。
そうだろそうだろ少年よ…!」




