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「どなたですか~?」
ドア越しに言うダリネ。
しかし、覗き穴を見た瞬間、ダリネは顔が真っ青になってしまい、「げっ!」とつい口に出す。
まずい相手が来たのだろうか?と私は勘ぐった。
「私よ、私。貴方の好きなKよ。開けて頂戴~♡」
「誰がてめぇのことが好きなんだよ!」
とダリネがしぶしぶドアを開ける。
そこにはシルクハットを被り、赤くてとても長い髪の男性が立って待っていた。
「こんにちは~!よく開けてくれたわね~!
私の愛しダリネちゃん~♡」
「やめろ~!俺はお前のことなんて興味ないからなー!」
ドアを開けた途端にすぐに抱きつくシルクハットの男性に苦しむダリネ。
「ダリネさん、“あっち”の気もあったんですか~?」
ジト―とダリネを見つめる私。
確かにセテアさんをメイド姿にするなど、怪しいダリネ。
「確かに、あっちの気はある!」
やっぱりそうだったんだ~!
なんなんだ、この人!?
「だが、こいつは別だ。べったりするから苦手なんだ~!」
腰を曲げて、がっかりする私に、ダリネが決定打のような言い訳をする。
「好きなんでしょ?」
「だ~か~ら~!」
さらに苦しむダリネは顔を真っ青にしながら身の潔白を証明しようとするが、出来ないでいっぱいだ。
「何言っているの?私たちは普段からベタベタ付き合っているじゃない~!」
シルクハットの男性がダリネを抱きしめてさぞや大喜びしている。
この人もこの人だなあって思う。
「紹介する、こいつはK」
リビングの部屋でシルクハットの男・Kを紹介するダリネ。
そう言いながらもケホケホと急き込んでいる。
よほど苦しかったんだろうな。
「それに、俺はこいつとは付き合っていない!
さっきのはこいつのでっち上げだ!」
「わかりましたよ」
私は頬をふくらませてプイとする。
なぜなら変態相手に話す気なんかない。
「それにKは死神なんだ」
ダリネがそう言うと、私はその言葉に身震いした。
“死神?”じゃあ、私の命も喰らうというの?
でも、私は死んで天国に今いるし、なんでこの人が来たの?
「そうよ、私はこれでも、かの有名な大天使ミカエル様に使える死神の1人だけど、天国案内係りの資格も持っているのよ~」
“ミカエル”?
名前は聞いたことあるけど、有名な天使の1人だ。
それにしてもなぜ、この大物に仕える死神がこのダリネ家に来たのか。
しかも、オカマ口調で変な死神だ。
「実は、この女の子のことだけどね」
ふいに私を見るK。
なんでなんだろう。
「閻魔大王たち鬼籍課員から小野崎ルエちゃんの魂が行方不明で日本階層に戻っていないという知らせが合って、私たち死神の一部が探し当てたところ、私の迷魂レーダーに反応があって、調べてきたらなぜかダリネ家にたどり 着いたら、この子がいたいの」
それを聞くと、ダリネはイスをグラグラしてあっぴろげ。
なに、このダリネっていう人、妙にムカつくんですけど。
でも、私の魂が行方不明ってどういうことなの?
私はどうして死んだの?
「なら、この子を早く日本階層に案内してくれよ~!」
「そうするわね。今から、ルエちゃんを日本階層へと連れて行くわ~。」
そして死神のKさんは私に手招きして連れて行こうとする。
でも、これでいいのかしら?
「ちょっと待ってください、Kさん!」
「あら、何かしら、ルエちゃん」
シルクハットを抑えて振り向くK。
「なぜ、私が死んだのか教えてください!」
Kは私がそれをはっきり伝えると、真剣な顔立ちをする。
「それはね、ルエちゃん…」
死神Kが言う衝撃的事実に私はかたつばを飲む。