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まず手始めに、ガッサが巨大な斧をリパヌに向けて振う。
かろうじて、リパヌがなんとか避ける。
「なんだ?スピード感がないぞ、リパヌ!
このままだと、俺たちだけでもやられてしまうぞ!」
ガッサがガハハハと笑っている。
腰を下ろしてしまうリパヌの後ろから、鎖鎌がやってきて、リパヌを鎖で絡もうとする。
「兄上、リパヌを捕獲したでっせ!
ここまでこいつ雑魚だとは!
今のうちに、兄上、手持ちの斧で片付けちゃいまっせ!」
(くそ!デッサの鎖が尋常に絡みついていて、身動きが出来ない!)
リパヌはどう鎖を外すか考えたが、その目の前にはガッサが放った巨大斧がそのままのごとくこちらへと放たれるではないか!
「ガハハハハ、ハリケーンアクシャー!」
ガッサが放った斧は巨大ながらも回転していて、鎖で絡まって苦戦しているリパヌをめがけようとする。
「こうなれば、覚悟の内!」
リパヌが決心して、デッサによって絡まった鎖の身体を、思いっきりふんばって、デッサの方にリパヌ自身を体当たりをする。
デッサの脳天に直撃して、デッサは倒れて気絶してしまった。
「ああ、デッサ…!!」
「兄上、あとは任せたでっせ…」
混沌とした意識になったデッサを人目見していると、リパヌ自身を絡んでいるデッサの鎖がいつのまにか外れていた。
鎌もその拍子に床に落ちて、ヒビが入り、先端が折れてしまった。
「お前、雑魚ながらもよくやるではないか!」
「ふっ、お前らがこの雑魚な私よりも弱いだけだ…」
「ぐぬぬ…」
悔しそうな顔を見せるガッサ…。
しかし、それは不意打ちであった。
「油断したと思ったか!ハリケーンアクシャー!」
唇をニッと笑うガッサは面白おかしく、またしてもリパヌめがけて飛び交う巨大斧。
リパヌは動きは遅いものの、何回もガッサの放つ斧攻撃を交わしつづける。
そして、しだいに巨大斧が坑道のフロアの天井からつらなるいかついつららに当たり、そのつららはガッサめがけて落ちてきたのだ。
大柄な男ガッサもさすがにつららの瞬速スピードに間に合わなく、しまいには大きな腹につららが貫くという敗因っぷりをリパヌに見せてしまった。
「私を雑魚って言っている割には、お前らの方が雑魚だったな!」
しかし、今の戦いでリパヌは少し体力を消耗してしまった。
*
やっとのことで、メフィレスの禁断の地である、サーベラ坑道を見つけることに成功したダリネ。
「これは、すごいな。
入った瞬間、寒気がするわい!」
大量の悪魂が漂う荒れ果てた坑道をパッと見て、ダリネも身震いをしてしまう。
そんなときになんとなく身近な存在の気を感じた。
リパヌの気だ。
ダリネは恐ろしい悪寒で身震いが止まらないながらも一つの坑道窟の中へと入る。
坑道という埃まみれで土木な周りがなくなっていく。
すると、そこは、床も壁も天井も氷で出来たピッカピッカな、もっと凍てつく空間がしだいに現れる。
寒気も違う意味で数倍増していく中、やはり身近な存在はそこにはいた。
リパヌだ。
駆け寄るダリネ。
「ダリネか。
ふふふっ、私のことを良く早く見つけたな」
「何しているんだ、お前!?」
腰を下ろしているリパヌの周りをダリネは見ると、そこにはあたかも気絶しているかのような大柄な男と、つららで腹を貫かれて、普通は血が流れるも、その血までもが凍りついてしまったもう一人の大柄な男がそこにはいた。
このつららの男は今は天国で”死”という状態だが、あと、1、2日すれば、身体が復活するか、魂が現世で転生するだろう。
「私はこいつらに少し苦戦していたんだ。
奥へ行こう、ダリネ。
サリュがたぶん待っている。
助けを呼んでいる」
少々、息を散らしているリパヌを連れて、ダリネたちはこの坑道の最奥のフロアへと足を踏みだした。




