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ダリテア・スピアーズ  作者: らーじ
2章
13/73

2-4

時はおよそ500年前―。

 ここは寂れた地下牢屋―。

 メフィレスとフランスの境目にある牢屋―。

 ダリネード・スピネルドは100年戦争で、一時的に戦犯として捕まり、この牢屋へと連れてこられた。

 ボロボロの白地の服を着た状態で。

「おい、入れや!新人!」

 ダリネは兵士に背中に足で蹴られて、無理やり、牢屋へと入る。

「ちっ、なんで、俺が!!いつかこの牢屋から出てやる!!」

 ダリネはその兵士が去ってから、自分がこの牢屋から出ると、意気込んだ。

 ここの地下牢屋は、今は5,6人ぐらいしかいなくて、ほとんどの者がぐうたら過ごしている。

 中には白骨化してしまった遺体もある。


 そんな中、隣の牢屋から、鳴き声がする。

 女、しかも少女の声だ…。


 ダリネは気が付いた。

 自分の牢屋と隣の牢屋を隔てていた壁が壊れていることを。

 ダリネは必死に足を蹴ったり、拳で叩きつけたりして、余計、壁を壊そうとする。

 すると、隔てていた壁が少しながらも崩れるではないか。


 その崩れた壁の間から見えるのはやはり、1人の少女だった。

「おっ、おい、しっかりしろ!

何、泣いてやがるんだ!」

 ダリネは少女を揺さぶる。

 その少女もダリネと同様、ボロボロで、白地の服を着ている。

 ちょっとやつれて、肌はもの凄く白い。

 今、思えば、あのセテアよりも肌の色が白かった。

 よほど、健康に優れていなかったんだろうと思う。


「ううっ、私の指揮がなっていないせいで、騎士団は壊滅状態。

 全部、私の責任…」

「だから、しっかりするんだ!」

ダリネはこのとき、状況がわからなかった。


 そのとき、叫び声がした。

 さっきの兵士だ。

「おい!なんてことする!ぐはああああ!!」

 兵士の断末魔とともに、すぐさま、火が投下され、辺りは、この地下牢までもが、火の舞と化する。


「ちっ、こんなときに!」

 ダリネは舌を打つ。

 そんなときに目をやったのが、隠し通路だった!

 火が飛び散っているおかげで、兵士か、おそらく脱走犯が堀ったのであろう、隠し通路を発見した。


 今なら牢屋の柵ドアも解けていて、逃げられる。

 ダリネは少女の手を引っ張って、急いで逃げた。


 地下から這い上がったら、予想以上の火が舞い続けていて、地獄だった。

 ―こんな地獄、前にも何度か体験している!

 へっちゃらだ―!


 ダリネは名も知らない少女とともに、何もない地の果てへと一生懸命逃げた。



 追っ手はいたものの、なんとか、そいつらも追っ払って逃げたダリネと少女。

 気が付けばうっそうと茂る草原という緑の空間にダリネたちはいた。



「ありがとうございます。

 おかげで、命拾いしました」

 少女はダリネに向かってお礼をする。

 少女に太陽が当たる。

 その少女の顔をちゃんと見ると、金髪でゴムで一つ縛りで結わいていた髪型だった。


「おい、ちょっと、待てよ!この際、一夜、過ごそうぜ」

 遠くへと行こうとする少女の手をダリネは引っ張る。

「は、はい!貴方なら喜んで、過ごします!」

 そのときの少女の顔が太陽以上に眩しい笑顔だった。

 この笑顔を殺しても、これでもう絆は消えない。

 ダリネと少女は一夜を共に過ごした。

 その数日後も一緒にいた。

 しかし、ある日、ダリネが寝ていたら消え去っていた。

“ごめんなさい、私、祖国を救うためなら頑張らなければならないの”

 という文字を地面に刻み込んで。



 それから数年後―。

 ダリネはメフィレスの騎士団長に再び選ばれて、目まぐるしい活躍を見せる。

 そんなダリネにある出来事が耳に入る。


 ジャルヌ・S・タルクが火あぶりの処刑されるー!!


 ということだった。

 ダリネは名前は聞いたことあるが、一回も会った覚えがなく、巷の噂では無影の女騎士とも言われている。



 そして、ダリネが騎士団を引き連れ、丁度、戦で通りかかったとき、そこ には木で括り付けられた少女がいたのだ。

 それは見覚えのある少女だった。

「どうしたのです?ダリネ様」

 部下が聞いてくる。

「あ、あれは…!?」

「ダリネ様は直接会ったことないみたいですけど、あれがフランスを代表するとされる凄腕の女騎士・ジャルヌ・S・タルクですよ。

 なんでも今日、公開処刑とかで」

 部下の説明でダリネは驚く。

 あのとき、共に牢屋から脱した少女―、あれはジャルヌ・S・タルクだったのだ!!

 馬にまたがったままのダリネはそのまま、目的先を変えようとする。

「ダメです、ダリネ様! もうすぐあの子に火が放たれます。

 そこに行ったら、ダリネ様の命も危ういですよ!!」

 別の部下がダリネを止める。


 そして、少女の周りには火が放たれ、やがて、少女へと火を巻き込んでいく。

 その最中に、少女―、ジャルヌの目線は、遠くの方でダリネを発見して、にっこりとほほ笑む。

“ありがとう、私が生涯に一回、愛した男の人―”

 そして、少女はそのまま勢いざかる火の中へと命を散らせたのだった。






「思い出したか?

 実はあの子はこっそり、お前のとの子供を産んだのだ。」

「そ、そんな…」

 ジロマから真実を少しずつ思い出させると、ダリネはえぐられた眼を眼帯の上から抑える。

 その右目がうずうずして痛くなる。

「おっさん、そのジャルヌと子供はどこだ?」

「今は子供は天国でひっそり暮らしている。

 閻魔大魔王はお前に関する出来事が多くて、言い忘れていた件もある。

で、子孫があれだ」

「なんで、アタシがあんな奴が先祖なのかしら!

 バカにしているの!?

 確かにアタシたちの家系は阻害されたけど!」

 憤慨しているラウランが取調室から出る。

「あっ…」

 目を合わせるダリネとラウラン。

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