38話 絆を紡ごうよ!
始界教聖書 第5章(巡礼探検録)
『状態異常〜殺気〜
殺気に満ちた生物は、赤い目をしている。そして、奴らの攻撃は、通常の10倍くらいの勢いがある。だが、その分動物に負担が多く、大抵は死ぬ。だが、その前に進化が起きたりすると、その状態は解けたりする。現に『raod』は、『raod』から『big raod』に進化したら、その怒りは収まったのか急に身体を停止させたのだ。』
「吉雄。なぜ、ワレを!こんなこと。サイコーじゃ!吉雄と一つになれて!これで、IP吸い取り放題!やったーなのじゃ!」
と我は浮かれていた。だが、そんなに良いものではないと知る。その理由は、なんとワレのIPを吉雄が吸ってきたのじゃ。ふざけるなよー!とにかく、徹底的に吸い付くしてやる。と思うと、思いの外、沢山のIPが入ってきた。
「一体何が起きたんじゃ?」
すると、『respond』の声が聞こえ、
「はい。敵を殲滅したため、IPが入り込んだ。」
「そうか。ならよい。どんどん吸収せよ!」
と吸収していくと、なぜか途中でその感じが全く無くなった。すると、吉雄の声が聞こえてくる。
「き。貴様らは、許さないっ。にげ、逃げてないで、せいせい堂々た、戦え!殺してやる。殺してやる。殺してやる。」
この狂乱した声に、私は悲しくなる。だって、死にそうな私を助けてくれた優しい吉雄がこんな声をあげるなんて。一体何が。と考えた時、すぐにその答えは分かった。そうだ。アメリアが死んだのか。それなら、どんどんやっちゃえー。と思い、攻撃をより強める。そして、張本人を捕まえることに成功する。すると、束縛した奴が、
「肺炎拳」と言い、抜け出そうとした。だが、吉雄がそんなこと許すはずがない。よしよし。このままなら、倒せそう。これで、お終いだ。きっと吉雄なら必ず倒す。私は思った。だが、次の瞬間、我の最も好きな言葉を描いた映像が目に写る。
「グッ苦しい。た、たすけて!お姉。」と
すると、お姉ちゃんと思われる人物が我の強力な縛りを打ち時、抜け出した。そして、彼女は、マントを背面にある何かに結びつけた。すると、
「ありがとう」
と苦しんでいた声の主からの声が聞こえた。その瞬間、我は心が動揺する。それは、姉の方が、背面にあるものを外し、それを前に寄せ、抱きしめたまま、後方を向き、
「悪いな。オレのわがままに付き合わせちゃって!そして、弟のお前守るって言って、守れそうにない。だから、『肺炎拳』!」
「あんがとよ。生きろ!」
と言いおそらくそこにいる弟を後方へと自分死ぬのが分かりながらも、弟を守る為に飛ばしたのだ。私はその行動に彼女らの『絆』を感じた。だけれど、アメリアを殺した奴はやはり許されるわけがない。
だから、当然、吉雄は、姉の方を殺した。それで、深い絆で結ばれていた姉から『生きろ』と言われた弟の方もかと。気分よくないでいると、死んだはずのアメリアの声が聞こえてきた?
「絆様。どうか主人様を止めていただけませんか?」
私は、その声かけを不思議に思い、尋ねる。
「アメリアは生きておるのか?」
「はい。私は記憶の中ではいつでも生きております。」
「そうなんだ。で、なんで、そんなこと頼むのじゃ?」
「はい。私は、主人様が必死に戦ってくれるのは、嬉しいです。だけれども、あんな姿になってまでも、戦って欲しく無いのです。だから、絆様。貴方が思うままに動いて下さい。」
「アメリアがそこまで言うのならば、我は止めたいぞ。我もこんな姿の吉雄を見るのは辛いぞよ。それに、我は彼の様に絆が深い奴は助けたい。」
「分かりました。では、彼方をご覧下さい。」
すると、目の前には、椅子に腰掛ける吉雄がいた。だが、その姿は、心の闇が溢れ出したかの如く黒く、右手に持つ真紅色の剣を乱雑に振っている。そして、酷く気味悪く、優しい人であったのを忘れてしまったかの如く、
「けいけんちー。紫色の球。紫色の球。」
と叫ぶ。やはり、アメリアの言う通り、こんな吉雄を放っておくわけにはいかない。なんとしてでも、止めねば!我やアメリアが良いと思うのは、優しくて、美味しい吉雄なのだから。そして、吉雄のように弱い奴を助けたい!だから、何が何でも止める!その為に一歩一歩前に進める。だが、その距離は近いようで遠い。全く届かない。
「どうして、こんなに近いのに進まないの?」
「はい。殺気により、遠ざけられている。」
「そんな。どうしたら?」
「はい。IPを暴走させれば、耐久を得られる。」
「分かったぞよ。『respond』!IP暴走!」
と言うと我は黒い着物に包まれる。IP暴走には、かなりの負荷がかかり、高熱で死ぬかもしれない。だが、それでも、負けなくない。我の大切なパートナーなのだから。
「けいけんちー。けいけんちー。紫色の球。死ね。死ねぇー。」
とまたほざいている。だけど、これ以上苦しんで欲しくない。ただその想いだけで振り回す手を抑えようとする。だが、殺気で強くなっている吉雄を抑えるのは、困難だ。諦めかける。だけど、このままじゃ終われない。必ず皆救うと決意すると、力が漲ってきた。
そのおかげで、なんとか、吉雄の攻撃する手を抑える事に成功した。すると、『respond』から声が聞こえる。
「今から、接触を開始する。抑えながらだけど、チャンスは今しかない。」
「分かったぞよ。皆必ず助ける!」と発言して、始めに話しかける言葉を考える!もし、我が死にそうなら、1番安心することは、脅威がなくなる事じゃ。と思い、安心させる為、
「我が今攻撃を止めている。」
「なんで?そんなことをするんだ?」
「うん。ソナタらの姿に感動し、助けたいと思ったこと。そしてある奴に頼まれているから。」
「そうなのか?」
「そうじゃよ。それで、攻撃を止めようとしたんだけど、うまく出来ず、すまない。」
「謝ることはない。それより何のようだ?どうせ殺すなら早くお姉ちゃんの所へいかせてくれ!」
「そうじゃな。我の用は決まっている。お前は我らと絆を結ぶ気はあるか?」
「はー。ねぇーよ。お姉ちゃんがいない世界にもう要などない。」
そうじゃな。やはりソナタらは、深い絆で結ばれている。いくら、その絆を持つ相手が生きろ願ったとしても、やはり彼らの絆は、断絶されることはないのか。しかし、そんなはずはない。やはり、生きて、記憶にとどめなければ、その2人に絆があったことすらも無いものとなる。だから、
「もう一度、我は言う。ソナタは生きろ!いや生きるしかない!」
すると、今度は、自己犠牲を正当化する発言が聞こえてくる。
「お前は馬鹿なのか?せっかく、僕を殺せるんだぞ!なぜ、殺そうとしない?」
その発言にはムカつく。だって、死ぬことは全ての終わりだ。仲間を守る時以外にしてはいけない行為だ。だから、挑発気に、
「それがソナタの罪滅ぼしのつもりか?」
「そうだ。それで何が悪い?何が悪いんだよ!」
「あー。悪い。悪すぎるよ!だって、ソナタのお前のねーちゃんはなんて言ったのじゃ?」
よし。思い出せ!お姉ちゃんは、なんて言った?どんな想いで言った?
「死ね。オレと共に来いだ。」
ふざけるな!お前の為に自己犠牲をしたお姉ちゃんは、そんなこと言っていない!私は目の前の奴が許せなくなり、怒り気に!
「違うだろ!『生きろ』だ!身勝手にここで死ぬことが許されるはずがない。」
「なんで?なんでだよ!どうしてそんなこと言うんだよ!」
「そんなの決まっている。ソナタのお姉ちゃんが死ぬと分かっていても、願ったからじゃ。そして、我々も絆を願っているからじゃ。生きて償え!」
我は、沢山の怒りの言葉を彼にぶつけた。だが、本心からこれだけは信じて欲しいと願うから、少し間をとり、優しく、
「そして、おかしな話かもしれないが、争いはやめて、絆を紡ごうよ!」
すると、我の想いいや我々の想いは、彼に伝わったのだろう。彼は、
「生きたい!散々あなた方の敵を殺しておいて、身勝手なのは、分かっている。だけど、僕を生かして下さい!本当にすいませんでした。」
「分かったぞ。少年。我に任せろ!」と言ったが、その瞬間、高熱でくる痛みが我を襲い、
「痛い。痛い。熱い!」
と言った。その油断のせいで我は吉雄の手に払われてしまった。
すまない。少年。我は、皆を救おうとしたのが、間違いだった。生きる理由をつくってしまってすまない。すると、耳元で、『respond』の声が聞こえる。
「ありがとう。絆。後は、私が何とかする!貴方は、吉雄に伝えて!その想いを!」
「分かったぞ!」
こんなの虫の良い話だと言うのは、分かっている。だけど、我は吉雄に伝えたいんだ!
「やめて、吉雄!失ったものは戻らないかもしれないけど抵抗する意志のない人をこれ以上傷つけちゃだめだよ!私の名前を思い出してよ!争ってないでキズナを紡ごうよ!そして、我らの前に戻ってきて!吉雄!」
と熱さからくる激痛の中、吉雄に救われる前の時のように一生懸命言う。すると、吉雄の振るう剣が止まり吉雄は、座っていた席から倒れ落ちながら、
「キ…ズ…ナ…を……」
と言った。我は、吉雄に言葉が届いた嬉しさから痛みを忘れて、嬉しさの余り、
「良かった。私達の言葉が吉雄に伝わって!そして、楽になって良いんだよ!吉雄!」
と言い、倒れ落ちた吉雄を抱き寄せる。だが、そう安心するのは、早かった。外から剣が落ちていく音が聞こえた。
「何が?」
「はい。吉雄が剣を振ったから、今、紫色の球に攻撃している。」
「そんな⁉︎大丈夫って言ったのに!」
やはり、彼はこうなる運命意外なかったのかと絶望していると、
「絆達の想いに、『respond』が反応して、『replace』が進化し、自動交渉さらに『共制』成立条件を満たしました。これにより、紫色の単球菌の『共制』を認める。また、この結果、経験値が上昇し、レベル100に達成しました。これにより、急速進化を開始します。」
と響き、目の前の吉雄が光り出した瞬間、我も意識を失ったのだった。
ご視聴ありがとうございました。ちなみに、キズナの飯(IP)について、いつもより、殺気に包まれている吉雄は、少しだけまずかったそう。




