★5 作戦会議
よろしくお願いします。
幼なじみの木幡皐月と丹内翔真にラインを飛ばした。
「相談したいことがあるから午後3時、我が家に集合!」
皐月と翔真からすぐに「了解!」って返事が来た!
母親のタンスを物色して、ジャージを取り出して樹愛羅に渡した。
そしてまずは樹愛羅の服を買いに「しまくら」へ出発だ。
私服を2セット、下着を4セット買ったら3万もしてしまった・・・
これでは制服は無理か?どうする?
次に皐月に教えてもらったお安い美容院だ。
1時間後、衝撃の姿が待っていた!
漆黒の長すぎて、多すぎて不快感を与えていた髪をバッサリと切って、
マッシュルームカットになっていた。
初めて顔をちゃんと見ることが出来た!
モジモジしている!優しそうで、メチャクチャ可愛い!
なんでこんな可愛いコが男にもイジメられなきゃいけないんだ!
俺を見つめる黒目がちの大きな目は潤んでいて、何かを期待している?
「・・・衝撃だよ!すっごく可愛いよ。」
ぼっと音が出たかっていうくらい、樹愛羅の頬が真っ赤になって、また下を向いてしまった。
「・・・ホントに?」
「ホントにホント。」
「・・・ホントにホント、ですか?」
「マジ、可愛い!」
「・・・ありがと。」
「お、おう。せっかくだから、下を向かないで。胸を張ろう。」
「う、うん、頑張ります。」
樹愛羅は胸を張ったが、膨らみはほぼほぼ無かった。
まあ、食事は貧相だったらしいし、ガリガリだから。
一杯食べさせて、健康的にせねば!
3時5分前に、木幡皐月と丹内翔真がやってきた。
二人とも保育園からの幼なじみで、親友だ。
もう一人の親友には裏切られた。この二人は大丈夫、だよな?
木幡皐月はポニーテールが似合っている活動的な美少女だ。
テニス部で疲れているだろうに、両親がやっている皐月食堂で看板娘として手伝っていた。
4月後半に母さんが札幌に行ってしまった後は、夕食はもっぱら皐月食堂だ。
・・・彼女の愛梨沙が夕食を作ってくれたのはほんの1回だけだ。
俺にとっての悪友と言えば丹内翔真で、コイツとは小学校の頃、いつも一緒に遊んでいて、
いつも一緒に怒られていた。
リビングに入って頑張ってニッコリと笑った樹愛羅と目が合うと、二人はハモった。
「「誰、これ?」」
「同じクラスの大浦樹愛羅。」
「「うそ!!」」
「大浦樹愛羅です。よろしくお願いします。」
「「マジ?」」
「まあ、座れよ。」
樹愛羅が4人分のコンビニスイーツとオレンジジュースを準備してくれた。
「お、おい、どうなっているんだよ?」
翔真がキョドっていて、なぜか囁いてきた。
「樹愛羅はネグレクトを受けていたんだ。わかるだろ?
だから、俺が預かってプロデュースする。
まずはイジメを止めさせたい。どうしたらいいかな?」
「えっと、それはいいけど、なんで愛梨沙がいないの?龍聖は?」
衝撃が少し収まると小首をかしげた皐月が疑問を呈した。
「・・・このテーブルが4人掛けだから?」
愛梨沙と龍聖のことは誤魔化して、昨日からの樹愛羅との出来事を全て話した。
あ~でもない、こ~でもないと相談して、月曜日の作戦が決まった。
「じゃあ、帰ったら母さんと姉ちゃんにセーラー服のこと訊いてみるよ。
あと古着も。」
「「ありがとう。」」
翔真の言葉に、今度は俺と樹愛羅がハモってしまった。
「ゴンちゃん、こっち。」
意味深な目つきの皐月に呼び出されてしまった。
「愛梨沙となにかあった?目が死んでるよ?」
小さな声で尋ねられた。
俺はリビングに戻って座ると、ため息を一つついた。
皐月は心配そうな目で俺を見ていた。翔真も何事かと緊張している。
「昨日の夕方、西宮北口で鳩岡愛梨沙と仙石龍聖が待ち合わせしていた。
出会うと手を繋いで、何度もキスしていた。」
「「うそ・・・」」
三人とも絶句した。
「ホント。じゃなかったら、今、二人もここにいる。」
「・・・ゴンちゃん、大丈夫なの?」
「ありがと、皐月。世界で一番不幸だって絶望していたら、樹愛羅と出会っちゃって。
なんか、絶望するのが馬鹿らしくなった。」
「ゴメンなさい。」
俺が嘆くと樹愛羅がすぐに謝った。
うん、会話での瞬発力が発揮されてきたね!
「いやいやいや、絶望感が吹っ飛んで、助かっているんだよ。」
あわてて否定した。
「・・・何か出来ることはあるか?」
翔真が言うと、皐月も頷いた。
「仕返しはしたいから、今からやり方を考える。
できたら、協力してくれるかな?」
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