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19/21

★20 毒親

よろしくお願いします。誤字報告、ありがとうございました。


水曜日、樹愛羅はいつもどおりみんなに手を振って励ますと、先に帰っていった。

水曜日の部活は自主練習の日なので、いつもどおり1時間ほどだけ練習した。


家に近づくと、我が家の門の前で、何人かおばさんたちが中をのぞき込んでいる!

「こんにちは!」


「ああ、ゴンちゃん、泥棒!って声が聞こえたからさっき警察に連絡したの!

中で、ものすごい音や、言い合いをしているんだけど!」

全て聞かずに家の中へ突入した!


「樹愛羅!」

樹愛羅が知らないおばさんとつかみ合っていた!


リビングはしっちゃかめっちゃかになっていた。

「お母さん、いい加減にして!」

「うるさい!さっさと金よこせ!」

樹愛羅の毒親か!


毒親が樹愛羅をひっぱたいて、倒れた樹愛羅を蹴り飛ばした!


「何するんだ!」

「うるさい!このクソやろ~!」

俺が怒鳴ると、毒親も叫び返して逃げだそうとした。


毒親を羽交い締めにしていたら、パトカーが到着した。

4人の警察官が入ってくると、毒親は叫んだ。


「助けて!この男が娘を助けに来た私に、暴力をふるったんだ!

この男が私の娘を誘拐したんだ!

売春させてるんだ!売れないときは自分が楽しんでるんだ!

性奴隷にしているんだ!娘をこのクズから救いにきたんだ!

このクズを捕まえろ!」


「違う、違う!ゴンちゃんは私を助けてくれた!

クズはこの女よ!金目のものを探して、この部屋をメチャクチャにしたんだ!」


「静かに!」

母娘の金切り声に辟易とした警察官は大きな声で制止した。


「この家の人は?」

「ボクです。大庭権助。これ学生証です。」


「貴女の名前は?」

尋ねられると毒親はふてくされたように答えた。

「大浦カンナ。」


「貴女の名前は?」

「大浦樹愛羅です。この人の娘です。5月に、この人に家を追い出されました。

今はここ、大庭くんの家に居候させてもらっていて、中学校に通っています。

この母に虐待を受けていました。それを救ってくれたのは大庭くんです。

母はお金がなくなって、この家のお金を盗もうとしていたんです。

母を捕まえてください。」


交渉役で一番年上と思われる警察官が3人を見比べた。

「・・・大庭くん、娘さんの言うことは本当かい?」


「はい。樹愛羅は5月の上旬の大雨の日、追い出されていたので保護しています。

我が家に不法侵入して、荒らしたこの毒親を捕まえてください。」

「・・・詳しい話は警察署で聴こう。」

・・・

毒親は強盗未遂、器物損壊で逮捕された。


担任の先生にも証言してもらった。

ちゃんと生徒指導記録があったので、俺たちの証言が裏付けされたのだ。

・・・初めて担任に感謝したよ。


夜遅くに樹愛羅と解放されて、精神的に疲れ果てて家にたどり着いた。

樹愛羅と一緒にメチャクチャにされた部屋を片付け始めた。


「ゴンちゃん、ゴメンなさい。私のせいで。

帰って来たら母が笑顔で待っていたの。

凄く可愛くなったね、幸せそうでよかったよって。

私が悪かった、少しだけ話をしてくれって。すぐ帰るからって。

家に上がってもらったら、猫なで声でお金はどこに置いているの?

大切なものはどこに置いてあるのかなって訊かれて。

追い出そうとしたら、喚かれて、叩かれて、恐怖で動けなくなったの・・・

そしたらリビングを荒らし回って・・・

次にお父さんの部屋へ入ろうとしたから、

勇気を奮い起こして立ち向かっていたら、ゴンちゃんが帰ってきてくれて・・・」


泣きじゃくっている樹愛羅を優しく抱きしめた。抱きしめてしまった!

「よく頑張ってくれたね。ありがとう。」


「ゴメンなさい!」

ぎゅっとしがみつかれて号泣されてしまった。


夜、1人で寝ていると不安が押し寄せてきた。

今日は樹愛羅がこの家に帰ることについて何も言われなかったけれど、

中学生が2人で住むってこれからも認められるのだろうか?


いずれこども家庭センターに連れて行かれてしまうのだろうか?

樹愛羅がいない生活!もう考えられないよ・・・


次の日、俺は学校をサボって、こども家庭センターを訪ねた。

頑なに名前を名乗らず、住所も告げずに相談したのだが、

ちゃんと最後まで話を聞いてくれたオバサンと若いお兄さんの顔がほころんだ。


「えっと、これは独り言なんだけど・・・他言無用なんだけど・・・

こういう事例があるんだよ。

K中学校のOくんがね、ああっと被っているわね・・・

Gくんがね、ネグレクトを受けていたKさんを助けて2人で暮らしているの。

ホントはね、中学生男女の2人暮らしって認められないけれど、

Kさんは凄く楽しそうなんだって。

だから、Gくんは親と一緒に暮らしていることにしてね、

Kさんはしばらく様子をみようってことになったのよ。」


「ありがとうございました!」

「うん、子どもは作っちゃダメよ!」

「あわわ!」


深々と頭を下げて、ウキウキしながら学校へ向かった。

大遅刻して叱られたけど、へっちゃらだ!


読んでくれてありがとうございます。


面白ければ評価をお願いします。


また明日投稿します。

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