★18 大浦樹愛羅③
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22話で完。
ゴンちゃんは、私が変身するときにこう言った。
「できればイジメたヤツらを許してあげて・・・」
このクラスで私を酷くイジメたのは、若槻りんなちゃん、海老沢美姫さん、市川エイルさんと
仙石龍聖くん。
絶対に許せないのは、仙石くんだけ。
自分が悪いくせに、ゴンちゃんを滅茶苦茶殴った上に、
彼女の愛梨沙さんを寝取って、ゴンちゃんの心まで酷く傷つけたから。
結局、初犯で14歳だったから補導で済んだらしい。
イヤらしい笑顔を浮かべた海老沢美姫さんと市川エイルさんが、
帰ろうとする愛梨沙さんを引き留めた。
「なあ、どこ行ったんだ?ネトリ野郎との二人っきりの修学旅行は!」
「ラブホテルだよね~、ビッチちゃん!」
その言葉を遠くで聞いていた仙石くんは走って逃げ出した。
愛梨沙さんは2人を強引に引き離し、ゴンちゃんに近づいて叫んだ!
「私を助けてよ!なんで大浦さんを助けて、私は助けてくれないの?
酷くイジメられているんだよ!なんで、なんで、助けてくれないの!」
ゴンちゃんの顔は蒼白になっていた!
「樹愛羅は上から下まで清潔にして、ちゃんと挨拶すればって分かっていた。
だけど心のキレイさは、どうやったら証明できるんだ?」
苦しそうに言葉を絞り出していた。
「!」
「龍聖に助けてもらえよ。」
泣きながら愛梨沙さんは教室を出て行った。
教室中が静まり返っていた。
その空気の重さに耐えきれず、何人かがこそこそと帰っていった。
しばらくしてからゴンちゃんは立ち上がって、
若槻りんなちゃん、海老沢美姫さん、市川エイルさんに近づいて行った。
「なあ、頼みがあるんだけど・・・」
「愛梨沙のこと?」
「うん。事件起こされたらイヤだしさ、もうアイツをイジらないでくれると嬉しい。」
2人がうなずくと、りんなちゃんが話し出した。
「ゴンはホントに、いいのかよ?」
「・・・俺はまだまだ許せそうにないけどさ、
やっぱり愛梨沙が可哀想に思えちゃって・・・」
「女の子に甘いねえ~。龍聖はどうなのさ?」
「・・・うん、アイツはどうでもいいな。」
「・・・ふ~ん、考えておくよ。次はこの3人一緒に勉強会をしてくれよな!」
「そのくらいなら安いもんだな。」
ゴンちゃんはほっとしていた。
夕食が終わって、宿題が終わると少しだけ休憩タイムだ。
テレビのニュースをぼーっとしながら、2人並んで見ていた。
「ねえ、ゴンちゃんは今、楽しいかな?」
私が話しかけると、ゴンちゃんはふわりとした笑顔を浮かべた。
だけど、目は少し悲しみに沈んでいる!
「そうだね・・・今日はちょっとやられちゃったけど、毎日、楽しいよ。
樹愛羅や皐月、翔真たちのお陰だね。ありがとう。」
ゴンちゃんの心を救いたい!少しでも暖めてあげたい!
「ありがとうはこっちだよ。
母といた時は暗闇の中にずーっといたんだ。
だけどゴンちゃんが光の下へ連れ出してくれた!ゴンちゃんが私を幸せにしてくれた!
食事だって、この服だって、寝床だって、友達ですら、全部ゴンちゃんがくれたんだよ。
もっと、ゴンちゃんにお返ししたい。ゴンちゃんに笑ってもらいたい。
ゴンちゃんに幸せになって欲しい。
ねえ、ゴンちゃん、何でも言ってね?
何でもするし!頑張るから、ね。」
一番言いたかった「好き!」っていう言葉は飲み込んだ。
私の言葉にゴンちゃんは微笑が大きくなった。
「ありがとう、毎日、美味しいご飯を作ってくれて。毎日、一緒に笑ってくれて。
今まで通りで充分幸せだよ。ありがとう、樹愛羅。」
ゴンちゃんの優しい言葉がすっごく嬉しかった。
だけど、ゴンちゃんの幸せを邪魔したらいけないから・・・
「ゴンちゃんが・・・もし皐月ちゃんを・・・他の誰かを恋人に選んだなら、教えてね。
私、この家を出て行くから・・・」
「ダメだよ、そんなの!絶対にこの家から出て行かせたりしない!
・・・今はこの人じゃなきゃダメだっていう人はいないんだ。
もしかしたら、他の誰かを好きにになるかもしれない。
だけど、勝手だけど、樹愛羅はずっとこの家に居て欲しい。
・・・ずっとここに居てくれ!」
私の言葉にゴンちゃんは弾けるように答えてくれた!
「ずっと居ていいの?ありがとう!」
うれし涙が止まらなかった。
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