★14 班分け
よろしくお願いします。
「保育園に娘のお迎えに行くと教え子がベンチに悄然と座っていた。
母親が出ていき、弟の世話が大変な彼女をデートに行かせるため、
弟くんを預かって遊びに連れて行こうとしたら彼女が一緒に来た件。」
を投稿しました。よければ、こちらもご覧ください。
月曜日の6時間目の授業がなくなり、臨時ホームルームになった。
中間試験が終わるとすぐにTDLへの修学旅行なのだ。
担任の木越が修学旅行の説明を始めると、クラス中が湧き上がった。
「自由行動の時の班を決めるように。
4人一組で、男女混合でもいいぞ。
決まったらこの紙に名前を記入したら帰っていいから。
悪いが、学級委員は最後までいて、この紙を職員室まで持って来てくれ。」
木越は言い捨てるとさっさと職員室に戻っていった。
「「「ゴンちゃん!」」」
「「「ゴン!」」」
木幡皐月、大浦樹愛羅、五十嵐春奈、丹内翔真、若槻りんな、松室直人、江山幸太郎、
秋延弥生ほか先週のカラオケメンバーが一斉に俺の方へ来た!
「あ、あの、班は別になっちゃうけど、みんな一緒に回ろうか・・・」
大庭権助、木幡皐月、大浦樹愛羅、丹内翔真
五十嵐春奈、松室直人、江山幸太郎、秋延弥生
また、男4人、女4人の班が一つずつ出来た。
後は男3人、女3人のグループが3つずつ出来ていた。
まだ、だれとも組んでいないのが、鳩岡愛梨沙と仙石龍聖だった。
みんなが一斉に動き出したのだが、ぼっちの愛梨沙は様子を窺っていて、
謹慎あけの龍聖は朝からずっと孤高を気取っていた。
若槻りんなのグループの海老沢美姫と市川エイルがわざと大きな声で話し出した。
「なあ、りんな、エイル、しょうがないから愛梨沙か龍聖でも受入れる?
TDLではハブればいいっしょ!」
「止めてよ、美姫!カレシがこっそり寝取られちゃうじゃない!
アタシ、カレシを裏切っちゃうじゃない!」
「ホントだ、忘れてた~、きゃははははははは!」
わざとらしく大きな声で笑いながら、ジロジロと愛梨沙と龍聖を軽蔑の眼差しで見つめていた。
「そもそもさ、愛梨沙と龍聖はこの学校の、ううん、この国のベストカップルなんだから、
別々にするなんて可哀想だよ~」
「ホントだ、きゃははははははは!」
「私がアンタたちに何をしたの?アンタたちには関係ない!」
初めて愛梨沙がキレた!
教室が静まり返ったが、若槻りんながやれやれとため息をついた。
「お前らはアッシらに人生のシンジツって奴を教えてくれたよ。
親友ですら、恋人ですら、親友と恋人その両方ですら、軽く裏切る奴がいるんだってね。
アッシらはもう、恐怖に震えているよ。
お前らにいつ嵌められるんだろう?
アッシは、エイルや美姫から裏切られないかってね。」
愛梨沙が泣き出した。龍聖は拳にぐっと力を込めてじっと我慢していた。
酷いな・・・まあ、どうもしないけど。
被害を受けたのは俺とイインチョだけなのにな・・・
やっぱりゲスすぎて、みんなの拒否反応が凄すぎる!
・・・結局、一番大人しいグループに愛梨沙は押し込まれた。
龍聖も、一番大人しい徳永、井尻、山根のグループに入れられようとしたら、
徳永がブーたれた。
「なんで僕たちが修学旅行でこんなヤツと一緒に回らなきゃいけないんだよ!」
「あ?何言ってんだ、お前?」
龍聖がたちまちキレて立ち上がり、3人に向かって凄んだ。
「キタコレ!イキリ!バイオレンス!バエル!」
井尻が嬉しそうに声を上げて、スマホで録画を始めると、龍聖はひるんだ。
「僕たちに散々嫌がらせしておいて、僕たちのグループに入ろうってバカなの?」
「みんなに嫌われているのに、まだトップカーストのつもりだよ、バカに決まってる!」
「それに、中学生が、親友の彼女を寝取ってバレないと思ってるって、
頭の中がお花畑なんだな!」
「バレたらどうなるかって想像力もないんだよ。」
「今朝もさ、サッカー部の後輩に会うと、「なんで挨拶しねーんだ!」って凄んでいたのよ。
お前の暴力行為で、夏の大会を辞退しようかって話になったのにな!
何にも分かってねーんだよ!」
「この前のサッカー部の公式試合でさ、コイツ、「なんでパスしないんだ!」
ってキレたんだけど、ぶっちぎりのオフサイドポジションでじっと立ってたんだって。
僕だってダメだってわかるのに、まだわかってないって、完全無欠のバカだろ!」
バカにしていた3人から滅多打ちにあって、龍聖は蒼白になって自分の席に戻っていった。
「しょうがないから、班には入れてやるけど、近づいてくるんじゃねーぞ!」
徳永がトドメを刺した。
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