★12 真由ねえ
よろしくお願いします。
日曜日の朝、布団の中でうつらうつらしていたら、急に苦しくなってきた!
「ブホア~、なに?」
「ゴンちゃん、お・は・よ!」
蕩けるような笑顔の従姉がいた!顔が近い!なんで?ここどこ?俺の部屋だよね?
「真由ねえ、なんで?」
「うふふ、ゴンちゃん、女の子を拾ったんでしょ?
不純異性交遊していないか、おばさんに調査を命じられたの。」
「ええ~」
「鍵が送られてきて、早朝にゴンちゃんの部屋に突入しろだってさ!
おばさん、ゴンちゃんのこと心配なんだね。札幌に行っちゃったけど。」
「だからって実行しちゃダメでしょ!」
俺のツッコミに取り合わず、真由ねえはにんまりした。
「でもゴンちゃん、真面目だね。絶対、裸の2人がこのベッドにいるって思っていたよ。」
「そんなことしないって!」
「まあ彼女ちゃんがいるもんね。」
「いや、まあ、それはいなくなったけど・・・」
「へっ?」
真由ねえがヘンな声を上げたら、開いていたドアから樹愛羅が不審そうな顔を覗かせた。
「・・・えっと、どなたですか?」
「従姉の市木真由子。宝塚に住んでいる大学生。」
「居候させてもらっている大浦樹愛羅です。よろしくお願いします。」
樹愛羅が生真面目に頭を下げた。
「すっごく可愛いじゃない、ゴンちゃん!うん、よろしくね。こんなに早く来てゴメンね。」
2人分の朝ご飯を3人で分け分けして食べた。
真由ねえは俺の隣に座っていて、まずは樹愛羅のことを色々と尋ねてきた。
食べ終わるとイスをぐいっと近づけてきた。
近い、近すぎる!
うずうずしていた真由ねえが本題に入った。
「ゴンちゃん、さっきの話なんだけど、ここでも話せる?」
目がキラキラ輝いている!恋バナだから?
マイナス方面なんで、そんなにキラキラしないで!
「うん、イヤリングを買った日にね、西宮北口で彼女が浮気しているのを見つけたんだ。」
真由ねえが息を飲んだ。
「えっ、マジ・・・」
「その相手が俺の親友でさ。」
「なに、その・・・」
「で、その親友に俺が樹愛羅と浮気しているって責めやがったから、
彼女と親友の浮気動画を晒してやった。」
「なに、なに、その・・・」
「で、その親友にぶん殴られたんで警察に訴えてやった。」
「なに、なに、なに、その・・・」
「で、元カノが謝ってきたけど、お前とは付き合えないって。」
「なに、なに、なに、なに、そのドラマは!起承転結バッチりじゃない!」
俺たちのドラマに思いをはせているようだ。
「ふ~、もう立ち直ったの?」
「みんなが助けてくれたからね。」
真由ねえの目がキラリンと光った。
「そう、よかったね。ねえ、この前、晩ご飯奢るっていってくれたよね。
いつ、連れて行ってくれるの?モチロン、二人っきりじゃないとダメだよ。
うんと長い時間、一緒にいたいな・・・」
甘い声で囁かれて、痺れてしまった。
前にいる樹愛羅の眉と口元がピクピクしている。
これって激怒しているの?怖い!
「ねえ、今から行こうよ。」
腕をぎゅっと抱かれてしまった。
「あ、あの、今日はゴンちゃんの服を買いに行くんです!」
「それは夕方からでもいいよね、ね?」
真由ねえと樹愛羅の視線があって、バチバチいっている!
だけど、樹愛羅が先に降りてくれた。
「2時までにしてください!」
真由ねえと2人で、水族館に行くことになった。
イルカショーを見に行くと、真由ねえはイルカに合図を出せることになった!
かぶりつきで、録画した。
笑顔のキレイな女子大生が、ジャンプするイルカを見て目を輝かせている!
これこそ取るべき動画だ!先週のはクソだ!
これ、もう、永久保存だな。
ショップでお互いへのプレゼントを買った。
俺はアザラシのぬいぐるみだ。これは流石に間違いないよね?
ドキドキしながら渡したら、目を輝かせて喜んでくれた!
うむ、ふわふわモフモフは正義!
真由ねえはイルカが可愛らしくデフォルメされたTシャツをくれた。
この1年でかなり背が高くなったので、去年のTシャツはダメだから、ありがたいな。
うん?袋の一番下に、キーホルダーも入っていた。
取り出してみたら、そのプレートに「あなたが好きです!」って書いてあった。
これはどうすればいいの?
帰りの電車の中で、真由ねえが囁いてきた。
「今日は楽しかったよ、ゴンちゃん。ありがとうね。」
「いや、俺も楽しかったよ。ありがとう。」
真由ねえが手を繋いできた。
「ねえ、知ってる?従姉って結婚してもいいんだよ?」
「そ・そ・そ・・・」
突然のことで、ドキドキでおかしくなりそう!
「樹愛羅ちゃん、妹系ぶりっ子で可愛いよね。」
「そ、そ、そうね。」
変化球が凄すぎてついて行けない!
「ダメよ、手を出したら。」
「だ、出さないって。」
優しく睨まれた!
「うん、今度は大人だけが楽しいところに行こうね。」
「あわわ。」
また、蕩けるような笑顔を向けられた!
1時半に電車を降りて、真由ねえと別れた。
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