★11 カラオケ
よろしくお願いします。
高評価、ブックマーク、感想もたくさん頂きました。ありがとうございます。
しばらく平穏にすすみます。
樹愛羅がこの家に来てから、怒濤の5日間が終わった。
明日からは平常運転になるハズ。
晩ご飯が終わってから、明日からのことについて樹愛羅と相談することにした。
「この家に来て5日過ぎたけど、どうかな?」
「ありがとう。すっごくバタバタしたけど、
この家は快適だし、学校も楽しくなったよ。」
笑顔で、まっすぐ俺の目を見ていた。
3日目くらいまでは目を合わせることができず、鼻を見ていたけど。
この家に来てからきちんとした洗顔、化粧水や日焼け止めを使い出していた。
三食きちんととって、栄養バランスも気にしていたら、
荒れていた肌が輝くようになっていた。ま、眩しい!
「ま、巻き込んじゃってゴメンね。
明日からは平穏になると思うから、家事の分担とか、少し約束事を決めようか。」
「家事は全部、私がやります。そうじゃないと、申し訳ないです。」
「ありがとう。だけど、全部はやり過ぎだよ。
じゃあ、大浦さんの部屋以外は俺が掃除する。洗濯は2人でね。
あと週3回、どっか食べに行こうよ。皐月食堂には行かなかったら叱られるし。」
「でも、節約しないと・・・週1回皐月食堂はどうですか?」
「確かに節約、大事だよね。うん、そうしようか。
それと、これ、この家の鍵ね。
平日はサッカーしてて、6時くらいに帰るからね。」
「いいんですか?ありがとう!」
「えっと、あと言葉使いだけど・・・友達だし、もっと気楽に話そうよ。」
「はい!あの、ちょっとずつ直していきます。な、直すね。」
慌てて言い直した樹愛羅だけど、下を向いてモジモジし始めた。
「どうかしたの?」
「私もゴンちゃんって呼んでいいかな?」
「モチロンだよ。じゃあ、俺は樹愛羅って呼んでいい?」
「うん!」
マジで光輝く笑顔を見せてくれた。
金曜日の昼休み、皐月と樹愛羅、翔真と給食を食べていた。
少し前まで愛梨沙、龍聖とイインチョの4人で食べていたな・・・
龍聖は今日まで謹慎、愛梨沙は1人さびしく、イインチョは他の女の子と食べていた。
早くも食べ終わった江山幸太郎が話しかけてきた。
「なあ、ゴン。お前の全快祝いと樹愛羅ちゃんの歓迎会をしないか?」
アザも薄く、小さくなったので全快祝いは分かるけど・・・
「転校してきたようなもんだろ?」
「確かに!行こうよ!」
皐月が弾けるように応えると、翔真も嬉しそうに頷いた。
「どこに行く?やっぱりカラオケがいいよね?」
「おっし、じゃあクラブはサボってカラオケ行こうぜ!」
たちまち15人も集まってしまった。
愛梨沙はうらやましそうにこっちを見ているけど、誰も誘ったりしなかった。
放課後になるとすぐにみんなで騒ぎながら店に向かった。
パーティルームに入ると江山がみんなに声を掛けた。
「まず、ゴンに歌ってもらおうぜ!全快祝いだからな!」
「ゴ~ン、ゴ~ン、ゴ~ン!」
みんなが声を揃えて、手拍子した!マジか!ええい、やってやるよ!
全力で歌ったら、みんな微妙な顔をしていた。
くっ、殺せ!じゃなかった、いっそのこと、笑いものにしてくれ!
「ゴンちゃん、合唱大会は小さな、小さな声でね。」
苦笑しながら皐月が俺の傷をえぐってきた!
樹愛羅の歌う番になった。
料理をしている時とかの鼻歌は上手だったよな。
笑顔で歌い出すと、高い音から低い音まで透明感のある声を自由自在にだした。
「スゴ・・・」
「女神!」
歌い終わるとみんなが笑顔で賞賛したので、樹愛羅はビックリして、照れまくっていた。
みんなが順番に歌っていたが、ヘコんだ俺ははしっこに座って、空気となっていた。
隣に座っていた樹愛羅がもう一度、歌うためにひな壇に上がると、
その隙にイインチョが隣に座ってきて微笑んだ。
「ゴンちゃんも苦手なものがあるんだね。」
「歌と服のセンスはないみたいだ。」
「そうだったけ?服のセンスはイイ感じだったような・・・」
人差し指を唇にくっつけて思い出そうとしている。
メガネ美人だけど、どんな仕草も可愛いよな・・・
「実は全部、選んでもらっていたんだよね・・・」
誰に、は言わなくても分かったみたいで、少し笑顔が曇ってしまった。
「そう・・・昨日ね、龍聖が謝りに来てくれたよ。」
「うん、樹愛羅にも来てた。」
「ゴンちゃんはもう立ち直った?」
「えっと、一番気になっているのが、樹愛羅がまたイジメられないか
なんで、あんまり気にしてないけど?・・・でも、愛梨沙を見ると少しヘコんじゃう。」
「そう、私も頑張ろうっと。あっ、まだ子どもは作っちゃダメよ。」
イインチョは立ち上がりながら、いたずらっぽい目線をくれた。
「そ、そ、そ」
俺の返事を待たず、元の場所に戻っていった。
最後の1曲となると江山が樹愛羅を指名した。みんなが拍手して期待している。
笑顔の樹愛羅がこっちに近づいて来て、マイクを差し出した。
「ゴ、ゴンちゃん、一緒に歌って。」
おう、なんてこったい。
樹愛羅は善意なんだろうけど、歌姫とジャイアンがデュエットしちゃ駄目だろ。
「ゴンは1曲しか歌っちゃダメって法律で決まっているんだ。樹愛羅ちゃん、ゴメンね。」
「歌ったら3ヶ月以下の懲役なんだよ。」
翔真がマイクを取り上げると、樹愛羅は残念そうに1人でひな壇に向かった。
誰か、俺のボケに反応してくれ!
読んでくれてありがとうございます。
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また明日投稿します。