七十八戦目
長らく更新なくて申し訳ございませんでした。
今後は無理なく更新させていただきます。
よろしくお願いします。
船にオート迎撃機能が付いた事により、俺たちは戦闘をしないで大丈夫になった。
何故そうなったのか順を追って説明するとエリシアと共に錬金術を行えば船に命が宿る。その為、モンスターを倒せば必然的にレベルが上がる。
レベルが上がればスキルポイントが生じる。
オート迎撃機能というスキルにスキルポイントを振れば船はさらに強くなる。
そしてスキルは上位スキルへと変化し、武器自動錬成という便利スキルが発現した事により武器庫のバリスタ、砲弾が自己生成により補充可能に。
また、ライフドレインというスキルにもポイントを振る事により自己再生を可能にした。
そんなこの船のレベルは今80を超えている。
その為船旅は順調に進んでいる。
生徒たちは爆睡し、先生もうたた寝をしている。
順調そのものだった。
10時間が経っただろうか。
航海も残り僅かになっている。その時イルカさんが突然ビックリしたように叫ぶ。
「スマホの電波が立った!!」
スマホ!?
しばらくデジタルデトックスしていた俺たち、携帯の電源なんてとうの昔に落ちている。なので「スマホ」というワードが逆に懐かしく感じる。
とうの昔に忘れ去られた文明のような感覚に陥っている。
「イルカさん、なんでスマホを持ってるの?」
「えっ?新子君はスマホ持ちあるかないの?いつ電波通じるか分からないじゃないの。」
「逆に1週間以上電波通じなきゃ諦めない?もう無理だって。充電だって出来るところ限られてるし。」
「そうかな。学校ならライフライン整ってたから常に充電してたけど。」
「そうなんだ・・・」
俺が思っている以上に学校って住みやすいのかも。今更ながら俺もスマホを充電しておく。
「あれ?エムルとイルカさん、いつからそんなに仲良くなったの?」
綾香が眠そうに目を擦りながらやって来る。
「綾香それが、イルカさんのスマホ、電波が立ったんだよ!!」
「えっ!?文明の力!?」
「そう、福岡は文明が進んでるんだ。」
「そっか。福岡は文明が進んでいるのか・・・。」
俺と綾香がそんな会話をしていると。
「ちょっと!!どっちかツッコミに回りなさいよ!「どこが文明が進んでる」よ!!復旧が進んでないだけだし!!スマホに集中出来ないわ!!」
と怒られてしまった。
イルカさんはその後もスマホでさっそく検索をいろいろした。
まずyahooニュース・・・そっと綾香は画面を覗き込む。
現状。魔鏡と化し、人が誰一人住めない環境になった県、また、大分、四国、東北等復旧途上の県もあれば、東京、大阪、福岡、名古屋など、普通の生活が出来るまで元通りになった都道府県、その3種類に別れていた。
「島にお住まいの人達、可哀想に・・・魔鏡に取り残されてるのね・・・」
綾香の悲しみは深く同意してしまう。人が住めなくなった県の情報なんて悲しくて全て見てられなかった。
次に軍のダンジョンの進行情報。商業化されたダンジョンの情報。
えっ?ダンジョンの商業化?なにそれ?
そう思っていたら福岡にも8個の商業ダンジョンが誕生していた。ダンジョンを商業化するって・・・どういう神経・・・?
俺はその思想が少し怖くなった。
気になる情報は山のようにあるのだが検索に夢中になっていると自然と皆目を覚まし始める。
そろそろ北九州市の港に到着するし、それまでに今後の方針を話合わないといけないなと思い立つ。
「そろそろ到着だよな。みんな聞いて欲しい。本当に俺たちに力を貸してくれてありがとう。でも、これ以上付き合わせるのは申し訳ないと思っている。みんなありがとう!!」
まずは皆に礼をいう。
すると皆は微笑ましい笑みを浮かべた。
「話し合った結果なんだけど、ここからは俺と咲羅、綾香の3人だけで福岡に潜伏しようと思う。これ以上皆に危険な思いをさせられない。」
俺がそう告げると皆は悲しそうな顔をした。
真っ先に反論したのはリノさんだった。
「何よ。綾香さんはよくてなんで私達はダメなのよ。」
ヤンキー達が続く。
「俺たちは皆、兄貴や姉貴に命を助けられてここにいます。最後までお供します!!」
そして冬月先生も続いた。
「まさか未成年だけに任せられないでしょう。私は野崎先生からライラやマーサの悪行を暴くように言われてるわ。新子さんみたいにスライムにされた人達もいっぱいいる筈。それを暴いて止める手伝いをするわ。今更帰れないわよ。」
皆それぞれ思いを抱えている。
(ねぇ得武。みんなの目を見てよ。これは意地でも付いてくるわよ。作戦変更してみんなにも動いて貰いましょうよ。)
皆には聞こえないがエリシアの嬉しそうな声を聞く。俺は「そうだな」と同意した。
「皆、どんな危険があるか分からない。それに俺は咲羅が元に戻るまで帰れらないつもりでいる。それでも付いて来てくれるか?」
そう決意を問う。すると満場一致で
「もちろん!!!!」
と返答が返ってきた。
なんか胸の奥が熱くなる。
「みんなありがとう!!」
俺は皆に深く頭を下げる。
すると沈黙を破るようにリノさんは口を開いた。
「感謝はいいって。得武さん、今後拠点ってどうするつもり?」
「特には決めてなかった。ダンジョン泊かな。」
これはマーサからの目を逃れる為であるが・・・皆は笑う。
「ちょっと冗談辞めてよ!!私の親戚が福岡なの。博多方面・・・薬院の方だからここから少し遠いけど電車乗ればすぐだよ。」
リノさん、冗談ではないんだけど・・・現に高崎山のダンジョンにて俺とブラハム様は修行と称してお篭り攻略をしたんだし。
気を遣った綾香は口を挟む。
「こんなに大人数押しかけて大丈夫かな?」
それを聞いて固まった、
「待って2、4、6、8・・・・・・全員は無理。ごめんだけど半分以下にして。多くても8人。それ以外は船で寝泊まりして!!」
だろうね・・・。
「ちょっと作戦会議!!」
綾香の号令のもと、皆全員集めて話合う。それはもう誰が俺と行動を共にするかの言い合いで・・・
ヤンキー達が最後まで粘っていたのだが、船を守るメンバーも必要だという事でヤンキー達は船に居残り組になった。
なので行くメンバーは俺、綾香、咲羅、魔族2人、冬月先生、リノさん、エリシア、アルちゃんになった。
話合っていると、船は北九州市の港へ到着する。
船を停泊させ、俺たちは船を降りた。
街の様子は変わっていた。変わっていたどころの騒ぎではない。異質だ・・・
人々の顔に生気がないというのはやはりモンスターが溢れ返り未来に希望が持てないのか・・・?溢れ返ってるだけなら各地で戦闘が繰り広げられているはずだ。
でもこんな生活の有様はリアルに気持ち悪い・・・。
モンスターがいるのに争っていない。
つまりモンスターと人が共存している。
共に生活をしているという表現は正しくないのかも・・・モンスターに支配された街という言葉がピッタリあう。モンスターに監視され、人々は働いていた。
俺は想像する・・・そのモンスターの背後にはきっとライラ、マーサがいる。
何故モンスターに監視される生活を送っているのか?
マーサがダンジョンを破棄しなかった事による現象。
ダンジョンマスターになる事でモンスターを上手く支配し、人を奴隷のように使っている。
ダンジョンと聞けば洞窟とか山とか塔とか・・・わざわざ行く場所という認識があるのかも知れないが違う。
俺は経験してないが、咲羅達は良く経験している。
街にモンスターが溢れ返った背景には街全体がダンジョン化してしまった事による被害である。
咲羅はダンジョンマスターになる事を破棄した為、大分駅周辺からモンスターは消えてなくなった。
しかしもし咲羅はダンジョンマスターになる事を選んだら・・・
モンスターはそのまま大分駅周辺に居残り、咲羅の命令のみに従う。つまりこの福岡の街の現状に繋がるという話である。従っているのはマーサだが・・・
ダンジョンマスターの権限について俺が以前心配していた出来事が目の前で展開されているのだった。
「何よこれ。」
「こんな街だったっけ?」
ドン引く、冬月先生とリノさん。
福岡って言ったら店の開店援助も受けやすくもっと自由で活き活きとした街だったのに。
今は真逆の支配の街。
ふと俺の目の前をサラリーマンが通り過ぎた。俺は質問を投げかける。
「あの、すみません。あのモンスター達はなんですか?」
確信を得る為敢えての質問だ。
「仕事サボったりしてると殴られるんだよ。あまり酷いと炭鉱送りにされる。」
「今の時代に炭鉱送りですか?」
「ダンジョン産の鉱石はとても強力で良い武器を作るのに最適なんだ。」
「へぇ。最悪な時代になりましたね。」
俺が暗にディスるとサラリーマンは冷や汗を掻きながらモンスター達の目を気にする。近くにモンスターがいないのを確認すると声を細めて言った。
「本当だよ。ダンジョンなんて存在しなければこんな事にならなかったのにな。」
とため息を吐く。
「本当そうですね。」
「君たちは学校の生徒かな。」
相槌を打つと逆に質問をされてしまった。
「はい。就活に悩みます。」
「ダンジョン産業はファイアしやすいけど、死ぬ危険が高い。ダンジョンアイテムを加工する仕事がおすすめだよ。」
「ファイア?炎上の事ですか?」
「FIRE。早期リタイア。お金を数億稼いで株の配当金だけで生活する人の事。あれ?知らない?」
「初めて知りました。いい事聞きました。ありがとうございます。」
俺たち就活生じゃないんだけどな。モンスターが溢れ返ったご時世で株で生活って成り立つのだろうか・・・?
そんなことを考えながらサラリーマンを見送った。
「モンスターをこんな扱いして。人間は醜いな。」
とブルーノは呟く。それに便乗したチェルシー。
「そうそう。私らの方がもっとホワイトな支配だよ。」
終始浮かない顔の綾香は泣きそうな顔をした。もう見てられないという顔だ。こういう時に俺が一昨日開発したこのアイテムが生きてくる。
アイテムボックスオープン。
俺の行動にエリシアは気が付いた。
「得武、何をしようとしてるの?」
「ダンジョン除草剤って知ってるか?」
「初めて聞くわよ!!」
「試作しておいてみんなの前に出すのは初めてだからな。当たり前か。この威力を試して見る。」
「ダンジョン専門の除草剤?薬草でも枯らすの?」
「違う。枯らすのはダンジョンの機能そのもの。」
効果のほどだが1リットルでレベル80以下のダンジョンなら抹消出来る代物だ。
「へ?」
「まぁ見てみなって。」
その液体を地面に垂らす。すると。
街中を歩いていたモンスターが一瞬にして霧散した。
リノさん、綾香、冬月先生が即座に反応した。
「得武さん、今何したの!?」
「エムルの仕業!?今何の裏技したの?」
「新子君、何しでかしたの?」
俺の方に視線が集まった。どう説明するのが理解しやすいか。
「ダンジョンに薬剤撒いて枯らしてる。」
「なっ!!」と驚きの声が皆から上がる。
代表して冬月先生が突っ込む。
「ダンジョンが薬撒くだけで無くなるもんですか!!」
リノさんは冬月先生の裾を引っ張る。
「効果を見て下さいよ。説明を受けた通りモンスターがいなくなりましたよ。そういうアイテムなんですよきっと。」
「そんな便利のアイテムがあるなら私達は苦労してない!!」
いや、俺は製作に苦労したぞ。ラウダから学んだ知識、医学の知識全て行使して錬金術を行使した一品だ。便利の裏腹に俺の血の滲むような努力がある。それをわかって欲しい・・・。言わないけど。
「理論的に説明すると。ダンジョンは木の根のように下の階に繋がってる。この薬品ならその繋がった根を一網打尽に出来る。だから名付けてダンジョン除草剤なんだ。」
「そんな夢のようなアイテムあるなら早く出しなさいよ!!というか、その適当な名前辞めなさい。除草剤どころの効果じゃないわよ。」
ツッコむ冬月先生。その横で小さな声で悪戯に笑う咲羅。ざまぁ見ろって言ってるような気もする。
「ライラさん達、今頃ビックリしてるだろうね。」
咲羅の声は俺にだけ聞こえるような声だった。
「ダンジョンのこんな使い方は俺、関心しないぞ。間違ってると思う。」
と理由を述べると。
「得武兄、元々もうすでに喧嘩売られてるんだから、自分の行い正当化しなくていいと思う。」
「そうだな。調子乗ってどんどん撒こうか。」
そのノリノリの兄妹に突っ込むブルーノ
「ダンジョン消すたびにマーサに居場所がバレるんじゃないか?ダンジョンマスターとダンジョンのモンスターは繋がってるだろ?それが一気に居なくなったらさすがに分かるって。それでもいいなら存分に暴れなさい。」
ブルーノの話を纏めるとこうだ。ご利用は計画的という事で。
街は回復していた。
電車に乗り、博多まで移動。駅前から薬院までバスで移動する。
ちなみに博多駅近くにある巨大複合商業ビル、キャナ○シティは商業ダンジョンとして賑わっていた。
なんでもレアな素材が沢山手に入るのだとか。
その情報を横目に俺たちは薬院へ。
リノさんの親戚の家を訪ねる。
普通の庭付き一軒家。
「おばさん、会いたかった!!」
泣きたくリノさん。
「福岡は基本的に被害は少なくてね。大分は大変だっただろう。魔族が住み着いて大変な状態ってニュースで流れてたから。」
「本当に大変だったんだよ。」
「ところで、みなさんは?」
「私は冬月と言います。お願いがありまして来ました。新子得武さん、咲羅さん、綾香さん、レイチェルさん、ブルーノさんの5人、匿って貰えないでしょうか?」
「え!?」
リノさんからも頭を下げる。
「私の友達でもあるの。お願い。」
「すみません、詳しい事情は話せませんがお願いします。」
「咲羅って、元福岡No.1ダンジョンアタッカーよね。死んだ筈じゃ」
咲羅、有名人でした。
「ダメでしょうか?」
「いいわ。私達も咲羅さんの働きに多くの命が救われたんだから。」
咲羅、嫌々ダンジョン攻略させられたとは言っていたが、こんな所で感謝している人がいた。
本当に人生、どう繋がっているかわからない。
「ありがとうございます」
俺は頭を下げた。
好意に甘えて家に匿わせてもらおう。
ちょっと徒歩で散歩して、アマム○○タンというパン屋の併設カフェでご馳走様になった。
パンの旨味も美味しい上、中に挟まったお惣菜がまるでコース料理の一品のように輝きを放つパン達。
見た目からしてインパクト抜群。食欲をそそらない商品は無い。
特にベーコンとかウインナーとか焼いてる所が直で見えてパフォーマンス最高なのだ。
これには
「同じパン屋として負けてられない!!」
と、綾香に良い刺激になったらしい。
その夜の出来事。携帯の電源が付いたのだ。
両親からの着信とメールの山がすごい事になっている。
着信50件
LINE12件。毎日のように送っていたようだ。
内容を咲羅と一緒に読む。
その内容はほとんど俺たちの心配だった。
中でも咲羅の死の記事は衝撃的で泣いたという。
スピーカーモードで電話を掛ける。
「もしもし、俺だけとお父さん?」
「得武、得武か!!元気か!!心配したんだぞ!!本当に良かった。」
「お父さんも元気そうでよかった。モンスターいっぱい出たでしょう。大丈夫だった?」
「こっちは大丈夫だ。それより大分でも電波が繋がるようになったんだな。」
「お父さん、今福岡にいるんだ。」
「何!?」
「それで俺、今から・・・」
「得武、聞きなさい。今から直ちに福岡を離れなさい。至急、今すぐに!!」
「なんで!?」
「戦争が起こる。北九州と近畿地方で。」
「面の情報にもインターネットの情報にもながれてなかったぞ。」
「こっちでは噂の中心だぞ。」
「待ってよ。俺、マーサって奴に決着を付けてくる。」
「マーサって、まさか。」
「咲羅を巻き込んで酷い目に合わせたあの野郎。お父さん知ってる?お婆ちゃんまでぼこぼごにしたんだぞ。」
「どんな経緯があったかは知らない。マーサには関わってはいけない。戦争の張本人だぞ。」
「知ってるよ!!じゃあ!!」
切ろうとして咲羅に睨まれた。
「ごめん、咲羅に代わる。」
「得武、おまえ咲羅って言ったか!?」
電話を代わる。
「お父さん、咲羅だよ。元気にしてる?」
「咲羅か本当に咲羅なのか?あの新聞の情報は嘘だったんだな!!」
「ええ。まぁ。私は生きている。でもマーサは口封じをしたいみたい。」
「なんで?」
「いっぱいNGな行動知ってるからかな。」
違うんだよ咲羅。俺はブラハム様の記憶を見た。おまえの魂を喰わせて最高の魔族を召喚したいのだ。
「なら、なんで福岡にいる。馬鹿な真似はやめなさい。」
「大分いてもいずれ捕まる。ならこちらからアクションを起こした方がいい。」
「咲羅、待ってくれ。」
咲羅は電話を切った。
1話から読み返して見ると説明が足りないものばかりです。
内容の変化は無いのですが1話からの説明文の追加などを考えています。
改稿する場合は告知しますのでよろしくお願いします。




