七十一戦目
俺のこの宿に潜伏する案を「そんな事したら取り返しが付かなくなる」と真っ向から否定する青髪の魔族ブルーノ。それは何故?
「一体どういう事だ?」
「魔族目線の話だが、戦争が起こり、戦争に勝利した場合、相手の国を吸収する。それだけでかくなるという意味だ。それにスライム、お前は軍から狙われていたな。人が増えればお前を追う追っ手も増える。近寄る事すらできないぞ。そして、ここに居場所は無くなる。」
その言葉に咲羅は怒りにプルプル震えている。
これはもうブラハム様と言っていた富士山のダンジョン攻略とか悠長な事、言ってる場合じゃない。俺達は急いでライラさん達の所に行かないといけない。
場合によっては戦闘になる。いや、話合いにはならないだろう。
「咲羅。後で作戦会議をしよう。その前に福岡で何があったのか話して貰えないか?」
「嫌。」
「何故?」
「嫌って言ったら嫌。」
子どものように駄々をこねる咲羅。俺は叱るように声を上げる。
「咲羅。あのな・・・・」
「得武兄達を巻き込みたくない。あれはね、対峙したら分かるよ。勝つ勝てないの問題じゃない。異次元なの。勝てるなら暗殺。不意を突いて一瞬。それでも殺せるのは5%もない。」
咲羅の感情が溢れ出す。
「なら、みんなで手を合わせれば。」
「もうそんな次元の相手じゃないんだってば。」
咲羅の弱気は初めて見た。いつも強気で傲慢で、自分の実力で思い通りに生きていた咲羅。
今の咲羅は対象的で、儚い無力な女の子だった。
綾香は咲羅を抱きしめる。
「咲羅ちゃん。辛い事があったんだね。」
咲羅の動きが止まる。
「綾香ちゃん、ありがとう、少し落ち着いた。」
「泣かないの?」
「うん。泣かない。」
「私も知っておきたい。咲羅ちゃんに何があったのか。私は咲羅ちゃんの事大切に思ってる。友達以上に、家族みたいに大切だから。」
「でも・・・」
しぶりながら、でも意を決したのか目を見開いた。
「・・・得武兄、あのね・・・・」
ゆっくりと、福岡で何があったのかを教えてくれた。
優秀な社員ばかりで初めは咲羅なんて相手にされない事。使えると分かったら1番辛いボス戦を押し付けられた事。
給料は日払い、気前がいいと思ったが、ポーション代とか武器のメンテナンスで金はあっという間に無くなってしまう。
何より使える社員には優しい。
離れる社員には酷い扱いで、スキルを抜き取られ、場合によっては石像にされる。
勇者はやばいスキルを持っている。
スキルドレイン。記憶操作、自身ドラゴン化。アラン少尉の変化とは比べ物にならないぐらいの威圧感があるらしい。
その上超高ステータス。
「得武兄、だから私に絶対に壊れない刀を作って欲しい。ロングソードじゃない、刀がいい。」
そう言う咲羅の目には覚悟が決まっていた。
「咲羅?ああ、いいぞ。」
「刀身は細く長く軽くして欲しい。壊れなければ攻撃力はいくらでもいい。でも、ゾアルソードは良かった。あれぐらいの攻撃力と、攻撃アシストがあれば文句ない。」
作り方の工程を考えながら気が重くなる。
「おいおい、注文多いな。エリシアが泣くぞ。」
「エリシア?」
「全てエリシアとの共同開発だからな。」
「ええ!?そうだったの!?」
「頑張って作るよ。」
大変そうだが、滅多に人を頼らない咲羅から頼られるのは悪い気分じゃない。もしかしたら人生で初めてかも知れない。
そこで今まで空気と化していた魔族が口を挟んだ。
「盛り上がってる所悪いけど、私達どうするのかしら?殺すの?」
青髪のブルーノは挑発するように言った。
それに対して考えを巡らせてみる。湯布院は魔族に対して強烈なマイナスイメージを持っている。野放しにしたらまた悪さをする。いっそキイチに引き渡すか?
アイツなら殺る。そんな無責任な話はない。
「お前たちはしばらく俺たちと行動を共にして貰う。」
「捕虜か?奴隷か?それなら隷属の首輪でもつけろ。寝首をかかれるぞ。」
「出来るもんならやって見ろ。トラップにハマって酷い目に遭わなければいいがな。」
隣で綾香は耳打ちする。
「エムル、ちょっと!!勝手に決めちゃって・・・そんな事言っていいの?2人は本気でやるよ。得武ならオート回復薬で死なないだろうけど、私は心配だよ。」
「大丈夫だ。」
「対策あるのね。それならいいんだけど。」
不安そうな綾香だった。
作戦会議はひとまずお開きになった。いろいろまだ詰めないといけない事がいっぱいあるのだろうが皆、疲れている。戦闘続きで満身創痍だ。正常に頭も回ってないだろう。
ゆっくり疲れを取りたいところだしクレハさんからしばらく身を潜めていてと言われている。しかし動き出すなら今日の夜だろう。
福岡に行く事は決定事項。進むルートは俺の脳内では決まっていて山道をひたすら進み日田方面から久留米、福岡入りだ。
本来車で2時間の距離、ステータスは上がっているとはいえ、走るとどれぐらいで着くのだろうか。
軍隊にも気をつけないといけない上、魔族もいる地区。
油断はできない。
夕方、女将さんとご主人が晩御飯を配膳しに来てくれた。
梯子をどう登るかと思いきや、料理は料理用のリフトがある。中央にテーブルを出し、手早く配膳してくれた。
小鉢が山菜の炒め物、タケノコの山椒味噌和え、自家製豆腐粒醤油添えの3種。素材の味を生かしたシンプルな味わいにしてほのかに甘い優しいお味。
豊後牛のすき焼き。溶き卵は烏骨鶏使用。濃厚さと牛のとろけ具合がたまらない。
とり天。とり天にはポン酢と一緒に練りがらしをつけて食べる。衣がサクサク。よくポン酢が染みて身が柔らかくジューシー。
俺、咲羅、綾香だけでなく、魔族2人の分の料理まで用意されていた。スパイダーネットの粘着力をゼロにし、自由にしてやる。
とても美味しかった。こんなに持てなされて大丈夫なのだろうか?皆も満面の笑みを浮かべている。
「エムル、私達が先にその魔族の子達と温泉行って来ていい?」
「綾香!?何を言って!?」
「宿の人から4種類あるうちの一つ、大浴場を貸し切りにしてくれてるし、入っちゃおうって思って。咲羅ちゃんもいるし、多分、この子達の力じゃ、私の盾の防御力突破出来ないと思う。」
そういえばご主人、そんな事言ってくれてたな。案内マップまで渡してくれたのに俺まだ読んでないや。
「警戒心無さすぎだろ!舐めるな!!」
とレイチェルの声がするが皆スルーする。
「分かった。危険になったら俺を呼べ。」
「呼ばないよ。温泉だよ!!私達裸だって。」
俺は思わず想像してしまう。それは、王道ラブコメ張りの大事件だな。
後で咲羅に10回殺されるオチまで回想してしまう。
「得武、私もいるから大丈夫。具現化に必要なMP5000普通に溜まってるし大丈夫。」
エリシアからも念を押され、俺は送り出す。
綾香と咲羅に挟まれるように連れて行く。
ああ、心配だ。
頭洗ってる間に不意打ち受けないだろうか?
いっそ付いて行くか?
「得武、覗きか?」
笑みを浮かべるアルちゃん。
「違うって!!心配だろ。」
「戦力差的に大丈夫だろう。咲羅1人で2人の魔族こてんばんにボコったんだろ?」
「そう聞いてるけど心配だろ?少し、近くで待機するだけ。」
「そう言って覗くんだろ!!」
「違うって!!」
屋根裏部屋から梯子を使い降りる。
木造の杉の良い香りを感じながら中庭へ。
外の芝の緑を感じながら石積みの階段を降りて行く。
藁で作ったかのような小屋が大浴場への入り口だった。
「そこで待機するだけでいいのか?気配察知使っちゃいなよ。」
アルちゃんの悪魔の囁きが聞こえる。装備スキル、アイテムボックス、鑑定のどちらかを外して気配察知を付けろと言っているのだ。
「いや、それは流石に。」
「何があるか分からないだろ。気が付いたら魔族に全滅なんてあり得るし。」
「そ、そうだな。これはあくまで皆の為に。」
罪悪感を感じながら行動に移す俺。あれ?鑑定、アイテムボックスのスキルを外さずに気配察知を装備出来たんだけど!?一体どうなってるの?
よく見ると上位互換になっている。きっとクラスチェンジした時の影響だ。
精霊の守護→精霊の加護
憑依精霊、同時に2人可能。スキル4つ装備可能。ステータス強化・・・
かなり強くなってる!!
後で自分のステータス確認しておこう。
そんな事考えてると気配察知を装備した影響がどんどん顕著に出てきた。聴覚、嗅覚、視覚が鋭くなる。更にクラスチェンジした影響か、以前よりも強く効果を感じる・・・
視覚とか、場合によっては壁をすり抜けて見ることができるぞ!!
これは誰のシルエットだ?黒いシルエット状ではっきりとら見えない。髪を洗っているのか細い腕と背中が見える。発育は・・・思わずそっと目を閉じた。これは犯罪だ。
シャンプーの香り、そして、声が聞こえてくる。目を閉じても嗅覚、聴覚は強化したままだ。
「魔族の2人はこれからどうするの?」
これは綾香の声だ。
「どうするも何もお前たち次第だが。」
この声はレイチェルだろうか?
「解放するって言ったら?」
「お前たち、そんな生ぬるい事考えてるのか!?」
「だって、いつまでも一緒に行動なんて出来ないでしょう。目的が違うんだし。」
「その場合は普通殺して行くんだよ。」
「それは魔族のルールでしょう。そんな事しないし興味ない。」
「なら元の場所に戻しなさいよ。」
その願いに黙る綾香。沈黙の後に咲羅の声が響く。
「貴方たちのボスは軍隊に連れて行かれたわよ。ライラと繋がってるのなら、間違いなく洗脳、もしくは奴隷よね。」
「なんだと・・・・」
「嘘だと思うなら自分の目で確認する事ね。」
咲羅の脅しに魔族達は大人しくなった。
しばらく聞き耳立ててると、
「ところで、綾香ちゃん。得武兄とはどうなの?」
先程までと打って変わって完全にガールズトークだ。
「えっ!!どうって何!?」
「キスとかしたの?」
「待ってよ。なんでそんな事・・・・。」
「お互い好きなのに、まだなんだ。」
「エムルが私の事好きなんて直接聞いてないし・・・・それに、咲羅ちゃんも好きじゃない。」
「得武兄取られるのは嫌だけど、綾香ちゃんならいいよ。許す。他の女が近寄るんなら地獄の底の隅っこに追い込んで産まれて来たことを後悔させてやるわ。」
「いや、それは病み過ぎでしょう。」
「じょ、冗談だってば。でもそれぐらい嫌。」
ふふふっと2人の笑い声が聞こえる。
頭の中は一つの事でいっぱいだった。・・・・綾香が俺の事を好き!?
綾香にとっては俺はただの幼馴染で、家族のようなもんだと思っているのだと感じてた。
俺は、綾香の事は好きだ。それは小学校の時から変わっていない。家族とか幼馴染とかじゃなくって異性として。
でも告白して、今の関係が崩れてしまうのが嫌でそのままにしていた。
綾香は誰にでも優しく振る舞う事から学校では隠れファンが多い。
スタイルもいいしそれに・・・・。
「得武、お前達ってまだ付き合ってなかったのか!?」
「そうだけど。」
「なんで!?うみたま○のトイレで夫婦漫才やってたくせに。」
夫婦漫才ってなんだよ!!と言おうとして思い出す。なんか恥ずかしいセリフいっぱい吐いたかも。
「『俺は、綾香にそうなって欲しくない。安全な所にいて欲しいんだ。』とか。」
「うっ!!」
「『スキルを使わなくていいぐらい強くなってやる!!』とか」
「俺、そんな事言ったか!?」
「隣で聞いてたんだぞ。一言一句間違って無いからな。」
やばい、恥ずかし過ぎる。
「・・・結構、好きアピールしてるな、俺。」
「恋人じゃない事実が驚きだよ。」
風呂の中で進展がある。
綾香からエリシアへの質問だ。
「エリシアはラウダさんと得武、どっちが好きなの?」
「待って、私、精霊なんだから恋愛対象じゃないでしょう!!」
「でも、ラウダさんの元に居残る選択もあったじゃない?」
「それは。ラウダはほっといても余裕というか。なんでもこなすし、私役立たずだし。でも得武は私がいないと何も出来ないでしょう。」
「エリシアは過保護ね。」
「そうよ。お姉さん枠よ。」
「通り越してお母さんかも。」
「え!?そんな・・・・。」
お姉さん枠とかお母さん枠とかなんの話だよ。
でもエリシアも、いなくなったら寂しいな。ラウダの事好きだもんな。
「その反応はエリシアも?」
そこで咲羅の声が割り込んで来る。
「この前、アルちゃんが得武兄に、憑依したでしょう?めちゃくちゃ切れてた。あれ嫉妬でしょう?」
「咲羅!!ちょっと・・・・。そうだけど悪い!?」
「えっ!!開き直った!!」
なんか音からしてドタバタしている。
「ちょっと2人とも落ち着いて。魔族の2人が引いてるよ。」
「いや、私ら精霊見えないから2人にしか分からない漫才をやってるようにしか見えん。」
「だってさ。」
少し、静かになった。
その後に
「咲羅ちゃん、ひんやりして気持ちいい!!何これ!プルプル!」
「綾香ちゃん、やめ、辞めて。くすぐったい。」
「美肌過ぎでしょう。もっと人間に似せれる?・・・・えっ嘘!!もうモデルさんじゃない!!」
「綾香ちゃんだって人の事言えないでしょう。育つとこ育ってるし。めっちゃふわふわだよ。」
「やり返さなくてもいいじゃない!!」
一体何が行われてるんだ!?
ちょっと妄想が爆発して聞いてられないのだが。
「得武、顔が真っ赤だぞ。」
「ちょっと、俺、のぼせたかも。」
「いや、風呂入ってねぇだろ!!」
「部屋で涼んでくる。」
「いや、何の為に来たんだよ!!っておい。帰るなよ!!」
部屋に戻る。
みんなからの好意は知っていた。でも、綾香のは恋愛対象として?
ああ、どうする。意識してしまうぞ。
布団の上でのたうち回る。
いや、勘違いだ。俺達は幼馴染。今まで通りで何も問題ない。
そこで、綾香達の話声が聞こえる。
梯子を登り、咲羅、魔族2人が入ってくる。
咲羅は小声でボソリ。
「得武兄、盗み聞きしてたのは黙ってる。いい情報聞けたでしょう?でも次やったら斬るからね。」
咲羅にバレていた!!聞き耳立ててるのを知ってて敢えて情報を伝えるような真似をしていたのか!!
脅しが怖い。
そして最後に上がってくるのは・・・・湯上がりの和服姿の綾香が部屋に入ってくる。
髪を後ろで結っており、首筋のうなじが・・・・。着物の隙間からよく育った綾香の胸が・・・・
って俺は何を見てるんだ!!
「エムル、大浴場がすごかった。外湯からすぐ湖が見えるから、これぞインフィニティ風呂だよ。」
昔と変わらず無邪気な声が聞こえる。
あれ?綾香ってこんな色っぽかったっけ!?
「匿って貰ってるのに楽しんでるな。」
いつも通りを装いながら突っ込んでは見たものの綾香を直視出来ない。右斜め上を見上げながらの発言になった。
屋根裏部屋の小窓から湖を見る。
「ダンジョン出来てからずっと息詰まってたからね。こんな瞬間があるなら楽しまないと!!」
ポジティブ過ぎる。でもそれが綾香らしいというか。不平不満を言わないでくれるだけでもありがたい。
「そ、そうだな。」
「エムル、なんか変だよ。顔赤いし、熱でもあるの?」
そっと近寄って俺の額を触れてくる。
着物の袖が鼻に触れる。
石鹸とシャンプーのいい香りがする。
めっちゃドキドキするんだけど。
「いや、なんでもないし。」
「エムル、変なの?」
「綾香、えっとその。」
「ん?」
「着物似合ってる。」
褒めると綾香の顔が爆発するように赤くなる。そっと顔を逸らして咳込む。
「えっ!?あ、うん。ありがとう。」
「風呂行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
逃げるように貸し切り風呂へ駆け込んだ。
その間、この気持ち、どう落ち着けようか考える。
エリシア、アルちゃんはいるけど、綾香と同室で寝るのはどうだろう。
幼い頃に一緒に寝たじゃないって言われると思うけど、それ6歳の頃だし。
うーん。
露天風呂に浸かりながら景色に目を奪われた。
インフィニティ風呂。なんかの技の名前かと思っていた。
温泉の湯が縁のギリギリまで注がれており境目が無いように見える温泉と湖。そして夕日が一体となり澄み通った赤い光の絶景が一面に広がっていた。
まだまだこんな景色が残ってるのなら世の中も捨てたもんじゃないのかもって思ってしまう。
シャワーで身体中の汚れを落とし湯船に入り肩まで浸かる。
そういえば、さっきまで綾香達が入ってた湯船だっけ?
さっきまでここで何が行われていたのか・・・。
変な妄想をしてしまう。ダメだ。悶々としてゆっくり風呂どころじゃない!!
僅か1分でのぼせてしまった。
さっと温泉から上がり、トイレで自家発電をし気持ちを落ち着かせる。
悶々としながら部屋に戻る。
まだ同じ部屋で寝る事に抵抗がある。妹とでも中学に入って以降同じ部屋で寝るなんて事一切なかった。綾香なんて小学校での林間学校以来だし、こんな心と身体が整った状態で同じ部屋なんて・・・。
落ち着け、紳士的に振る舞えば今日一日はなんとかなる。
ドキドキしながら梯子を登る。部屋に入ると、寝息が聞こえた。
皆爆睡だったのだ。魔族なんてイビキをかいて寝てる。
ああ、俺のモヤモヤを返せ。
誰が身を寄せ合って寝るような展開を想像した?「ドキドキして眠れない」とか「怖くて眠れない」とかラブコメ展開を期待していたのか?
なんの警戒心もなく、寝静まっている。
疲れてるよな。ああ、俺も疲れてる。
咲羅はスライムになって眠っている。綾香は横になっている。布団を被っている為乱れた服の隙間からドッキリみたいな事はない。
離れた場所で魔族2人も身を寄せ合って寝ている。さっきまで敵意剥き出しだったのにな。寝ている顔はちょっと年下の女の子にしか見えないのだ。
女の子の寝顔をまじまじと見るのは変な罪悪感が生まれる。
俺も早く寝よう。
布団に入ると沈むように寝入ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・
「油断してぐっすり眠るか。愚かな奴だ。一回死ね!!」
夜に響く女性の声、赤髪だろう。半分強制的に意識を覚醒させられた。
薄めを開ける。
「何!?トラップだと!待て、よせ、辞めろ!!」
殺意を持って行動すると、布団の下に潜めていたトラップが発動し毒針を刺す。
刺された魔族はこうなる。
「レイチェル、相変わらず血の気が盛んね。無防備になる訳ないでしょ。」
「た、助けて・・・・。恥ずかしい。」
どんな毒かは見ての通り。
お腹が大きく膨れ、2メートルほどの風船になる。
そして、どんなに力を入れようとうつ伏せになろうと重心の関係上、仰向けにしかならない毒だ。
「凄いトラップね。まさに嫌がらせする為だけのトラップ。もしもし、得武さん。起きてるでしょう?謝るからレイチェル助けてあげて。」
そんな声が聞こえた。眠い。
「もう変な気起こすなよ!!」
アイテムボックスを開きブルーノに解毒剤を投げ渡す。
気がついたら夢の中に旅立っていた。
「ちょっと!!いつになったらこの腹直るのさ!!ねえ!!寝るなって!!」




