表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/159

七戦目

しばらく兄得武視点が続きます。

よろしくお願いします。

深夜0時。モンスターが発生して初めての夜を迎える。

ばあちゃんは何事もなかったかのように寝静まっている。


しかし俺の心は穏やかではない。

俺の家はただいまオオカミの群れに取り囲まれていた。窓の外から覗くと何体いるのか数えきれないほどのオオカミがこの家の周りをぐるぐると巡回している。せっかく耕した農作物を踏み荒らし、この家の侵入経路を探っている。

その証拠に、俺が窓を開けた瞬間、壁を伝って中に侵入しようと試みるオオカミがいたぐらいだ。


というか、壁をよじ登るオオカミって、本当にオオカミなのだろうか?


「エリシア、畑めちゃくちゃだね。」

「そうだね。畑がかわいそう。」

「オオカミ達、お腹いっぱいだろうに。なんでどこか行かないのかな。」

「多分あなたを食べたいんだと思う。」

「だよね。」


今日、一日を費やして錬金術の練習に励んでいた。

ありとあらゆる物を分解、合成したから分かる。この家の耐久値の事だ、家の鉄筋コンクリートも柔じゃない。

外にいるオオカミはただのオオカミじゃない。ゴブリンと同じ類の・・・。きっとモンスターであろう。

それが推定50匹。


ただでは侵入出来ないと悟ると、家の外壁に噛みつき始めたのだ。後10分噛みつかれまくったら家中穴だらけだろう。


本当にやばい事になった。

絶対に家に穴を開けられてはいけない。もし開けられでもしたら俺だけでなく気持ちよく眠っているばあちゃんまで食べられてしまう。それは絶対に阻止しなければ・・・


そう思って、家の壁や柱に触れる。

錬金術発動。柱の成分をより頑丈な物にする。そして、より大きな音のなる方へ・・・家の内側からの錬金術ではあるが、外でボロボロになった外装を修復していく。


「エリシア、魔力切れそうだよ。」

「私も切れそうなんだけど!!」

「精霊なのに?」

「いや、一日中あなたの実験に付き合ったのよ!私の魔力は有限って言ったよね!忘れてない?」



玄関、裏戸、走り回って弱い所を強化する。


「それにしても凄い集中力よね。レベル一切、上がってないくせに自力で最大MP値100も上げちゃうほど夢中になっちゃうんだもんね。錬金術そんなに楽しかった?」


そういえばエリシアは言っていた。最大MPは消費と回復を繰り返すと増えていくと。なら、今日は何回エリシアからMPの補給をしてもらっただろうか?100回は超える。


「エリシア、MPの無駄遣いへの嫌味は後にしてくれ。まさか家がモンスターに襲われるとは思ってもみないだろ!?」


木材を集め、ガラクタを原料に錬金術で簡単なボウガンにしていた。


「いや、モンスターが溢れた世界になっちゃったんだから、むしろこれが普通なのよ。今までよく家が無事だったなって思うべき。だからこの事態も当然予測出来たはず。」

「エリシア、早めに言ってくれたら良かったじゃないか。」


過ぎてしまった事を言い合っても仕方ない。オオカミ共の迎撃を開始する。俺は矢を量産し、二階へ上がる。


ゴブリン戦とはまた違う意味でドキドキしていた。今回はちゃんと武器がある。そして、撃退出来なければ死が待ち受ける。


2階の窓に手をかける。先程、窓を開けた瞬間、オオカミ達がこの窓目掛けて壁をよじ登って来たのを思い出すと恐怖が蘇ってくる。

もししくじって侵入を許してしまったら・・・。

いや、もしもなんて考えない方が良い。モンスターを殲滅出来た事をイメージしてやるべきだ。


そんな自分のマインドを良い方向に切り替え、窓を開け放つ。オオカミを狙う。


「ちゃんと魔力込めるのよ。」

「わかってる。集中するから無言で頼む。」


オオカミの視線がこちらに集中するのが見える。何匹かは本気で家の外壁をよじ登ろうとしている。そのオオカミに向けて1、2、3とテンポ良く撃つ。

オオカミ一体に頭、胴、首に突き刺ささる。壁から落下した。青い血の水溜まりが出来てそのまま動かなくなる。


<レベルが上がりました。レベルが上がりました。>


このアナウンスを聴くとまるでゲームをしている感覚に陥ってしまう為、注意が必要だ。現に・・・


「おお。経験値美味しい。」


と咄嗟に声が出てしまった。


「得武のボウガン、即席にしては良く出来てる。性能がいいからね。このレベル差でも楽々なんだよ。」

「エリシアありがとう。でも矢が後10本しかないよ。」

「一射一殺。」

「ハードル上げないでくれ。」


壁をよじ登るオオカミを優先的に狙っている。まだ俺の攻撃の方が早い為、矢の嵐を抜けて部屋に侵入してくるオオカミはまだいないが・・・順調過ぎるのも逆に不気味に思えてくる、

随分離れた場所に二足歩行のオオカミが突っ立ってるのが見える。あれ、なんだろう。

大きな石を手に持って。まるで野球の投球フォームを取っている、


ピッチャー振りかぶって、投げました!

えっ!?投げました!?何を?って岩ぁぁあ!?


「エリシア、ちょっと体制低くしようか。」


エリシアを捕まえて、

窓を閉めてしゃがむ。


バァリィィィイン!!!!


耳をつん裂く破裂音と共に岩が貫通して行く・・・窓全壊!!!

ついでに窓フレームも、ぐちゃり!



「錬金術。錬金術。」


それを1秒。何事もないようにした。


「エリシア、魔力を」

「ごめん。こればかりはもう無理。空っぽなの」


えっ、次、投石来たらもう無理だよ。

二階の窓から化け物入り放題だよ。というか、何あれ?オオカミって二足歩行で立つ?というか、石を投げるって、少なくとも知性があるって事だよな。

石じゃなくて岩だけど・・・。あれってもしかしてボスなんじゃない!?


「打開策、ある?エリシア、俺の体使ってあのオオカミ達倒しきれる?」

「さすがに49対1よ。それにレベルもあんたより格上よ。無理。」

「婆ちゃんごめん。この家を守り切れなかったよ。今日俺死ぬんだ。」


俺は落胆すると、エリシアはふと何か名案を思い付いたように声を上げる。


「待って諦めるのはまだ早い。仏壇、行きましょう!」


打開策ではなく、神頼みか・・・。


「仏壇?そうだな。死んだら仏様に、より良い次元の世界に連れて行って貰えるようにお願いしておこう。」

「そうじゃないわよ!!何諦めてるのよ!!あの部屋は強力な魔力で守られてるわ。きっとご先祖様が守ってくれてるのよね。だからあの部屋だけは化け物が入って来れない。」


その仮説が合ってるかどうかは別として。

例えば、あの部屋は守られているかもしれない。

でも俺があの部屋に篭ればどうなる?

オオカミどもにこの家は荒らされ続けるだろう。


「婆ちゃんはどうする?」

「お婆さんも仏壇の部屋で寝て貰って。」

「馬鹿を言うんじゃない。婆ちゃんは爺ちゃんとの思い出のあるあの部屋、あのベッド、あの枕じゃないと眠れないんだ!そんな事出来る訳がない!見殺しじゃないか!!」


エリシアが、面倒くさそうな顔してる。


「じゃあ、あの部屋守っているご先祖様に魔力分けて貰って!精霊の加護のスキルあるんだから出来るでしょう!」


ああ。なるほど。

精霊の加護ってエリシア限定じゃないんだ。


「エリシア、ありがとう。」


俺は階段を降りた。

仏壇の部屋に行く。

線香を焚き、両手を合わせる。


「爺ちゃん、ご先祖様、今日も一日元気で過ごさせてくれてありがとうございます。」

「こんな非常時になんてマイペースなご挨拶ね。」

「今家がオオカミにより危機に晒されています。どうぞ、力をお貸し下さい。」


すると声が返って来た。


『ここにあった刀を持ち出したのはお前か!!!』


怒ってた!!

ここは下手な事を言うよりも正直に答えた方が良さそうだな・・・なんて考えてるとエリシアが驚愕する。


「ちょっと仏壇から声がするなんて聞いてないし!!なんで!?どうなってるの!?得武、ここは変な事言わない方が・・・。」


エリシアの助言を聞かず答える。


「ご先祖様、それは妹の咲羅でございます。」

「って正直に暴露した!!妹売っちゃったよ!!」


そのエリシアのツッコミに構わずご先祖様の声は響く。


『そいつは剣の腕は立つのか?』

「同年代なら日本一強いです。」

『そうか。ならいい。力を分けて欲しいのだったな。』

「そうです。」

『ちょっと待て。今分け与えよう。』

「御許し、ありがとうございます。」


一連の動作を見たエリシアが俺の肩の上でソワソワしている。


「私、どう突っ込めばいいの?私諦めていい?」


頭を抱えていた。

不意に俺と、エリシアは光に包まれた。


ステータスのMPがMAXになるのを感じる。

レベルアップした分を合わせてMP141。

よし、矢が沢山作れそうだ。


「ご先祖様、ありがとうございます。」

『よい。検討を祈る』


俺はご先祖様に会釈し、家にあるガラクタ、及び食器を集めた。

それを錬金術で溶かし、全て矢に合成する。

それをエリシアはそっと手で撫でていた。


「得武、今後、物作りする時は私の見ているところでやりなさい。今みたいにいい事あるから。」


と、何かをしたのを見たのだが、正確には何がどうなったのか分からない。見た目に変化はない。魔力を込めたようなのだが・・・

矢に不思議な力が篭ったのを感じたのだった。

入り口、裏口、壁にまた錬金術で再補強する。


再戦の時がやって来た。再び二階に行き、そっと窓を開く。

オオカミどもはまだ家の外壁に群がっていた。それが、開いた窓に向けて飛び掛かって来る。その勢いは数分前の比ではなく、本当に1回のジャンプで飛び込んで来そうな勢いだから正直ビックリした。


焦りは禁物だ、冷静にボウガンで矢を放つ。

矢の軌道が若干曲がったような。

でも確実に首を貫いていた。落下していく


でもまだ生きてる。その証拠に体勢を整えてこちらを睨んでいる。

もう一度撃ち放つボウガンの矢・・・再び首を貫いて、首が吹き飛ぶ・・・血を撒き散らして1匹撃破する。


<レベルアップしました>


再び撃つ。

もう一度。

2本とも首を貫いて一体撃破。

エリシア、この矢に追尾性能つけたのか!?


「命中補正って言って!!ちなみに生きてるから頑張れよって声掛けると威力上がるよ。」


生きている?一体なんの話をしているのだろうか?追尾性能の事を「まるで生きているみたいだよ」って言いたいのか?それとも八百万の神っていうか、米一粒にも五分の魂みたいな精神論を言っているのか?


「よし、良い子だ。ボウガン強いぞ!どんどんやっつけろ!!」


馬鹿だよな。俺もよりによって武器に話かけている。エリシアがやれって言うからやるんだけど、これ本当に意味あるのか?


そう思ってもう1発ボウガンを放つと・・・一回で、2匹のオオカミ貫きました。

同じ弓と矢なのに・・・さっきは刺さるのがやっとで、声掛けすると2体貫通って・・・。威力が変わり過ぎじゃね!?


<レベルが上がりました。>


突然、遠くから口笛が聞こえた。

オオカミ達は一目散に去っていく。


何が起こって…


口笛を吹いた奴。

遠くで二足歩行のオオカミの元に集まっていた。

二足歩行のオオカミって、投石オオカミじゃないか!!


と思った瞬間。


耳元で表現し難い爆音が鳴った。

何が起こったのかわからなかった。家の現状がひどい事になっている。

窓がめちゃくちゃ、俺の部屋もめちゃくちゃ。家の中に大穴空いてる。


落ち着いて何があったか思い出してみよう。あの人狼から岩が飛んで来たんだ。

でも投げるシーンなんて一切なかったのに飛んできた。いや、あいつ岩を蹴ったのだ。

それが飛んできて。俺に直撃した。俺は粉々に砕け散ったのだ。

めちゃくちゃ早かったし俺即死だった。


いや、待って。

今、直撃したんだよね。

俺、生きてるし、痛み感じてないけど一体どういう事!?死んで魂だけの存在になったのか?



「得武、大丈夫?回復薬スーパーで回復したよね今・・・生きてる?」

「生きてる。」

「一瞬、HP 0なってたよ。大丈夫?」


言われて俺はステータス画面を確認する。


「嘘だ。HP28。一つも減ってないじゃないか。」

「よかったね。死ぬ前に間に合って。得武が作った回復薬達が頑張って得武を生かしてくれたんだよ。回復薬達は優秀だ。」


なんだその言い回し、含みがあるな。何がどうなって俺が生きたいるのか全く理解出来ないけど、その言い方じゃまるで回復薬達が俺を勝手に治療したみたいじゃないか。


「ありがとう、命救ってくれて。」


これ、深く考えちゃダメなやつだ。

命の童貞捨てたってやつ。

回復薬あれば何回でも生き返るよってやつ。

ああ。俺の人生ってなんだろう。


「気を抜かないで。人狼、来るわ!!」


考えてる暇などなかった。人狼・・・あいつ単身で走り寄って来た。


こちらも覗いて頂けたら幸いです。


https://ncode.syosetu.com/n2498ih/


エルフの少女に転移した俺は神子として崇められる。無自覚に無理難題を解決する内に現実世界でも無双(大暴れ)する。


・・・タイトル通りの展開です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ