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六十八戦目

2話連続投稿です。


アルちゃんの憑依でつい先日の特訓を思い出していた。


エリシア指導のもと、アルちゃん憑依での訓練が行われたあの日のこと。

シンクロ率は初めは80%と酷いもんだが俺達はお互いに努力や経験を重ねていき、次第にシンクロ率95%までいくようになった。


中でも憑依した状態で寸分違わずに一緒に同じ行動をするという訓練はなかなかに面白い結果を得た。身体能力以上の行動が出来る。そこから編み出される連携攻撃は一種の強力な必殺技とも言えるクオリティだった。


だから攻撃パターンを決め、作戦AからEまで決めて置いた。

それが今、生きている。

現状、俺はクラン=アビスの幹部の1人眼鏡の男と一対一で戦っていた。


雪が寒い。これは野崎先生の魔法の弊害だ。


作戦A

接近強め。

ツインエッジ、蹴り上げ、斬り払い突き!!挟み切り。

魔撃!!

訓練しただけ合って順調だった。


「なんだ!!レベル100程度の癖にその攻撃力は!!」


アルちゃんのレベル×シンクロ率140%プラスエリシアの精霊魔法による身体能力2倍


魔撃とは剣に魔力を纏い、衝撃波を放つ技だ。眼鏡男を空中に吹き飛ばす。追撃でアイスニードル・・・氷の氷柱を飛ばす。


奴は翼を広げ、その推進力で氷柱を回避。だが俺のトラップ地獄は終わらない。

アイテムボックスオープン!!隕石カモン!!


「なんだと!!」


突然背後から隕石だ。巻き込まれ、地面に叩きつけられる。


「ふざけるな!!」


金色のオーラを纏い隕石を吹き飛ばす。

そこに不意をつくようにスパイダーネット×獄炎の罠のコンボ。

捕らえた瞬間一瞬にして炎に包まれる。一度着弾したら炎が纏わりついて離れない。

まだ俺のコンボは終わらない。


「精霊召喚!!いでよ!!アルちゃん!!」


目の前に立つのは立派なオオカミだった。

ゾアル。それ以外に何者でもない。

目を輝かしい銀白の毛を逆立て、両手に魔力のナイフを構えて突撃していった。


「わぁああおおおぉぉぉーーー!!!」


一瞬遠吠えかなと思う。実際にはスキル「神降し」

あれが本来の力。

俺が直に使うと後遺症を伴うがアルちゃんが使えば十分に実力を発揮できると言うもの。


地面を掛けた!!その反動で地面が抉れる!!

両手に剣を持ちそれで・・・斬るというより殴りつけるという方が正しく思える衝撃だ!!

殴る殴る殴る!!蹴る蹴る殴る!!

一振りで敵の身体の一部を抉り取る。それを高速で何度もするもんだから見た感じ微塵切りにされている敵。

だが、おかしいのは敵から流れるのは真っ赤な血では無く黒い影。

変だ。


スイッチ!!エリシア憑依!!

俺はボウガンを握り締める。

やはり精霊魔法の腕はエリシアには敵わない。


エリシアと一緒にこの場に集う精霊達に声をかける。この一撃に全ての魔力を込めて矢を放つ!!!火の精霊の溶岩をも溶かす魔術。風の精霊の全てを斬り飛ばす殺傷力を岩の精霊により、誰にも負けない硬さと推進力と貫通力を矢に付与し、光の魔術で再生能力を封じ、闇の魔術でシールド突破能力付与し全ての身体能力を低下させる。水の魔法で全ての魔法が喧嘩しないよう調和を促す。


その一矢は魔力付与を大いに重ね、3メートル・・・俺がその大きさに飲み込まれるほどに巨大な矢であった。


「アルケミスト!!」


放った時すでに着弾。速さはすでに光速を越えていた。


「ギィヤアアあああ!!!」


まさに断末魔の叫びだ。

眼鏡の、身体の上下が完全に真っ二つに割れていた。

影みたいなものが集まり、再生を試みているようだ。だが欠損部分が多すぎた。


痛みに堪えながら胴体同士くっつけているが、完治して気を失った。


勝った!!レベル3倍差に勝った!!


思ったら向こうでも決着か。

アラン少尉と敵のボスがもみくちゃになってこちらに転がり込んでくる!!


3メートル越えの巨体同士が転がってくるもんだからあたりの森林巻き込んでの大災害だ。

回避!!回避!!

うわっ逃げよう。


「俺たちの負けだ。頼む、俺はどうなってもいい。部下を助けてやってくれ。頼む!!」


ボスは負けを認めた。魔力も気力も使い果て、人間の姿に戻っていた。


アラン少尉は変身を解かない。そのまま圧を込めて告げる。


「俺の達の部下になれ。俺に尽くせ。今後は人類の為に尽力しろ!!」


巨大なドラゴンに睨まれた男の図。そのドラゴンが仲間なのは心強い。


「承知した。俺の名はアルストラ。部下への配慮感謝する。」


ダンジョンマスターのボスが負けを認めた事で変化が起きた。


<ダンジョンの権限がアランに書きかわりました。>


というアナウンス。俺は不思議に思った。

アラン少尉はスキル「覚醒」を解く。人型になったアラン少尉に俺は駆け寄り質問した。


「アラン少尉、ダンジョン、放棄しないのですか?」

「何故?」

「人間に害が出る。」

「それは扱う人間が悪い。俺は上手くやる。」

「待って下さい。アラン少尉は何の為にダンジョンの力を得るのです?」

「それは国力強化の為です。いずれ、ダンジョンを多く手中に収めた国が戦争で勝つようになる。でもわかって下さい。防衛の為です。人を悪い奴から守る為です。」

「大人の事情はよくわかりませんが、ダンジョンはこの世界に不要だと思います。放棄をお薦めします。」

「それは全ての戦いが終わってからデス。」


話合っているとそこへ、部屋の奥から青髪と赤髪の角の生えた女の子が出てくる。

まだクラン=アビスの仲間が居たのか!!とビックリする。

だが、その女の子2人は傷付いていた。赤髪の方は気絶している。


「どうしたんだそのレイチェルの様子は?ブルーノ、お前もボロボロだな。」


ボスがビックリしている。

女の子2人もこの惨敗な様子にビックリしている。眼鏡男は腹から血を流して気絶、ブルドック顔は氷のオブジェと化して、ボスのアルストラはもう手が上がらない状況。


「ボス、まさか負けたのですか。」

「ああ。でも、我がグループは解体しない。このアランさんの部下になる。」

「それって私達、実質の奴隷じゃないですか!?魔族のプライドはないのですか?」

「プライドにこだわれば俺はともかくお前ら全員死ぬ。」

「私は嫌です。気を失ってるから代弁しますが、レイチェルも人間には屈しないと思います。死んだ方がマシです!!」

「済まない。力不足で。」

「そんな事って・・・。魔族は最強って言ってたじゃないですか!!」


口論は続く・・・

その様子を見て考える。奴隷かどうかはアラン少尉次第だと思う。しかし、頭に角、お尻に尻尾が付いてたから魔族かなって薄々は思ってたんだがまさか本当に魔族だったとは。本気で強かった。

特訓してなかったらどうなってた事やら。

そう思いほっと胸を撫で下ろすのであった。


「お前達の方はどうなんだ?由布院は?」


アルストラはブルーノと呼ばれた青髪の女の子に呼びかけた。申し訳なさそうに首を横に振る。


「スライムの化け物が暴れて、レイチェルがこの状態です。私達も力不足でごめんなさい。」


由布院にスライムの化け物?まさか咲羅の事じゃないか?

何故この青髪に由布院の出来事を聞く?それはこの魔族が由布院に居てたからだろう。

由布院組には軍人のイエラさんがいる。それにクレハさんや綾香が居て、基本的に咲羅は表立って戦闘なんてしないでいい筈だし。


それに咲羅は人型を作るのが下手だ。他の人が見たらなんと思う?スライムのお化けだ。その文字通りの結果が由布院で展開されているのだろう。


嫌な予感しかしない。


キイチは言っていた。攻略ダンジョン同士でワープゾーンを繋げる事が出来ると。青髪がこちらに来れたのもまさにその現象だろう。だからこの先に由布院へと繋がるワープゾーンがあるはず。


高速で頭を回転させると、俺の行動は早かった。


「アラン少尉、野崎先生、俺嫌な予感がします。俺、行って来ます。一緒に来てもらえないでしょうか?」


野崎先生が答える。


「危険です。敵か味方か分からないじゃないですか?魔族がこんなボロボロになる相手がいるのです。行くとしても少なくとも休憩してから行くべきです。」


次に俺はアラン少尉をみた。


「情報が少ないデスネ。行くとしても、もっと聞き出してから。それにこの魔族達を放置して行けません。しっかり手綱を握らないといけないでしょう。」

「すみません。1人で行きます!!!」


俺は駆け出していた。


「待ちなさい!!新子君!!」

「そうです!!待って下さい!!」


野崎先生とアラン少尉に止められた。でも俺の早まる気持ちは止まらない。咲羅に何があった!?


長い廊下をひたすら真っ直ぐ走ると、従業員専用の勝手口のドアに行き着く。

その扉を開け放つと大きな滝壺が広がっていた。湯気立ち、卵の発酵したような硫黄の香り・・・これ全て温泉なのだ。


「温泉の中から隠しゲート発見!!私の目に誤魔化しは効かないわ。」


ニヤリと笑うエリシア。

その鑑定眼に隠しゲートの文字が写り込んだのだろう。


「でかしたエリシア!!」

「それより咲羅よ。」

「隠しゲートだろう。キイチも言ってたな。ダンジョンにはやはりワープゾーンがあるんだな。」

「ええ、私の鑑定によると由布院のダンジョンに繋がってるわ。」

「鑑定って、そんなことまで視れるのか。」

「ええ。よく集中して視れば分かるわ。」

「流石エリシア。咲羅を助けに行こう!!」


エリシアの助言を試すため鑑定発動。ワープゾーンの利用方法を調べた。

<ダンジョンマスター及びその関係者のみ使用可能>という文字が浮かび上がる。


ダンジョンマスターマスターといえばアラン少尉に権限が移ったが・・・。

不幸な事に<封印状態>と出ている。


鑑定・・・更に集中して封印の解き方を視る。

<大量の魔力が必要。INT1000推奨。>


錬金術で俺がミスリル以上の素材を加工出来ないと同じ原理。INTの数値が少なくてMP効率が悪いのだ。


INTは魔法の威力にも直結する。封印を解く事は錬金術とは関係なく錬金術補正のスキルの恩恵を受けない。

魔族達にお願いして封印を解かせるのも変な話。言う事を聞くかも怪しい。というか俺の言う事なんて聞かないだろう。


くそっ!!急いでるのに!!俺とエリシア憑依したとしてもINT1000には届かない。どうすればいいんだ!?

策を練るがどう考えても今のままでは到底無理。今のままでは・・・

そうだ!!この手があった!!

そこで思い出すのは一つの選択肢・・・成長値の可能性に賭ける!!!


<精霊魔術師にクラスチェンジしますか?>


YES。


目に見える変化はないのだが、一瞬身体が軽くなった。そして身体の奥底から目には見えない力が湧いてくるのであった。

精霊魔術師・・・魔術師というだけあって魔力のステータスは高い。


INT300まで跳ね上がる。


「エリシア、手伝ってくれ!!」

「憑依ね。わかってるわ。」


まさに阿吽の呼吸、エリシアが俺の中に入ってくる。緊張の局地に立たされているのだが、心温まるような感覚に頼もしさを感じた。


これでINT670+される。俺のINT300と合わせて1070の大台に乗る。


さらに、先ほどここでは戦闘が行われていた。沢山の野生の精霊達が集まっている。スキルで呼びかけた。

呼びかけに応じて沢山の魔力が集まる。


「得武、まさかクラスチェンジした?」

「ああ。」

「凄く魔法が使いやすい。これならいけるわ。」


精霊の魔力も併せてエリシアは精霊魔法を解き放つーー

目には見えない魔力の渦が幾重にもがんじがらめに結ばれている。それが一つ一つ結び目を解くように優しく封印は解かれていく。

温泉の色がこがね色に変色。

水滴が波紋のように広がり、まさに異界への門を現しているかのようだった。


「解けた!!」


憑依したエリシア、俺の声は重なった。即行動を移す・・・

温泉へダイブすると、目の前が真っ白になる。

なんというか眩しくて何も見えない!!

焼け付くような目の痛みに耐えながら光が治るのを待つ。


目が開けられるようになった時、俺は温泉の中にいなかった。空気が冷たく、あたりは薄暗い。


それはワープの成功を意味していた。

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