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六十六戦目

* 咲羅視点



少し時間を巻き戻す。


赤髪に致命傷は与えた。影を切ったようなあの不思議な感触はなく血を流して倒れている。

確実に殺すつもりで攻撃したのだけれども・・・しかし命を奪うには至らない。


影になって攻撃を塞がれたかな?それとも自動再生能力でもあるのかな?


青髪が動いた。


「レベル300はあるのに。レイチェルが気絶!?貴方は一体?」

「私のレベルは今100だから、500まではいける。」

「貴方、何を言って?」


私は格上ばかりを相手にしてきた。ふと、モンスターが出現した初日の出来事を思い出していた。

初めて戦ったオーガも私のレベルの4倍から5倍程のステータスを秘めていた。


私自身に肉体強化魔術を駆使して戦ってたっけ?

だから5倍強い敵でもいける計算になる。

私はそれだけのポテンシャルを持っている。


「ふざけるな!!」


鍔迫り合いになる。

青髪、華奢な見た目のくせに力は強かった。角が光る。筋肉に筋が見える。


このままでは押し切られてしまう!!

私は身体強化の割合を力8割、素早さ2割に振り分ける。力は私の方が有利になった。と思ったのは一瞬だった。


「油断したな。」


敵がニヤリと笑う。途端に敵の刀が五つに分かれた!!いや、そもそも刀じゃない。長く鋭い爪だ!!

私の首に鋭い爪が迫る!!


「波状絶影!!」


絶影は気配を絶ち、不意を突く技。敵は一瞬私が消えたように見えただろう。

体制を極度に低くし、爪の間を縫うように剣を振り抜く。


これは気を纏い、魔力を纏い。衝撃波を3段階の波状攻撃に乗せてそれをやってのける技。

敵の意識が追い付いた。回避行動をとるがもう遅い。

ただ避けるだけじゃかわせない。衝撃が必ず急所を襲う。


「ぐぅはぁ!!」


このリアクションといい、確実に貰ったと思ったのに、手応えが無かった。

まるで風船を斬ったような感覚。肉を断つ手応えではない。


「貴方、確実に斬ったのに血がつかないの。どうなってるの!!?」

「そういう体質よ!!」


痛がってはいる。ダメージはあるのに胴体真っ二つになってない。


十本の爪が私を襲う!!

私の剣は一本!!十本も相手に出来ないわっ!!


アーティファクトレベル3発動!!


「まだ攻撃力が上がるか!!」

「その爪をへし折る!!!」


私の戦闘スタイルは身体強化魔法をその都度、状況に合わせて変化させている。割合を素早さ8、力2割で調整奇襲をかける。

違和感は突然訪れた。全然スピードが早くならない。そもそも魔法が形になっていない。魔法禁止のダンジョンに入った時みたいに邪魔をされている。


ーーいや違う!!利用されているのだ!!

突然衝撃!!


「今のを防ぐか!!」


偶然だった。

敵のスピードが爆上がりしたのが分かった。咄嗟に剣を引っ込めると何かを塞いだ。


十本の爪の軌道が早すぎて正直分からない。

もう感覚で剣を振っている。

防戦に徹しながら攻撃を防ぐ防ぐ防ぐ!!

こんなになんとなく剣を振って、防げるものなのだろうか?


違う。そうじゃない。このゾアルソード、意志を持っている。


そういえば私達の装備にはエリシアが命を吹き込んでいる。その為意識があり、レベルがある。ゾアルソードは恐ろしいほどに私が何も考えずとも攻撃を防いでくれる。

得武兄の武器は私の能力のアシストをしてくれる。


敵は苛立っていた。


「なぜ!!これだけ素早さに差が出てるのに当たらない!?」


馬鹿正直に答えるのは敵だけだ。挑発を込めて適当に答える。


「技術不足じゃない?」

「舐めるな!!」


青髪の表情が険しい、まるで般若像のよう。怒りに任せて攻撃が直線的になる。攻撃を捌きやすくなった。


私の意識を攻撃に転換した。地面を一瞬泥に変える。

が、青髪は見ていた。地面に着地しない。重力魔法だろう。

上空で向きを変え飛行し斬りかかってくる。


鍔迫り合いになる。しかも怒ってるのもあってすごい重い!!!さらに九本の爪はフリーなのだ。

なかなかしんどいよ。自然と剛力が発動している。でも押し負けてしまう。


「お前の奪った魔法なかなかだな!!」

「そりゃどうも。あげるって言ってないし。使ったMP返して。」

「舐めた口を。勝手にMP奪うくせによく言えるな。」


私のMPドレインのスキル、バレていたようど。

一旦下がるか、再び身体能力向上を使うか悩む。


そこへ予想外の状況が起こる。

大砲のようなものが木々を蹴散らしながら私達へと飛んで来るのであった!!


青髪、鍔迫り合いを諦め、緊急回避!!

体制を崩した私に回避の余裕は無い。受けるしかない!!


魔法で身体能力向上させ、剣でそれを受ける。

空気を震わす!衝撃波が飛ぶ!!思わぬ威力に目を見張った!!


そして攻撃の主が新手の魔族ではなく軍人のイエラさんだった。なんか感電したよにビリビリする。

オートガードも発動している。あの武器、油断出来ない。


「待って!!!邪魔しないで!!」


声の調子が良くない。曇った声が出る。


チラッと青髪の方を見る。

劣勢とみたか、赤髪を回収し戦線離脱を図っている。


逃がさない!!眷属召喚!!アクエリア、奴を追跡して!!


離れた場所、木々に隠れるように召喚。心の中で指示を飛ばす。

(了解、マスター!!)


問題はこのイエラさん、敵意、通り越して殺意剥き出しだ。

目を見開いて、光の糸のようなものを引いてる。どれだけ感極まってるのか。


腕を大きく振りかぶってーー

私を殴る、殴る、殴る!!

一撃必殺・・・・・・大砲のような衝撃が何度も何度も刀越しに伝わる。


本当痛いわっ!!!殺意高すぎでしょ!!私が何をした!?


帯電してるのか殴られる度、青い稲妻がバリババリ!!と走っている。刀で防ぐが、その属性ダメージとか気の衝撃とか無効化出来ない。腕ごともう麻痺ってる。


幻影蓮舞刃!!


元々は歩行術である。緩急つけて移動する事により分身してるように見せる技。それを高速でやる事により10人に見せる。

そこからの攻撃だ。これも不意を突く。リズム良く連続でやる。急所は狙わない。足止め程度だが。

イエラさんの周りに薄い膜のようなエネルギーシールドがあり、私の全ての攻撃が弾かれてしまった。


が、計算のうち、私は戦闘を続けるつもりはない。足止めして説得できればいいと思ってる。


「私は味方よ。武器を納めて!!」

「魔族。黙リナサイ!!」


カタコトの日本語。

魔族って誰の事?カタコトすぎて解釈を間違えたのかな?でも確実に私の事を魔族と言ってるよね。


「え?ちょっと、勘違いだって!!」


私は軍に包囲されていた。総勢30人の銃口が私を狙う。

叡智発動。即席の結界を作り対応!!


「ゴー!!」


軍30人の集中砲火!!


直撃!?痛い!!何これ?バリアが意味成さなかったよね。なんの魔道具?

それに能力が封印された感覚がする。やられたキツイわね。


「魔族じゃないんだってば!!」

「じゃあ貴方はナニ!?魔族より強い!?モット危険です!!」

「正直、恨みのない人間と殺り合う理由ないんですけど!!」


私は剣を構える。

しかし、イエラが早い!!

天高く飛び上がった!!凄い魔力が集中している。


直撃はまずい!!受けるのもダメ!!じゃあ何で回避する?

魔法?今、魔法使おうとすると激痛が走るんですけど!!!

麻痺でおかしくなった腕を動かして剣を握る。



突然、私とイエラの前に立ち塞がる者がいた。


「綾香ちゃん!?」


ビィィィィジャァァア!!!


甲高い音!落雷のごとき一撃だった!!空気は震え、その場にいるだけで皮膚がビリビリ痺れる。


「ミス綾香、今の一撃はドラゴンを怯ませる一撃ですよ!!全く動かないなんて。」

「戦いを辞めてください!!」

「麻酔弾用意!!」

「戦いを辞めてくださいって言ってるでしょう!!」


綾香ちゃんは怒ってる。


「綾香ちゃん、この攻撃、魔法だよ。防御力を貫通する!!」


忠告してる最中だった!!

数発放たれた麻酔弾!!

私は紙一重で避ける。しかし綾香ちゃんは盾で受けてしまった!!

これだけの麻痺銃絶対にやばい。中毒症状とか大丈夫だろうか?


「ああ!!もう。みんな、これ以上は許さないよ。」


私は皆を睨みつける。

こんな顔無し姿でも殺意って飛ばせるらしく、軍隊皆後ろに後退っていた。バランスを崩して倒れている人もいる。


「咲羅ちゃん、私まだ死んでない。」

「麻酔するフラグだったじゃない。」

「ポーチにオート万能薬入ってるから。」


なるほど麻痺して即回復と。


「それは怖くないね。」


もう。殺意剥き出しにしちゃったじゃないの。私の好感度返して!!

イエラは拳を高らかに上げる。軍人達も真似して上げている。何がくる!?


「オーバードライブ!!」


抜群の発音だった。見た目が変化する。なんの姿になったのか確認する前に消えた!!素早さが段違いだ!!

兵士達も何かしらの能力が上がっている。


「タウント!!」


綾香ちゃんが全員の敵意を引きつけた。

しかし、イエラさんには何故か効いてない様子。


イエラさんの攻撃!!

死角からのアッパーだろうか。綾香の盾は間に合わない。だが、向こうにもエナジーシールドがあるように、こっちにもオートシールドがある。弾かれていた。

その隙に


「私が相手!!咲羅ちゃんに手を出すな!!!」


私はイエラを蹴り飛ばす!!

エネルギーシールドのゴムを蹴ったような違和感を感じる。

宙に浮かし・・・エアロブーストで飛び、蹴る!蹴る蹴る!!

さらに空中飛び膝蹴りを3連発!!

空中コンボという奴だ。


剣で斬ったら本気で両断してしまう為蹴っている。だが、今のイエラさんは早すぎる。

着地させたら手に負えないほどに戦場をかき回すだろう。

正解は空中戦。空中なら自由に動けない。


さらにサマーソルト!!

イエラを蹴り上げ対空時間を稼ぐ。


「あなたは空中戦は初めてかしら?」

「ユー、私を着地させナサイ。」

「嫌。」


(ご主人様、魔族を取り逃がしました。)


通信が入る。

やはりレベル100程度のカッパじゃ無理だったか。と落胆した。空中コンボしながら指示を出す。


(ご苦労様。元の川に帰って)

(ワープゾーンに逃げられました。ご主人様の叡智でどうにか繋げられないかとご相談です)

(ワープゾーン?それはでかしたわ。後で行くからそのまま待機で。)

(分かりました)


念話でやりとり。

後で行くとは言ったものの、この戦闘いつになったら終わるのだろうか?

殺す気がない以上攻め手に欠けるよ。得武兄、私どうすればいいの?このままじゃイエラさんを殺すことになる・・・


綾香に何かあれば奥の手を幾らでも開放しようと思ってる。

でも、みんなに罪は無いし出来る事なら平和的に解決したい。

得武兄ならどうするか?良い案は思いつかぬままただ時間だけが過ぎていくのであった。


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