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四十四戦目


あろうことか俺の事を規格外とか言い出す始末。

なんて井の中の蛙なんだろう。

俺より強い奴なんて五万といるだろう。


現に、俺が千人居ようと、ラウダには勝てない。

俺1人じゃブラハム様や、エリシアにも勝てない。


いや、待て、姉貴って誰だ。

もしかして、


「姉貴って誰?」

「姉貴は兄貴の妹さんですよ。」

「そうか。そうだったか。咲羅もいろいろやってんだな。」

「俺たちの目標です!!」


野郎共の顔がキラキラしてきた。

まぁ、咲羅の知り合いとあっては無碍に出来ないな。


「ダンジョン潜って、これから強くなってくれ。妹がお世話になった御礼だ。この回復薬スーパーも渡しておく。」


「ありがとうございます!一生大事にします!!」


「絶対に死なないでくれ。」


「イエッサー!!」


ヤンキー達と別れる。



職員室へと訪れた。

綾香と冬月先生とリノさんが何か話してる。

霊体化したエリシアまで居てた。


リノさんは喋らずノートにひたすらメモを取って居た。

3つ同時に開いている、

チラッとメモの内容が見えてしまう。

よく整理されていた。

1つは問題が箇条書きにされ、改善策を別ノートに書いていた。

リノさん、看護もやって、秘書もやって、一体校内で何者なんだろう。

さっきまでのテンションはどこへやら、いつもの風紀委員の顔に戻っていた。


「エムル、ちょっといい?」


綾香に呼びかけられる。


「なんだ?」

「ちょっとこれ見て。」


冬月先生が出すGoogl○マップは事細かな情報が刻まれていた。


攻略出来てない地区の情報。

別府方面へのルート、主に西側が基本的に進んでいて東側が全くと言っていいほど進んでない。

大分川に何故かレベル100越えのボスが住んでいるという謎。

区間毎に大ボスが居座っているらしいが。


正直な話、レベル100ぐらいで苦戦しないで欲しい。

俺の家の近所のダンジョンを見ろ。ダンジョンマスターのゾアルを見ろ。レベル250だったぞ。


「東側が全く進んでないの。先生と話してたんだけど私レベル100行ってるしボス倒しに行っても大丈夫かな。」

「レベル100程度のモンスターなら余裕だろう。俺も行くけどイレギュラーな事があったら逃げるぞ。怪我だけは気を付けろよ。」

「エムル、ありがとう!!」


冬月先生及び皆の視線が俺達に集まった。

あれ?俺、何か変なこと言った?


「レベル6がなんで偉そうなのよ。」


冬月先生から鋭いツッコミが来た。確かにそうだ。

まともに返そうと思ったら能力の事全てオープンする事になる。


「それもそうですよね。」


と笑っておくのが正解か。


「まあいいけど。綾香さんの事なんだけど、レベルってレベル99が限度よね。私ら鑑定部隊が鑑定しても田辺さんのレベル測定不能になってるし。そのレベルって一体何?」


冬月先生の鋭い観察眼が光る。


普通に考えてそうだろう。レベル99がマックスなのが常識だし、クラスチェンジとか限界突破とか話そうと思ったら精霊界の存在とかいろいろ話さないといけなくなってしまう。


(ラウダの事もあるわ。悪用されたら困るし、秘密にしておくべきじゃないかな?)


エリシアも心配そうに俺たちに念話を送る。

いや、言われなくても分かってるって。

俺も、綾香も視線を送り合いうなづいた。


「限界突破なら野崎先生もやってるでしょう。これでも私、めちゃくちゃ頑張ったの。」


「頑張ったのって一言で言うけど、咲羅さんといい田辺さんといい本当規格外よね。普通こんな一週間程度でレベルマックスにならないわよ。それこそ異世界攻略者の野崎先生だって1週間で1つレベルが上がれば良い方だって言ってたのに。」


(そもそも異世界とここでは出てくるモンスターの量が全然違うでしょうが!!)


霊体のエリシアの突っ込みは残念にも聞こえない。

まぁ俺たちに聴こえればいいのだろう。


「冬月先生、行って来ても大丈夫ですよね。」

「野崎先生も一緒に行ってもらいます。それなら大丈夫です。」

「ありがとうございます!!」


綾香は礼を言う。

リノさんは筆を止めた。


「私すぐ、野崎先生に伝えて来ます。先生と綾香さんは出撃の準備を」


「ありがとう。留守中、頼んだわよ。何かあったら連絡する事。」

「分かりました!!」


一行は出撃の準備に取り掛かる。





現地に到着する。

野崎先生は少し遅れて来るそうだ。


エリシアにも同行して貰ってはいるが、極力関与はしないようお願いしている。

アルちゃんも綾香にくっついて来ているが大人しくしている。


ここに来て思う。街の崩壊っぷりが特に酷い。全壊した家屋やビルが多く、悲惨の一言に尽きる。

思い出の公園、思い出の飲食店、思い出の道、全てが無くなってしまった。

復旧の余地無し。


その悲惨な状況は川の向こう見えなくなるまで続いている。

川の向こう側はまだモンスターが蔓延しているようだ。

なんか悔しいな。


事前情報からは、川を泳いで渡ろうにも川の主がいるため、渡る事が出来ないと聞いている。


なら、俺が橋を直せば良い。川辺に落ちてる石材を錬金術で構築し、ブロックを即席で積み上げる。


「ちょ、ちょっと待って新子君!!ちょっと何してるの!!」

「先生、橋を直してるんです。」


何千個にもなる石材を作成!!アイテムボックスに収納。


今度は土台を作り、格子状の鉄のワイヤー編んだ奴を向こう岸にかける。

その作業はまるで植物が成長していくかのようにゆっくり伸びて行く。


その強度を確認すること、ゆっくり足をすすめた。

一歩、歩く毎に足元から魔力がはしり、ただの骨格だった橋に肉付けされていく。



「直してるって言わないでしょう!!何も無いところから新しく創ってるっていうのよ!!」

「何も無いところに物なんか出来ませんよ先生!!」


空いた口が塞がらない先生。

俺の頭には細かい計算で頭いっぱいなのだが。


綾香が走って近寄って来た。


「エムル!!また面白い事やってるね。」

「綾香か!そうか?面白い?」

「面白いよ!!3Dマッピングとかトリックアート見てるみたい。」

「なるほどそんな感じに見えるのか。」

「アーチの骨組みにアイテムボックスから解放された石材がボトボトって落ちて配置されて行く様子とか。配置された側からくっ付いて行く様子とか凄いパズルゲー見てるみたい。」


なるほど、だから先生はびっくりしてたのか。

綾香の説明を受けて初めて納得できた。

このやりとりに不服の先生。


「またって何?これ普通なの?面白い事っていうか、CGよね。リアル天地創造よね。」


綾香が先生の肩を叩く。


「先生もしばらくしたら慣れるよ。いちいちリアクション取ってたら疲れて死んじゃうよ。諦めが肝心。」


「私の言おうとしてた事はそんな事じゃなくって。ああ、なんて言おうとしたか忘れちゃったじゃない!!」


「忘れるぐらいの事なんて、どうでも良い事ですよきっと。」


「そうかな。忘れちゃいけない事だった気がする。」


「思い出したら言って下さい。エムル!!随分と立派な橋よねえ。以前の橋より大きいんじゃない?あまりやりすぎたらダメだよ!!」


後ろで綾香と冬月先生のやりとりを聞きながら俺は手を動かしていた。


「勿論だって!!」


「新子君、元気ね。新子のMPってどうなってるのかしら?って違うでしょう!!何を呑気に橋建設してるのよ!!危ないでしょ!!モンスター出るのよ!それも凶悪なモンスター。野崎先生来るまでに貴方瞬殺よ!!戻りましょう!!」


冬月先生が思い出した!!

そんな事はすでに知っている。元々そのボスを倒しに来たんだし、橋渡しはむしろサブミッションだ


言ってる側から川底から何やら不審な物陰が見える。

蠢いていた。

言霊ってあるけど、言葉にしてすぐ現実になるなんて。先生なんか持ってる人かな。


「エムル、なんか居るね!!大丈夫!?私ターゲット取るよ!!」


「オッケー。任せる!!」


綾香は槍と盾を構える。

戸惑っている先生がいた!


「えっ敵!?私、言ったがそばから!?」

「先生、危ないから私のそばから離れないで下さい!!」


綾香は先生の前に立つ。先生の視線は綾香の盾と槍に釘付けだった。


「綾香さん!?フランスパンと大きな丸いパン持ってる!!綾香さんあなた、そんなボケするキャラじゃなかったわよね!!遊んでないでもっと危機感を持って下さい!私、死んじゃう!!」

「先生、恥ずかしいのですが私は真剣なんです。面白い見た目をした武器なんでスルーして下さい!!」

「いや、どう見てもパンでしょ!食べ物でしょ!!もう無理!!」


川底から声が聞こえてくる。

いや、そんなに深い川ではないのだが。


返せ。返せ。返せ……。


一体川底には何が住んで居るんだろう?

返せって何を?

なんか対人トラブルでもあったのだろうか?


「ほら、なんか変な声がするじゃないの!!ボスよ。私の鑑定眼にはあの川底にレベル100のボスがいる!!」


「先生、怖いのはわかりますが、安心して下さい!!大丈夫です。私がいます!!」


「フランスパンで倒すの!?その自信はなに!?どこから湧いてくるの!?田辺さんはいつから無謀な人種(あっち側)になっちゃったの!?一週間前までは咲羅さんを止める側だったわよね!!」


「先生、敵が来ます!!」


ザァヴァァァアアーーーン!!!!


水中から壮大な水飛沫を撒き散らして飛び上がる緑色の生物。

建設中の橋に着地した。

夕暮れに染まるそのシルエット。それは人形。緑の皮膚をした生物。目は充血し、背中には甲羅がある。頭には皿を乗っけていた。

どこかで見た事がある。妖怪でこんな奴居なかったっけ?


なんて考えてると、先生は白目を剥いていた。

俺は先生を抱きかかえ、綾香の後方に待機。


綾香は敵を睨み武器を構える。


「これが噂の河童ね!!」


そうだ。河童だ。思い出した!!


「お前ら、川を汚した。裁きを加える!!」


河童はゆっくり近寄ってくる。

綾香はずっしり構えて敵に声をかける。


「川汚したのって、モンスターが橋壊したからじゃないの?」

「もっと前から汚れてた。人間が汚した。人間、消す。」

「そうなの。それはごめんなさい。以後気をつけます。」

「もう遅い!!粛清は決定事項なのだ!!」


河童は槍を持って襲いかかってきた!!!


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