表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/159

四十一戦目

一週間ぶりですよろしくお願いします。

「エリシア。お前も手伝ってくれないか?」

「私?いいけど精霊召喚する気?小精霊いないのにどうするの?あなたが私1人を召喚するだけの魔力持ってるの?無理だって。」

「助っ人を呼ぶ。」

「へ?」


俺は名刺を取り出した。

ラウダ召喚!!


「得武!馬鹿!!切り札の無駄遣い!!」


エリシアの叫ぶ声が響くがもう遅い。俺は勇者ラウダを呼び出す。

黒く禍々しいオーラで染め上げられた特殊な魔法陣が上空に広がる。その余波で校内が揺れる。


「え?何が起こったの?」


その、おぞましい召喚陣に学校の生徒ら、先生、皆視線が集まる。

召喚に応じて金髪のイケメン勇者が現れた。

目は血走り今にも相手を呪い殺す様な顔つきをしている。


「得武!早い召喚だな!さあ、倒して欲しい奴はどこにいる?」


腕まくりまでしてやる気満々だ。


「倒して欲しい奴はいない。料理するのに人手が足りないんだ。怪我人と病人だらけだから皆に精がつくものを作ろうと思う。」


「料理?え?料理だって!?そんな事のために俺を呼んだのか?」

「そんな事の為じゃない!この学校の死活問題なんだ。」

「死活問題!?待ってくれ、俺出ないといけない理由って。」

「友達だろ?手伝ってくれるよな。」


キョトンとしながら俺を見つめるラウダ。

ゆっくりと言われた言葉を飲み込むように言葉を繰り出す。


「ああ、もちろん。もちろんだが、もっと良い使い方があるだろう。」


「後、エリシアを召喚するのに魔力が足りない。力を貸してくれ。」


「それも俺の出る幕じゃないって。それな。精霊魔術のスキルレベル上げれば簡単な話だからな。」

「ラウダ、俺、レベル全然上がらないんだ。知ってるだろ?」

「お前、レベル上げたいのなら一度全裸で武器持たずに戦って見たらどうだ?」

「それ、なんの罰ゲームだよ。」

「やるぞ。片手を上げろ。」


ラウダの魔力が俺の手に集まる。


「精霊召喚術!!具現化せよ!エリシア!!」


俺はラウダの力を借りてエリシアを召喚した。

白銀に輝く魔法陣から光のシルエットが浮かび上がる。


「どうもエリシアです。精霊やってます。」

「おおー!!!」


エリシアの召喚はとても神々しかった。

笑顔で手を振って皆んなにサービス。

その演出に皆が見惚れる。


「神様だ。」

「神様ね。」

「神様が来てくれた。ありがとう!!」


あろう事か、皆手を合わせて拝んでいる人までいる。

エリシアはもちろん人間サイズだ。

透明な羽も付いてるし魔力を纏って後光が射してるし、天使とか神とかそんな感じに見えるのだろう。


「なんで俺の時より反応が良いんだよ。」

「ラウダの召喚はなんか禍々しかったからな。」

「俺の時無反応だったし、この差はおかしいだろ。」


パンパンと手を叩く音。


「ハイハイ、皆んな集まりましたね。今日は団子汁です。エムル、材料を。」


そんな感じで料理が始まった。

料理はだんご汁。大分の郷土料理である。

2000人の食糧と言ったらどれぐらいの量だろうか。

ざっくり言えば味噌ベースの豚汁にきしめん状の小麦粉で練った団子が入る。


アイテムボックスオープン!!


大根100本、人参120本、ごぼう200本、里芋100キロ、羊の魔物3頭分、錬金術製法味噌100キロ小麦粉100キロ後、ハーブを綾香に言われたとおりに用意する。

こんな感じだろうか?

アイテムボックスからだすと、食糧だけで家庭科室が一杯いっぱいになる。


「今、エリシア様の手が光ったわ!」

「神様、エリシア様、貴重な食糧恵んでくれたのね!!ありがとうございます。」


あれ?エリシアが出した事になってる!?

アイテムボックスを共有で使ってるから何かしら反応あるのは間違いないけど。あれ?

エリシアもその気になって咳払いしてる。


「良い。これぐらいなんでもないわ。」


なんで!!

いや、確かにエリシアのアイテムボックスだけどさ。俺がコツコツ集めた食糧なんだけど。

俺の食糧ほぼ空っぽなんだけど!!

なんかエリシアも神様っぽい振る舞いになってるし。


「それじゃ、みんな頑張って野菜の処理していくわよ!!」


料理は綾香担当だ、指揮は綾香に任せれば良いのだろうが。


「そんなの魔法で刻めば良いだろ。」


ラウダが指を鳴らすと風が巻き起こる。

それが真空の刃となって野菜及び羊肉を刻んでいく。


おおおーーー!!


と歓声が湧いた。だが、綾香が野菜をまじまじと見て目を瞑る。ゆっくりと口を開いた。


「ラウダさん!ちょっと切り方雑です!形揃えて欲しかったですよ見てよこの人参なんて、四角いのと丸いので形バラバラだしサイズも倍違う。」


ラウダが戸惑う。


「お、おう。そうか。」

「それに野菜もまだ水洗いしてないですし、なんで地面に切った野菜をぶちまけるんですか?」

「済まない。」

「これ全部綺麗に水洗いしますからね。魔法は禁止です。」

「はい。」


エリシアはラウダが素直に言う事聞く様子を見てくすりと笑う。

これを機に皆が作業に取り掛かる。


野菜を丁寧に洗う係、小麦粉をポリ袋に5等分して分けて入れ、水と塩を入れ足で揉む係。

後刻まれた羊肉を綺麗に集める係。

鍋を10個用意して水を沸かす係。


ラウダも登場シーンこそ禍々しかったが、普通に見たらイケメンだ。エリシアも交えて女子生徒達に質問攻めにあっていた。


咲羅も出て来て、手伝おうとはしてくれるのだが。

もの一つ運べない。

アルちゃんは横で羊肉をつまみ食い。

精霊なので目撃者は無しなのだが。咲羅はアルちゃんの尻尾に噛みついていた。


「咲羅、ここはみんなに任せようか。」


俺はスライムの咲羅を持ち上げる。


「新子君、そのスライムの名前?」

「冬月先生、名前も何も咲羅本人です。」


言った瞬間、間に割って綾香が入ってくる。


「エムル、ちょっとそれだと頭おかしくなった人だから、ちゃんと説明しないと。」

「田辺さん。説明って?」


「冬月先生は私の首元に咲羅ちゃんの眷属の紋章付いてるの分かりますよね。」

「ええ。」

「同じ紋章がこのスライムの体にも付いてるんです。つまり、同じ契約を結んでいるという事です。」

「なるほど。それって新子さんが生きてるって事じゃない!!」

「そうなんです。」


先生は俺に視線を向けた。


「でも、新子君、妹と同じ名前にするのは妹さんに失礼よ。」

「先生、同じ名前にするも何も咲羅の魂が中に入ってるんです。」


咄嗟に綾香が俺の口を塞ぐ。


「話がややこしくなるから。シーだよシー!!先生、綾香ちゃんの事良く知ってる人と連絡取れませんか?」

「良く知ってる人ってライラさんよね。野崎先生に聞かないと分からないわね。」

「野崎先生に後で合わせてくださいね。」

「ええ。」


野崎先生というワードが出た途端、咲羅が綾香に飛び乗り手を噛み始めた。


「咲羅ちゃんに似て本当に野崎先生の事嫌いなのね。」


雑談を挟みながら作業再開。


沸騰したお湯に野菜とお肉とお味噌を入れる。そのまま煮て置いて、別の鍋では小麦粉の生地をちぎって茹でていく。


耳たぶぐらいに柔らかい生地を冷蔵庫で1時間休ませる。

それを一口サイズにちぎり、それを更に30分休ませ、その生地を揺らしながら引っ張っていく。

きしめん状に伸びるのでそれを沸騰したお湯に入れていく。

浮いてきたらオッケーだ。

出来るだけ薄く伸ばすのがポイントになる。


茹でただんごをザルに開けて味噌ベースの豚汁に入れて一煮立ち。

これで完成だ。




全員で鍋持って体育館へ移動する。

後で気づいたのだが、アイテムボックスを使えばよかった。


材料を切る手間はなかったものの、だんご茹でるのに時間かかりすぎた。茹でるだけで2時間かかるなんてとんだ苦行だ。誰だ団子汁やるって言ったの。


トータル5時間掛かってる。


校内放送を流してもらって生徒及び、避難民に体育館に集まってもらった。

俺と綾香のペアとラウダと女子高生達、エリシア冬月先生達、その3ペアに分かれて炊き出しを配る。

各自机を出し、鍋を置き、紙皿へと注いでいく。

これも結構な重労働だった。


配りながら綾香に一つ疑問を振った。


「綾香、あの羊肉どうやって処理したんだ?魔力が強すぎて一般の人が食べたら魔素中毒を起こすんじゃなかったっけ?」


「一旦羊肉をハーブと塩で揉んでおくの。そうする事で魔素が中和されるから洗い流して鍋に入れたの。」

「なるほど。」


精霊界で学んだ生活の知恵だった。

本当に頼もしい存在だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ