四戦目
咲羅視点が続きます。
よろしくお願いします。
*咲羅視点
私はグラウンドにいた。
学校の生徒達の謎の不審死が相次ぎ、学校中大パニックを起こしている。学校の先生達も救急車、警察等に電話を掛けるが繋がらない状況だ。
そんな中、不審死の正体を私は知っている。丁度目の前にその原因となる謎の現象が起こる。
地面に黒い影のような円が発生すると、沼にでもなったのだろうかボコボコと沸騰する。
その盛り上がって出来た土から動物に似た形状の姿を作り突然それが動き出す。
私の隣には幼馴染の姿があった。
「綾香ちゃん、絶対手を離さないでね。」
手を引きながら、地面から沸いて出てきた異形の生物をもう片方の手に持っていた刃物で斬り伏せる。この斬り伏せ方にも「絶対に切断する!!」という強い念みたいな気持ちを込めないと空を切るもんだから癖が強い敵である。
猿の姿をした異形の者の首は地面に落ちる。すると黒い泡となって消え、そこにアイテムを落とす。大体の場合<石>である。
「なんで手を離すと見えなくなっちゃうの?」
幼馴染の質問に答えられないでいた。
「知らない。逆に聞きたい、なんであんなおっかない化け物が目に見えないの?抵抗出来ないじゃん。」
朝はなんともなかったのだ。放課後、私は次の試合に向けて
部活に取り組んでいた。その剣道の練習中・・・ヘビのような気持ち悪い生物いたから竹刀で叩き殺したら
<ステータスを取得しました>
って頭に響いたのだった。
そこからというもの化け物ばかりが現れ続けて部活どころではないのだ。
私1人、化け物たちを殴り殺して行っているのだが。
化け物、殺してしばらくすると消える。
まるでゲームの世界だった。
後で知った事なのだが、化け物が見えるのは校内でも限られた人数。ほとんどの人間は見る事も触れる事も出来ないらしい。
なんで?
「綾香ちゃん、とりあえずステータスは取得しておいた方がいいから倒すの頑張ろう!」
「さらっと言わないの!無理だって。私昨日まで普通の女子高生だったし。」
「いやそれ、私もなんだけど。」
私の顔見てふるふると否定してくれる失礼な幼馴染だ。
そんな幼馴染に右手に持っていた刃物をわたす。これはただの刃物ではない。家から持ち出した刀・・・正真正銘の真剣である。
「咲羅ちゃん。なんでこんなの持ってるの?」
抜刀し綾香に渡す。
「有段者だし、家の代々から伝わるお守りのようなものだし。」
「いやいや、銃刀法違反だし。」
「有段者なら所持してオッケーらしいよ。」
「だからと言って抜刀したら犯罪でしょ!!」
「犯罪って言うけど、戦う相手は人じゃないの、化け物よ。殺さなければ殺される。そんな世界で生き延びるには強い武器が必要。わかる?」
「だけど・・・。」
「私1人でこの数捌くの疲れたもん!」
そんな事2人で言い合っていたら私の声に反応して学校の校舎から緑色の肌をした小鬼が飛び出した。私達の元に駆け寄ってくる。棘付き金棒を持って・・・
「ひぃ!!ゴブリン!!」
ゴブリンという存在らしい・・・私達に襲い掛かる3匹のゴブリン。それを横目で流して竹刀を振るう。
剣の先まで魔力が通り、ゴブリンの身体を豆腐のように両断する。倒したのは2匹で内一体は瀕死の重症だ。
「咲羅ちゃん、それどうやってるの?」
「感覚的に言ったら『思いの力』かな?絶対に負けない!!みたいな感じ。」
「分からない。もっと具体的に言って!!」
「オーラみたいな気を集めて剣に纏わせてる。」
「もっと分からないよ!!真面目に聞いてるのに咲羅ちゃんがふざける〜」
私も真面目なんだけど!?
「でも全国試合になったらみんなやるからね!私だけ特別じゃないんだからね!」
「私、パン屋さんだしわからないや。それでね咲羅ちゃん、ゴブリンが1体残ってる。」
まだ死にきれずにゴブリンは痙攣していた。
「綾香ちゃん。ここは化け物を殺す経験を積んでおいた方が良いと思うんだ。」
「だと思ったー!絶対わざとだと思ったー。」
「やれば出来る。」
綾香は震える手で刀を構え、ゆっくりと頭に刀を突き刺す。
思った以上に切れ味いいのか頭から青い血が噴き出していた。
「ひぃっ!!グロイ。」
半泣きになりながら綾香ちゃんは頬についた青色の返り血をハンカチで拭う。
「変なアナウンス流れた?『ステータス取得しました』みたいな奴。」
「流れた・・・。目の前にステータス画面が見えるよ・・・ラノベの世界じゃないんだからこんなのないよ!!」
「綾香ちゃんおめでとう。」
「嬉しくない。お約束のスキルポイントまであるし。」
「それ、どんなスキル?教えて?」
「鉄壁?ライトヒール?。私、スキルを回復に振って。桜蘭ちゃん私、なんか後ろで回復魔法唱える人みたい。」
要領がよいのか柔軟性があるのか、この幼馴染は瞬時に現状を理解しスキルポイントを振ってしまった。
「後ろに居てたらダメ。一緒に倒すの。」
「嫌だな・・・」
私のスキルポイントこちら
私の職業は魔女の末裔。
スキルは魔女の血レベル4
マジックドレインレベル2
どんなスキル効果か全く分からないのだけど。
私は綾香ちゃんの手を離す。すると綾香ちゃんは動揺した。
「ちょっと、なんで急に手を離すの?化け物達見えなくなっちゃう!!」
「ねえ、落ち着いて。見える筈なんだけど。」
校門から2体の4つ目のゴリラが走ってくる。
近くて見ると迫力が違うので引いてしまうが、本物のゴリラよりは弱いんじゃなかろうか。
「あれ?本当だ・・・手離しても見えるよ。大丈夫みたい!!」
仮説は合っていた。
化け物は魔力の存在なので魔力がない私達は存在を認識する事は出来ない。
でも一度化け物を倒すとステータスという化け物達に抵抗する力が私達に取り込まれる。
そのステータスの中には魔力だって含まれている。つまり、化け物たちを目視出来るのだ。
でも何故私はステータス取得前に化け物を見る事が出来たのか?こればかりはわからない。
武術を鍛え過ぎたのかな?なんて・・・
左右に分かれて襲い掛かってくる3つ目の動物・・・その異形の者に竹刀を構え、一振りで一刀両断する。
<レベルが5になりました>
「流石。咲羅無双。」
「変なゲーム名付けてないで、綾香も参加する。私校門の周り左周りで倒していくから綾香ちゃんも右周りで倒して。」
「私いきなり1人立ちなの?」
「私はもともと1人だったし。」
「いや、待ってよ。無理。絶対死ぬよ。」
凄い弱気な綾香を見ながらため息をつく。
私だってこんな生死をかけた戦いなんてしたくないのに。
弱音吐く相手なんて私にはいないんだよ。
なんて思考を振り払い、
「2人で校舎の見回りしようか。」
と、無難な提案をする。
綾香は黙って頷くのだった。
校舎の中は窓が破られたり、扉が破壊されたり、昭和時代の学園ドラマのような光景になっていた。
ただ、鼻を刺す鉄の匂い・・・。これは血の成分ヘモグロビンによるものだと得武兄は言ってだっけ?
不思議な事に至る所に血の塊が広がっているのだが、肝心の死体が見当たらない。だから死者なんてまだ存在しないんじゃないのかなって思ってしまうのだけど・・・。
それは違う。殺された人間も不思議な現象により消え失せているのだ。化け物達が死んで、泡になって消えるのと同じように。
校内を歩いていると・・・廊下で野球部のメンバーがバットでゴブリンをフルスウィング。そんな戦闘をしていた。
図書室にて四つ目ゴリラに格闘戦するボクサーもいる。そこでは沢山の本が散らかっていた。
戦ってるのは私だけじゃないんだと分かると少し安心するけど。皆はどうやって戦う術を手に入れたのかな?
そのボクサーが化け物を倒すのを待って、皆に聞いてみた。
「皆に聴きたいんだけどどうやってモンスターと戦えるようになったの?」
ボクサー達に守られて、図書委員会の皆様がいるようだ。
散らかった本を片付ける余裕がないほど皆憔悴し切っていて生気がない。精神的にも体力的にも限界のようだ。返事がない。でも中には返事をしてくれる人もいる。
「新子さんと同じじゃないの?先生から指示があって・・・。」
「先生?」
「だから各部活同士で集まって戦ってるんでしょ?」
「なんの話?ちょっと・・・初めから説明して。」
「無理。だって私だって状況を理解出来ていないのに説明なんて!!」
急に取り乱すもんだから私もビックリする。
綾香ちゃんに手を引っ張られて「咲羅ちゃん、もう行こう」と催促される。
「うん。ごめん。私が悪かった。」
と言い残して綾香ちゃんと共に図書室を出た。
先生はなんて指示を出したのか?気になるところではある。
校内を見て回った結果、不思議と戦況は乱れていなかった。
最初は化け物が発生した時、人がいっぱい死んでパニック状態だったけど、4時間経った今、状況は落ち着いてる。
混沌とはしているけど、安定して化け物処理が出来ているというべきか。
部活毎にまとまって部屋に待機し、化け物が見えない非戦闘員を守るように化け物見える精鋭達が守ってるというような陣形だ。それを指示したのが先生だというのか?
だとしたら先生は少なくとも化け物達との戦い方を知っているという事になる。
ネットに攻略方法なんて記載されているのかなと思って携帯を確認したのだが、圏外だった。でも兄からLINEが入っているのは確認出来た。
『変な生き物いるけどそっちは大丈夫か?』
だって。内容に危機感がない・・・本当にマイペースなやつだ。それは私のセリフだって話だよ。
返信しようにも圏外になってて返信出来ないので放置する。
ばあちゃん元気かな。
父さん母さん。大阪は大丈夫だったかな?
心配はするけど今は考えても仕方ない。私は頭を切り替えた。
「綾香ちゃん、今、レベルどれくらい?」
「今3になったとこ。」
校内の見回りの最中、化け物は至る所に湧いて出る。それを練習と言って戦闘させていたのである。
最初は嫌がっていた綾香も、それはもう手慣れたもんでヘビ型の化け物を刀で一突きで倒せるようになった。
魔力の込め方もそうなのだがそのフォームも、どこか様になっている。
なんだっけかな。そう
「綾香ちゃん、フェンシングやってた?」
「えっ、やってたっていっても数カ月で辞めちゃったし。全然だよ全然。」
自身なさそうな態度とは裏腹に刀は確実に獲物よ頭を捉えていた。
綾香も順調に育ってきている。
出てくる化け物ははっきり言って手応えがない。
私なんて目を瞑ってても倒せるぐらい。
でも何故か嫌な予感がするのだ。
もっともっとレベルを上げないと。
早くレベルを上げないと大変な事になるかもしれないと。
「新子!と田辺か。なんでお前ら2人だけで廊下歩いてんだよ!危ねぇだろ!お前らも教室入れよ。」
この男子は吹奏楽の…
綾香の気が緩むのを感じる。
教室に入ろうとしていた
「えっ守ってくれるの?やった!お言葉に甘えて…」
「綾香ちゃん、ダメ。経験値稼ごう。そんな狭い所いたらいざって言う時動けない。」
と、私は綾香を引っ張る。
「新子、経験値って言うけどこれはゲームなんかじゃない。戦ってたら絶対疲れるし休まないとダメだ。2人だけで動き回って体力消耗するだけだろう。ここなら皆んないる。疲れたら輪の中入って休めば良い。」
理論的にはこの男子の言う通りだ。
だけど、嫌な予感は続くのだ。
理に適っているとは思うけど足が向かない。
「そうだよね。桜蘭ちゃん。休もう。」
綾香の提案に首を振る。
今は雑魚ばかりが出る。
でももし、強いモンスターが出たら。
こんな烏合の集じゃダメだ。
もっと力がいる。
「綾香ちゃんは休んでたらいい。私1人で雑魚退治する。」
「新子!それは先生達に任せておけばいいだろう。」
私は男子を睨みつけ吐き捨てるように言った。
「そんな考えじゃ死ぬよ。」
と踵を返す。
「おい!待てって!」
帰って来るのは声だけで追っては来ないようだ。
気分が悪い。
階段下から2体、階段上から2体、ゴブリンが襲い掛かる。
「はっ‼︎」
気分を晴らすかのように一刀両断するのだった。
「咲羅ちゃん。今日はツンモードなの?」
訂正、綾香ちゃんは私について来た。
「こんな状況なんだから冗談辞めてって。対応出来ない。」
言いつつ気を引き締め直す。
「咲羅ちゃんって校内で人気なんだよ。剣道強いしそのくせ可愛いいルックスしてるからギャップあるし。守りたいってみんなの気持ちも汲み取ってあげてね。」
「綾香ちゃんはどっちの味方なの?ルックスだったら綾香ちゃんも良いじゃない。私なんかより綺麗だし胸あるし。陽キャだし?」
「私陽キャなの?結構ネガティブよ。」
「嘘だー。」
階段を登る。
校内アナウンスが流れた。
校内にいる生徒は絶対校外へと出ないようにお願いします。繰り返します。校内にいる生徒は絶対校外へ出ないようお願いします。
理由の説明も無し。
それだけ。
先生も一杯一杯って事だ。
校内から出るなって言うけどいつまで?
親に連絡取れないだけど連絡はしてくれるの?
死んだ人とか結構いたけど警察は来ないの?
いつまで臨戦体制続ければいいの?
そんなアナウンスなら不安が募るだけだろうに。
「新子!田辺!お前ら2人か⁉︎」
階段を駆け上がってくる男子、丸刈りだから野球部か。
私が対応する。
「そうだけど。」
「校内いたらやばい。今すぐ校外へ逃げろ!化け物が出た!」
そんな動揺しながら話さなくても。
「知ってるよ。いっぱい倒してる。それに今、校内から出るなって先生がアナウンスした所だし。」
「化け物って雑魚の事じゃない本物。体育館にいるバレー部、バスケ部が全滅した。壁ぶち破ってこの校内に侵入している!」
2023年4月16日改稿しました。
こちらも覗いて頂けたら幸いです。
https://ncode.syosetu.com/n2498ih/
エルフの少女に転移した俺は神子として崇められる。無自覚に無理難題を解決する内に現実世界でも無双(大暴れ)する。
・・・タイトル通りの展開です。




