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三十五戦目

(ダンジョンのコアから魔力を供給してもらってるわ。だから回復し続けるのよ)

(なんだよそれ。反則じゃないか。)

(今まで私達は新子家の魔力に護られてたけど、立場逆転ね)


ゾアルの攻撃が来る。

幻影刃で撹乱するが、普通に攻撃を通してくる。意味を成していない。


「フレイムバースト!」


もはやこの攻撃も意味を成していない。

蔦で足を掬う術も。風で相手を刻む魔術も。

防具もボロボロ。

ゾアルの攻撃を剣で受けた。


「しまった!!」


剣が宙を舞う。

これが大会ならこれで試合終了。ゾアルの勝利なのだがこれは殺し合い。

どちらかが死ぬまで続く。

下がる。

ゾアルはゆっくりと歩いて近寄る。

エリシア、下がるな!殴れ!体術だ!

(そんなの武器にならないわよ!)

恐怖を悟られるな!!


「何回刻めば死ぬのか試して見よう。」


気がつけば壁。

(得武、錬金術で分解は出来ないの?前回の分解はマグレなの?)

開戦直後からやってる!!奴のレベルが高すぎて全然分解出来ない。


「もういや。どうすればいいの?」


(エリシア、俺が、アイツに有効な毒を開発する!それまで時間を稼いでくれ!!)

(素材は何使うの?トラップ?応えてよ!ねぇ!!)

俺もどうすれば良いか分からなかった。でも気持ちで諦めてしまったら本気で死んでしまう。

戦闘終了だ。頭をフル回転して対策を考える。

突然声が響いた。


「辞めて!もう決着は着いたでしょう!もう辞めて下さい!」


綾香さんが俺とゾアルの前に割って入る。

武器も持たずに丸腰で。


「邪魔だ!!」


簡単に弾き飛ばされてしまう。

壁にぶつかり、頭から血を流す。

回復薬が勝手に治療する。


「綾香には手を出すな!!」


身体の主導権を奪い、ゾアルに殴りかかる。精霊魔術で強化は済ませてる。

斬られ蹴り飛ばされてしまう。


「私が、相手するから!なんのためにここにいるのか分からないじゃない!!」


綾香は武器を拾い立ち上がった。


「綾香、辞めろ、それをやったらお前まで失ってしまう!!」

「上等よ!!」

「頼むから!!武器を置いてくれ!!辞めろ!!辞めてくれ!!」


俺の叫びが虚しく響いた。

綾香のタウント!!

盾を構えて水ビームを放つが。

ゾアルは瞬時に間合いを詰めて盾の上から蹴り飛ばす。

衝撃が貫通。

吹っ飛んだ綾香は壁にぶつかり武器を落とす。


「そいつを捕らえておけ。」


扉の隙間からシャドウウルフ達が入り、綾香を取り押さえる。

これでもう、俺が死んだとしても綾香は助からない。

綾香はシャドウウルフに噛み付くが、なんの意味も成していなかった。


「とんだ邪魔が入った。新子の後に始末してやる。」


諦める訳にはいかない。これで諦めたら綾香まで死んでしまう。

こんな奴に大事な幼馴染を奪われてたまるか!!

ゾアルの剣舞が俺を襲う!!

何度もミンチになっては回復を繰り返す。

不意に俺の防具が震えた。

刻まれ過ぎてもう限界が来たのか?

防具が金色に光ったと思うと、俺から離れ、ゾアルにまとわりつく。


「くそっ!邪魔だ!」


視界を奪った。俺は距離を取りボウガンを撃ち込む。

気配を察して追ってくるゾアル。だが、金色の光りを放つ防具を中心に時空が歪む。

時空の歪みから変な魔物が出てきてゾアルの手を掴み、連れ込んで行こうとする。


「何これ。召喚術?あの服、最後の命を振り絞って召喚術でも使ったというの?」


時空の歪みはすぐに閉じた。道連れにゾアルの腕を奪って行く。

その瞬間だった。

俺の持っていた清純派ゾアルソードが勝手に動き出す。

宙に浮かび、意志を持ったようにゾアルに襲いかかる。


「おい!辞めろ!元々は俺の剣だろ!恩を忘れたか!!」


何度も振り払うが剣の動きは複雑で、軌道が全く読めない。

俺たちが剣を振るうよりよっぽど良い斬り合いをしている。


「馬鹿にしやがって!!」


ゾアルの毛並みが逆立った。

銀色に輝く。

そうだった。この強化状態を忘れていた。

さらに強くなるのか。

この空いた時間に精霊魔術、召喚魔術をやろう。

アイツも手も足も出ない、とっておきの精霊を!!


(得武!精霊ってあなた、なんの精霊を呼び出す気?まさか契約もまだ結んでいない、精霊界の大精霊を呼び出すんじゃないわよね!味方になってくれる保証はないのよ!わかってる!?)


いや、きっと味方になってくれる。なってくれなければそれまでの人生だ。


「精霊達よ、我の呼び掛けに応えよ!」


イメージを伝えろ!集まった精霊達全員で呼び出すんだ!!

最強の大精霊を!ゾアル以上の魔王をも殺してしまうような最強の存在を!!


(ちょっと、私の話を聞いてる!?ねぇ!!)


大精霊召喚!!!


火の精霊、水の精霊、土の精霊、風の精霊、闇の精霊、光の精霊、各種10体以上の精霊達が手を合わせ力を振るう。

光が集まり、一つの人型の大精霊の型を作る。

丁度その時ゾアルがこちらを見た。

その様子があまりにも強いオーラを放つので警戒心MAXだ。

止めに入ろうとゾアルは足の向きを変える。


やばい、今妨害されたら召喚に失敗してしまう!!

まだ形の半分も呼び出せてないのに!

まだか、まだ時間が掛かるのか!!

清純派ゾアルソードが最後の足掻きをした。

ゾアルの足を攻撃、体制を崩す。


「邪魔だ!!」


イライラを感じる。

ゾアルは清純派ゾアルソードを掴むと無造作に地面に叩きつける。そして踏み付けた。剣にヒビが入りそして白く光る。

大爆発!!!!!

自爆したのだ!


さすがに無傷ではいられないようで1万のダメージを負う。

呼吸を整え、なくなった手を再生させる。

すぐに全回復してしまう。

MPは全然回復してないようだが。

でも間に合った。ようやく奴を倒せる大精霊を召喚したのだった。


「我を具現化させるとは流石だな得武。」


なんと目の前に立つのは着物姿のご先祖様だった。


「ご先祖様!!」

「得武よ。我を呼び出すとは驚いたぞ。最高の選択だな。」

「俺には最強の存在はご先祖様以外考えられなかった。」

「そりゃそうだ。」


そう言ってゾアルを睨んだ。

ゾアルも震える手を抑え向かい合った。


「只者じゃないな。お前、誰だ?」

「名を名乗ろう。我はブラハム。」

「知らん。源氏のもんか?」

「その何万年もの前の存在よ。」

「我はゾアル。いざ尋常に勝負!!」


ご先祖様、ブラハムの本気は凄かった。


「お前達。奴を捕らえよ!!」


この場に何百体もの精霊が集まった。

丁度ゾアルの着地地点、そこが泥沼に変わる。上から雷が降る。

ゾアルの体内から空気が奪われ、全身が激しく炎上する。

ゾアルの防具から金属の触手が沸いて来てゾアルを拘束する。

それを振り解いてゾアルは剣を振るう。

対抗してブラハム様は大きな鎌を振るう。

6種のオーラを纏い。鎌一振りに数え切れないほどの精霊達の援助が加えられていた。

一撃でゾアルを天井まで吹き飛ばしてしまう。


「魔女が!!」

「どうした?我の倅は侍でな。多少の武術は心得ておる。もっと全力でかかって来い。」


ゾアルの毛並みが紅く染まった。さらに強くなったというのか。

俺にはもう目には追えない。

だが、何度も切り掛かっては壁に衝突していくゾアル。

対してご先祖様は一歩も動いてない。


「化け物が!」

「ダンジョンの力を借りてモンスターと化したお前に言われとうないわ!!」


ご先祖様とゾアルが戦っている間、俺は剣と防具の修復に取り掛かっていた。

俺を大切に守ってくれた装備達。俺には家族同然だ。

素材が足りてれば修復することが可能。

一刻も早く修復する。

修復している際、装備達の声が聞こえた気がした。

悔しい。主を守れなかった。力不足ですまないと。


「いいんだ、俺に大精霊召喚の時間を稼いでくれただけでも十分だ。ありがとう。」


そう言って修復した。

武器、防具はレベル1へと戻った。

ゾアルももうボロボロだ。

HPも半分以下になっている。MPはゼロ。


「そろそろ終わりとしようか。ブラハムの名で命じる。限界突破。アーティファクトレベル10」


鎌が消えた。

鎌があった場所がユラユラと蜃気楼のようなものが見える。

そう、時間とか空間が切れているのだ。あの武器が存在する限り全てのものが消え去る。そんなレベルの武器。魔女の鎌。

鑑定で見ても。攻撃力は測定不能。


「なんだその武器は!!反則だ!世界を終わらせる気か!?」

「安心しろ。終わるのはあくまでお前だけだ。魂も残さず木っ端微塵に吹き飛ばしてやる!!」

「辞めろぉぉ!!」


鎌を振り上げた。ゾアル終了3秒前。騒いでいたゾアルも静かになった。自分の死期を悟り穏やか表情でその鎌が振り下ろされるのを待つ。

実際、抵抗も無駄。どこに逃げても無駄。死は確定のものだった。ただ、一つの例外を除いて。


全てを破壊し尽くすその鎌は、振り下ろされる事はなかった。

<3分が経過しました。召喚終了のお時間です。召喚終了のお時間です>

ご先祖様ブラハムは霊体化した。


「えっ?」


俺もエリシアもポカンと見つめていた。

ゾアルはまだ生きている。


「すまぬ得武、エリシア。遊び過ぎたみたいだ。後は頑張ってくれ!!」


悪びれるわけでもなく笑っていた!!


「そんな。」

「でも、お前の武器も防具も、まだ闘いたいって思ってるぞ。それに、ここには何百もの精霊達が集まっている。皆お前の勝利に貢献するだろう。それに、お前の魔力を全回復させて置いた。ここまでお膳立てして置いたのだ、勝てない訳がないよな。」


あくまでお前が片を付けろという事か。

確かにゾアルとの決着は俺自身が付けたいと思っていた。しかしこの実力差。

不安は残る。ヤケクソだった。


「やるよ。やってやる!!」

「行ってこい!!」


剣を構えると、精霊達が俺達に身体能力向上の魔法を唱えてくれた。

武器が輝く。


「ハッハッハ!!時間切れとは運が無いのう。今のお主なぞ拳で十分だ。勝利の女神は我にあり!!」


ゾアルはボロボロの剣を捨てた。

拳を振るってくる。

リーチの差で俺が有利だ。俺の武器からああしたい!こうしたい!というイメージが伝わってくる。ただ、その通りに身を任せて闘うのみ。

互角以上の戦いをした。威力も申し分ない。

殴られるたびに壁に衝突するが、回復薬のおかげですぐ全回復する。予備の回復薬も全て出しておく。

10分以上斬り合い、殴り合いを続けた。

違いにボロボロで、俺もいつ回復薬が切れるかわかったもんじゃなかった。

白兵戦だった。痛い。苦しい。薬漬けで副作用が怖い。気持ちが悪い。でも動ける限り俺は斬り続ける!!

奴のHPは1/4を切った。

行ける!!後10分!!

回復よ持ってくれ!!

異変は突然に起きた。


「お前!!俺に何をした!!身体が重い!!思うように動かぬ!!」


ゾアルが叫んだ。攻撃が止まった。膝が痙攣し、思うように動かなくなっている。

ゾアルのステータスにしっかり状態異常が付いていた。

俺が腰に巻いているポーチ。その中身は麻痺毒、睡眠薬、精神異常、思考停止の毒だった。

その状態異常が色濃く出ている。

更に不運な事に弱った事でシャドウウルフ専用の毒が回ってきた。

戦闘開始時に大量に浴びせた液体の効果だった。

回復速度を上回り、皮膚が腐敗していく。



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