三十戦目
「エリシア!知ってたな!!こうなるんだったら教えてくれてもいいじゃないか!!」
俺は思いっきりエリシアを引っ張った。
「エリシア?」
綾香さんの反応はさておき、エリシアを懲らしめる。
「攻撃力200の武器食べてるんだもの」
「武器?」
「名前も魔槍グングニルって名前ついてるし。それをパンだって言って食べるんだもの。本当もうギャグよギャグ。」
「教えてくれてもいいだろう!」
「教えたらつまらないじゃない!」
「もう、ご飯あげないぞ。」
「あら、魔力供給無しよ。」
睨み合う。
「あの。これどういう状況。」
戸惑っている綾香。
「ちょっとこの悪戯妖精を懲らしめてから。」
「妖精じゃない。精霊。もう、パーティ組んで見えるようにしてあげればいいじゃない。」
「エリシア、もう一度。」
「ステータス画面に、右上に小さな文字でパーティに招待するってあるでしょう?それで誘うの。」
やってみる。
「あれ、エムルからパーティのお誘いが来た。はい了承して。」
すると、綾香とエリシアの目が合う。
「はじめて、精霊のエリシアと申します。得武とは仲良くさせて頂いております。」
「どうもご丁寧に。精霊様ですか。私は田辺綾香と言います。どうぞよろしくお願いします。」
サンドイッチを食べながら、エリシアを交えた親睦会が始まった。
俺の初めてのゴブリン戦からエリシアとの出会い。
どんな戦闘をしてきたか。
今では互いになくてはならないパートナーという事まで。
ひと通り昔話を終え、エリシアは突然に告げた。
「あなたの錬金術で作ったパンは武器よ。」
「え!?」
「リザードマンの槍と盾を捨てて今からバケットとカンパーニュ持って戦いなさい。」
「嘘!?」
「本当。」
「それってつまり。失敗作なんだ〜。」
綾香さんの反応が想定外だったのか、エリシアは慌てる。
「待って、綾香、大成功なの。武器としては最高傑作よ。なんで水と小麦粉でこんな攻撃力のある武器が出来たのか不思議なぐらいに。」
「作り直す。食べて貰いたかった。」
「だから、待ってって。装備するの。強いから。」
「装備ってこう?あれ、なんか持ちやすい。」
「そうそう。」
「カンパーニュも裏側にちゃんと持つところが付いてる」
「そうそう。カンパーニュもしっかり攻撃から守ってくれる。」
「なんでパン持って戦わないといけないのよ。パン屋の娘アピールじゃないのよ。いつか必ず錬金術で美味しいもの作るわ。」
俺は思う。綾香は錬金術しない方が良いかもしれないと。
パンは最高に美味かった。
綾香の入れる紅茶も最高で香りが豊かである。
しばらく余韻に浸る
隣を見ると綾香さんはスキルを振っていた。
隣から画面が見えてしまう。
田辺 綾香
盾持ちヒーラー レベル70
HP 700
MP 350
STR 210
VIT 1050
INT 70
MD 1050
DEX 140
AGE 210
LUK 35
ライトヒール レベル12 レベルアップで回復量アップ 状態異常回復小
鉄壁 レベル16 ガード時防御力5倍に上がる。クリティカル回避。通常時防御力2倍
タウントレベル11 敵の注意を集める。範囲アップ。
称号 ゴブリンキラー、コングキラー
魔槍グングニルレベル1 攻撃力200 スキル今後期待。
魔盾シュニッテンレベル1 斬、打防御力200 スキル カウンター 今後期待。
プラチナTシャツ白 成長限界 斬、打防御力360オートシールド
VIT30 MD30 後、防菌防臭オートクリーン。
プラチナロングスカート紺成長限界 斬、打防御力360 クリティカル回避50% AGE20 防菌防臭オートクリーン。
いつのまにか成長限界になっている。
俺は興味本位で進化素材を探してみた。
プラチナTシャツ進化にはオリジンメタルが1キロ必要です。
プラチナロングスカートにはラドンメタルが1キロ。
なんだこのメタルは?
アイテムボックス内に全然入ってない。
「エリシア、オリジンメタルって何?ラドンメタルって?」
「そのメタルなら、レベル200相当のダンジョンから出るからね。35層で185でしょう。もう少しだよ。」
なかなかに欲の深い装備だった。
綾香の装備を進化させてあげたいところではあったが、綾香はまだレベル70でしかも装備もそんなに育ってない。
そんな綾香を連れて素材採取なんていけない。
「よし、帰ろうか。」
俺は提案する。
「あれ?この流れ、オリジンメタルとラドンメタルを取りに行くんじゃなかったの?」
「エリシア、黙って。それ言っちゃダメ。」
綾香さんの目が光った気がした。
「ダンジョンの奥まで行くんだ。私を除け者にするんだ。」
「えっと、まだ装備が整ってなくて危ないし。」
「レベル6のままのエムルに言われたく無い。」
確かにそうだ。
「綾香に私たちの本気、見せてあげましょう。」
これが、エリシアの本音だった。
仕方ない。やるしか無い。
「ダンジョン35層までアイテムを使って行く。本当に強い敵が現れるから気を抜かないように。」
「オッケー。」
「ポーチの中の毒を変えるよ。」
「オッケー」
「準備オッケーかな。アイテムボックスオープン!」
巻物を使って、前回攻略階の35層まで行く。
橋の上を歩いている。
大きな湖の上に水面ギリギリの大橋が向こう岸まで渡されている。
ここにいるモンスターは湖の中から攻撃してくる厄介なモンスターで滅多に陸地に顔を出さない。
顔を出した瞬間に倒すのがセオリーなのだが。
「タウント!」
怒り狂った魚達がなんと4匹橋の上へと打ち上げられた。
魚に足が生えて、槍を持って襲い掛かってくる。
サハギンという、魚人だ。
「衝撃キツイ!」
しっかり踏ん張ってキッチリ防いで突いていた。
一撃で、動きが止まる魚人。
俺は残りの魚人にボウガンで追撃。
基本的に魚人用の猛毒を装備している為に一撃確殺だ。
しかし、悶え苦しむ時間はある。
「経験値アップの音がうるさい!!」
「おめでとう。まだまだ来るから気を抜かないで。」
「タウント!」
また3匹釣り上げる。
頭脳派の魚人達も、タウントのスキルを食らえば戦略なんか忘れて突撃してくるようだ。
防いで突いて。
俺がその背後の敵を撃ち殺す。
「経験値が凄い。」
また釣り上げて。
なんか、俺たちの周りに魚人達が集まって来ていないか?
「おふたりさん。キリが無いから一気にここのエリア抜けない?」
エリシアが提案した。
丁度魚人達が水面から顔を出した瞬間だった。
口に含んだ水をこちらに向けて噴き出してくる。
俺のオートエネルギーシールドが吹き飛んだ。
流石はレベル185。俺の特製猛毒のおかげで退治出来てるものの本来ならば相当な強敵である。
「賛成。」
「私もそう思います。この威力やばいです。囲まれたら全滅です。」
俺たちは走って渡り切る事にした。
前方を綾香さんが攻撃を防ぎつつ走る。
後方を俺が、ボウガン放ったり水鉄砲を剣で叩き切ったりしながら守りつつ移動する。
その間、10回ぐらい戦闘があったが苦戦はしなかった。
向こう岸まで着いて階段を登る。
36階層。
密林地帯であった。
「エリシア、このフロアのモンスターの情報は?」
「待って、今魔力飛ばして情報仕入れてるから。」
一フロアずつ使う毒が違う為入れ替えが必要になってくる。
「どうした?やけに苦戦しているみたいだけど。」
「魔物がいない。」
「え?」
「サルしかいない!!」
「サル?」
「注意して進みましょう。」
奇妙なフロアだった。
密林地帯なので見た事無い薬草、果物、キノコ類が豊富にあった。
手を触れず、気になるものがあればアイテムボックス送りにしていた。
特に戦闘もないので歩きながらボックス内調合を始める。




