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二十九戦目

「なんで来たの?」

「なんでって小麦粉を渡しに。」

「道中危険なモンスターいっぱいいたよね。」

「いたね。」

「強いんだよ。死んじゃうよ。」

「俺も守られるほど弱くはないんだがな。」

「レベル6でしょう?」

「そう。」

「弱いよ。」


レベルだけで人を判断するなんて失礼な。


「装備整ってるから弱くないって。」

「人って装備ぐらいじゃ強くならないのよ。私、身をもって体験してるんだから。」

「いや、それがなるんだって。」

「嘘だ。」

「本当。」

「絶対嘘。」

「本当に。」

「なら、一緒にモンスター狩りに行きましょう。」

「いいけど、綾香の装備は戦闘には向かない。俺が用意したこれを着てほしい。」

「装備が弱い?レベル50のリザードマンの剣と盾の装備よ。どこが弱いの?」

「いいから受け取って。」


紙袋を渡す。

中を覗くと途端に表情が明るくなる。

さっきの険しい表情はどこはやら。


「これ、私に!?」

「ああ。」

「ちょっと着てみていい?やったー!」


返信を待たずに奥へ行ってしまった。

そういえば小学校の時もこんな風によく言い合いしてたっけ。懐かしい。



数分後、帰ってくる。

ちょい足しでベージュのカーディガンもプラスして。


「サイズ感もバッチリ!ありがとう。」

「お、おう。」


似合ってる。なんか可愛いぞ。

隣でエリシアがニヤニヤしてる。


「得武、似合ってるぞとか、可愛いよとかなんか言わないの?」


エリシアのアドバイス。


「想像以上に似合っててびっくりしてる。」

「えっ!本当?嬉しい。」


凄く嬉しそうだ。

なんか、その。ご両親に見られてて凄く恥ずかしい。


「行こうか。」

「ちゃんと守ってあげるからね。」


綾香さんはやる気まんまんだ。

多分守るのは俺の役目だと思うのだが。

ご両親に挨拶をして、外に出る。


自転車に乗り、進む。

目的地は俺の家か、ダンジョンか。

道中の敵は弱すぎる。

自転車を漕ぐ。腕試しならダンジョンが良いだろう。


「うちの従業員見た?」

「見たというか知ってる。従業員というかボランティアじゃないか?」

「衝撃よね。私も帰ってあんな事になってるなんて思ってなかった。」

「そりゃそうだ。」

「でも、なんでうちの家族守ってくれてるんだろう。」

「謎だよな。」

「本当ね。」


そんな雑談を挟みながらの移動だった。

俺が索敵と同時にボウガンで撃ち殺してしまう為、相手にならない。


「不思議。今日はなんでこんなにモンスターに合わないんだろう。」


綾香は不思議がっていた。

俺が倒してるからなんだが。


「さあ。」


とぼけておいた。

俺の家を通り越してダンジョンまで来てしまう。


「4階層ぐらいまで行ってみようか?」

「うん。」


綾香さんは緊張している。

エンプシーコング。2体やってくる。


「強そう!ちょっと待って!。」


盾を構える綾香さん。

俺は通りすがりに斬り伏せた。

魔石ゲット。


「えっ?」

「今のはレベル60のエンプシーコング。次、綾香さんやってみる?」

「瞬殺だったよね。」

「敵じゃないよ。」

「やってみる。」

「これ持ってて。」


腰にポーチを付けてあげる。

ポーチの中には回復薬スーパーならぬ回復薬オメガが500ミリペットボトルに。コング特攻。オーク特攻。スネイク特攻と書かれた200ミリペットボトルも中に入ってる。


「なにこれ。」

「専用の毒薬だよ。持ってるだけで武器に付与してくれるから。」

「ちょっと待って理解が追いついて行かない。」

「敵来たよ。」


再びエンプシーコングが一匹。


「タウント!」


敵を引きつけ、盾で攻撃を防ぎ続ける。


「あれ?衝撃が無い。」

「綾香さんの元々の防御力とか、オートシールドの関係もあるのかもね。」


敵の隙を見て槍で突く。

振り抜く瞬間。ポーチの中のペットボトルの毒が魔力に反応して気化。綾香さんの槍の先端に魔力の塊として付与される。

敵は急に苦しみだし、絶命した。


「凄いレベルアップ音。」


耳を塞ぐ。


「次々行こうか。装備の方も順調にレベルアップしてるね。」


「エムルって強い?」

「まだまだ強くはないよ。」

「このレベルアップ具合って結構な強敵だよね。2体同時に倒してたよね。」

「さあ。」


最初は恐る恐る盾を構えてた綾香も3、4回モンスターを倒すにつれて緊張がなくなっていた。


「このオートシールドって強すぎない?」

「綾香さんとの相性がいいんでしょう。」


そうなのだ。エリシアは解説してくれた内容なのだが。

このオートシールドの効果は装備自体のMPが無くなるまで守ってくれるのだが、大体、MP10%消費して防具の防御力の2倍のダメージを守ってくれるシールドをはる。

つまり150×2の300か。


綾香さんのスキル、鉄壁の効果でそのシールドが3倍にまで硬くなっている。

よって、一度に900を越えるダメージがない限り壊れる事が無いのだ。

このあたりのモンスターからは不意打ちされない限り綾香さんはダメージ0という計算になる。


衝撃すら感じない。

綾香さんのVITも高い為、そう簡単にダメージ入らないとの事。


「そうなんだ。」


と言っても装備のレベルももう35。

防御力は300を超えたのでシールドの防御力は1800。

その防具はまだまだ成長します。




ダンジョンを歩きながら、俺は鉱石をアイテムボックスの中に入れたり、薬草採取したり、罠を発見してはアイテムボックスの中に入れたりと大忙しだ。

洞窟の中を順調に抜けた。

2層でもモンスターの種類は変わらない。

ただ、亜種が出る。

亜種もそんなに苦戦はしなかった。


3層へ行く。

ポーチの中に入れる毒薬の内容を変更する。

ウルフ、ビースト、タイガー特攻。

洞窟を抜けた先。開けた地形だった。

シャドウウルフの群れが草原を走っている。こちらへ向かってくる。

これは厄介だ。


「エムル。100匹はいるよね。」

「厄介だよね。今、掃除する。アイテムボックスオープン!!」


100メートル×100メートルの隕石が群れの中心に激突する。

地形が変わる。

その隕石は燃えていた。次第に紅く、溶岩のように燃え上がり、大爆発を起こした!!


「きゃぁぁぁあ!!死んじゃう!!」

「綾香さん、びっくりしすぎ。ここまで影響ないから。」


俺は動揺した綾香さんをそっとなだめる。

エリシアが、「この罠って隕石落下の罠?」と尋ねる。

心の中で、「その罠に爆炎の罠を絶妙なバランスで合成した」と答える。「やるわね。」


「何匹生き残ってるかな。」

「冷静すぎるよ。隕石落ちたんだよ。びっくりしようよ。もしかしてエムルがやったの?」

「そう。」

「ちょっと、待って、理解が追いつかない。え?隕石?どうやって?オーバーキルだよね。どんな魔法?」

「魔法じゃなくてアイテム。」

「えっ!強すぎる。アイテムってこんなに強かったの?もうアイテムって何?」

モンスターの生き残りはいなかった。


「見たまんまで理解してくれ。」

「そうね。咲羅ちゃんも凄いけど、流石兄弟よね。」


この顔は、理解を諦めた顔だった。

単体で出てくる分には綾香1人でも対処可能で、4階層へ降りる頃には綾香のレベルは70に達していた。


「ご飯にしましょう!」


リュックから敷物と水筒、そしてパンを取り出す。

4階層。草原地帯が続く。

周りにモンスターがいない事確認して俺は座った。


「そうだな。」

「エムル、このパンなんだけど。」


サンドイッチとか惣菜パンとかある中で、袋からフランスパンと田舎パンを取り出す。


「立派なフランスパンだな。」

「バケットとカンパーニュ。実は私が錬金術で作ってみました!どう?この見た目!上出来じゃない?」


まさか、錬金術でパン。

その発想はなかった。


「まさか原料は石…?」

「そんな訳ないでしょう!ちゃんと小麦粉と水と塩とイースト。」

「ならよかった。」

「味見してみて。」

「ああ。」


見た目は美味しそう。香りは良し。味はどうなんだろう。


「美味しい?」


か、噛み、噛みきれない。

フランスパンの先っぽが尖ってて痛い。口切った。


「痛い。硬い。めちゃくちゃ硬い。」

「え!嘘!?」


エリシアが大爆笑していた。


「本当ね。こっちの田舎パンも硬い。なんでかしら。」

「ちょっと、俺の前で一回やって見せてくれないか?」

「いいけど材料は?」


俺はパンを材料別に分解した。

材料は保存袋にキッチリ閉まってる。


「せっかく作ったのに。ひどい。」

「でも食べられなかったら意味無いよね。」

「そうだけど。良し、頑張る。」


もう一度、やってみせてくれた。

美味しいそうな香りはする。


エリシアが拍手していた。

どんな意味の拍手だろう。


「どうかな?」

「凄い美味しそうだけど。頂きます。」


硬い。痛い。

やはりこうなった。

綾香さん、どうしてフランスパンの先っぽとんがらせるのかな?凶器だよ。


エリシアは大爆笑。

やはり、知ってたな!

次回は2日後の6月29日に投稿します。


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