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ショッピング 1

「どこか行きたいところある?」

「取り敢えず色々見て回りたいな。結局初日は何も見れなかったし」

「なら大通りがいいかな、こっちだよ」


手を引っ張られるがままについて行くととても朝早くとは思えないほど大勢の人がいる場所に着いた。そこでは食べ物の屋台を中心としてその他アクセサリーや少し怪しげな飲み物?を売ってる露店が所狭しと並んでいる。


「ここは仕事に行く前の人が朝食を取りに来るから朝からすごく賑わってるんだよ」

「色んなものがあるんだね。あっ、あそこ行ってみようよ」

「ちょっと待って、その前に行きたいところがあるから」


更に引っ張られ連れていかれた先には先程の財布に優しそうな露店とは違い明らかに雰囲気の違うセレブ御用達のお店に連れてこられた。

店の中にはガタイのいいスーツ姿のマッチョな強面の老人と数人の店員がドアの前に立ち客を迎え入れるスタンスで待ち構えていた。


「ここ俺なんかが入って大丈夫なの?」

「ん?全然大丈夫だよ⋯⋯もしかしてお金のこと気にしてるなら心配しないでね。ここ良心的な金額のお店だから」

「お待ちしておりましたラック様、お連れの方が別の世界から来たというお方ですかな」

「そうだよ。恵くんって言うんだ」

「これはこれは遠い所からはるばるお越しいただき恐悦至極にございます。当店支配人を任されてるピエールと申します。」

「ど⋯⋯どうも」


巨体の老人(ピエール)が挨拶しつつ握手を求めて来たのでそれに応じると俺の手の2倍はあろうかという手でがっしりと掴んできた。どちらかと言うと包み込んだの方が正しいのかもしれない。


「お茶でもどうですかな、他の世界のお話を聞いてみたいですし何よりお茶を入れるのが私の趣味でして」

「⋯⋯えっと」


その強面からは想像できないほどフレンドリーな感じに動揺してしまった。別に怖いわけでは無いのだがなんというか圧がすごい。

困っているとラックがあとは任せてと言わんばかりに無言で微笑んできた、


「ピエールまたやってるよ、恵くん萎縮しちゃってるから」

「今回は注意したつもりだったのですが⋯⋯何がいけなかったのか」

「顔だね、威圧感がすごいもん」


ピエールさんの顔は怖いというよりどちらかと言うと歴戦の戦士の様な圧のある顔なんだよな。


「そんなことは置いていて例のやつできてる?」

「最後の調整は自らやりたいとの事でしたのでそれ以外は完璧です。」

「ちょっと行ってくるから恵くんは終わるまでお店の中見てて」


ピエールさんとラックがそのまま店の奥に消えて行ったので言われた通り店の中を見て回ることにした。

そこにはさっきの露店と似たようなアクセサリーがあった、けど素人目でも分かるくらい出来栄えが違う。それなのに値札を見ると小金貨1枚と確かに良心的な値段だった。

そもそもの素材の違いはあるけどこれを日本で買おうと思ったら最低でも数十万はかかりそうな品ばかりだ。


「何か気になったものはありますか」

「気になったというか⋯⋯なんでこんなに安いんですか?」

「それはですね、この店の商品は全てピエール様含めた1部の従業員で採取しに行かれているからです。先ほどご覧になってたアクセサリーは普通の店だったら最低でも大金貨2~3枚はかかるのですが、当店では採取しにかかった費用と人件費を元に値段をつけているので最低限の値段で提供できるというわけです」


当店って事はあそこにあるドラゴンの革で作られたカバンとか言うやつもそうなのかな?ピエールさんって見た目道理強いんだな。


「そんなに安いなら転売しようとする人が押し寄せるんじゃないんですか?」

「そこはご安心くださいませ。当店は会員制且つ完全紹介制となっておりますので信頼のおけるお客様しか来店することができません」

「自分みたいな別世界の人を入れて大丈夫なんですか?」

「えぇ大丈夫ですよ。当店を経営されているライラ様からの紹介ですので」


ライラ様?!何で?エスティさんの時もそうだけど1度も会ったことないのに、もしかしてどこかで会ったことあったのかな?


「お買い求めになられる際はお申し付けください。ライラ様より可能な限り優遇する様に申し使っておりますので」


とは言われても何を買えばいいのやら⋯⋯この前助けて貰ったお詫びに髪留めでも買おうかな、ラックになにが似合うかな?この青い髪留めとかどうかな似合いそう。


そうこう悩んでいるうちにラックとピエールさんが戻ってきた。ラックの手には先端に赤い宝石の着いてるペンダントがあり俺に渡してきた。


「恵くんこれプレゼント」

「これは⋯⋯ペンダント?」

「この前みたいなことがないとは限らないから守護のネックレスを持っておけば安心だと思ってお願いしておいたんだ」

「ありがとう⋯⋯大事にするよ」


ペンダントを貰ったあとはラックにバレないように髪留めを買い店を出ようとする。


「ラック様、恵様本日はありがとうございました。また何か必要なものがありましたら仰ってください・・・それと恵様、こちらに来たばかりで大変だと思いますが私みたいな老体でも手伝えることがございましたらどうぞお声がけ下さい」

「その時は頼りにさせてもらいますね」

「じゃあ次は恵くんの行きたいところ行こうか」


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