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救いの手を差し伸べてくれたのは神様でした

出会いと別れはいつも突然やってくるものだ⋯⋯

大学1年の春突然親が死んだ。家に帰っても誰もおらずいつもどうりのんびりとテレビを見ていたら警察から電話がかかってきて、親が交通事故にあったと知らされた。

警察の人に運び込まれた病院を聞き急いで向かうが間に合わなかった。医者が言うには10分前まではまだ息があったらしく、最後に自分の名前を言って息を引き取ったらしい。

そこからの日々はつまらないものだった⋯⋯

保険金欲しさに親戚とも呼べないような遠縁の人が身元引受け人になろうと毎日押しかけてきたり、大学の特待生試験を特別に受けさせてもらえることになり死に物狂いで勉強をし、生活費を稼ぐためにバイトも始めた。

幸い頭が悪いわけでもなく、バイトも始めようとしていたのでそれ自体はそこまで苦にならなかったが、心が持ちそうになかった。

親が死んだことを受け入れる時間もなく日々は過ぎていく。

⋯⋯もう限界だった

そんな時だった、気づいたら全く見覚えのない場所にいた。しかも目の前には白い服を身にまとった女の人がいる。


「どうかしましたか、顔色が悪いですよ」

「えっと⋯⋯貴方は?」

「神様です!」

「⋯⋯」

「女神様なのです!!」


何故だろう⋯⋯後に文字が見えるくらいはっきりドヤァってしてるんだけど、えっこれ俺も自己紹介とかした方がいいのかな?

なんか凄い『君は?』っていう顔してるんだけど。


「自分は、宮下恵(みやしたけい)と申します」

「そんな固くならなくても良いですよ、ゆっくりお茶でもしながら話しましょうよ、何か飲みたいものはありますか?」

「じゃあ、コーヒーをお願いします」

「はい、どうぞ」


早!言った瞬間に出てきたんだけど、てか待ってどうしよう、砂糖とミルクないと飲めないんだけど⋯⋯いつも夜勉強する時寝ないようにするために飲んでるだけで甘くないと飲めないんだけど。でもせっかく出してくれたんだし1口位は飲まないと失礼だよな。


恐る恐るコーヒーに口をつけると砂糖とは違う自然な甘味が口に広がる。コーヒーの味はしっかりするのに苦味はほぼ無い、美味しい!とにかく美味しい!!控えめに言っても甘党な自分には最高の逸品だ。


「どうです、美味しいでしょ」

「えぇ、とても」

「なら、話を始めましょうか」


雰囲気が少し重くなった、


「少しの間別の世界で過ごしてみませんか?」

「えっと⋯⋯なんで自分なんですか?」

「質問に質問で返すのはあまり宜しくないですよ、でもその問いに答えるなら選ばれたからですね」

「因みに選ばれた理由は?」

「⋯⋯申し訳ないのですがそれはまだ話せませんが、」


即答された、聞かれるのが分かってるかのような早さだ。


「なら話してもらえる範囲でいいので詳細な説明をお願い出来ますか。」

「そうですね、まず滞在は最低1年間は居てもらいます。その間の衣食住等の場所も確保しています。恵さんには特に何かをしてもらう訳ではなく、自由に行事などに参加してもらって大丈夫ですよ」


正直いきなり別の世界にいけと言われてもまだ心の整理すら出来てないのに。いきなりこんな非現実的な事を言われても⋯⋯


「少し考える時間を頂けないでしょうか」

「あまり時間が無いので、これならどうでしょう」


神様が手をかざすと心が軽くなった様な気がした、心にぽっかりと穴が空いたような感じもするがそれ以上に開放感の方が大きい。

⋯⋯ただ何か忘れてるような気がする。


「どうですか、決められそうですか」

「えぇ、是非お願いします」

「では早速送りますね」

「も、もうですか!」


足元に魔法陣が現れる。


「そういえばまだ名乗ってませんでしたね、私はエスシア、シアと呼んでください」

「あ、ありがとうございました。コーヒー美味しかったです」

「いえいえ、もし何か困った事があったら神殿に行って私の名前を出してください、助けてくれるはずです。それとたまには遊びに来てください」

「了解です。落ち着いたら必ず」

「それではご武運を」


そういえばどんな世界か聞いてなかったな。


⋯⋯できることなら甘い世界でありますように。



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