家族編
ガチャガチャ ドタン
ドアの開く音で春は目が覚める春
落ち着きのなさから妹が帰ってきたのだと予想する
足音がリビングに近づいてくる。
何故か心臓の音はでかくなっていく
(めちゃくちゃ緊張する...)
リビングのドアが開くと.....
買い物袋を沢山手に持ったお母さんがそこにいた。
「お母さんかよ!!」
「?どうしたの春くん?」
キョトンとした顔でこちらを見る
「妹が帰ってきたのかと思ったの!」
「あ、秋香ちゃんね。後ろにいるわよ?」
「え...」
お母さんの後ろを見ると黒髪ショートにアホ毛がぴょんぴょん跳ねてる身長が俺と同じくらいの女の子がいた。
「うえぇ!」
春は恥ずかしかったのか咄嗟にクッションで顔を隠した。死ぬ前ならそんなことはしなかったがこの世界に来てからどうやらメンタルがかなり弱くなっているようだ。多分この世界の男の本能がそうさせているのかもしれないと納得する。
「お、お兄ちゃん?私の事わかる?」
妹から声をかけられクッションを顔から離し、目だけを出して妹を見る
「分からない。ごめんね...」
「っ...いいの!大丈夫!これから色んな思い出作ってこ!!」
「う、うん。ありがとう。」
羞恥心や罪悪感で涙目になる
「はぅ...お兄ちゃん、その顔反則...可愛すぎる...」
「え...?何か言った?」
「ううん!なんでもないよ!お母さん!今日の晩御飯の用意するから手伝って!そろそろお姉ちゃんも帰ってくるだろ『ガチャ』...帰ってきた!お兄ちゃんはソファでゆっくりしててね」
「う、うん、わかった」
妹の秋香が気を使い晩御飯の準備に取り掛かる。秋香に記憶はあっても春にはないのでは初対面になる。その気疲れを察知できる妹に春は頭が上がらない気持ちだった。
ドタドタとわざと大きな音を立ててリビングに向かってきているだろう姉が部屋に入ってくる
「春が帰ってきたのは本当か!」
大きな声とともに姉がこちらを見る。
お母さんと似た黒髪ロングの綺麗な女性だった。
腰よりもしたまで伸びた黒髪が光沢を放っていてとても綺麗だった。見てわかるTheモデル体型。素晴らしいの一言です...。
「ふむ、帰ってきているようだ。春、記憶が無いのは本当か?私がわかるか?お前が大好きな姉だぞ」
「ふぇ?わからないです...ごめんなさい...何も思い出せなくて...」
「ふぅ...その顔を見れただけで私は幸せかもしれないな...。」
「お、お姉ちゃん!!帰ってきたなら挨拶して!そしてお兄ちゃんに刷り込みしないで!!」
「あら?夏希帰ってきていたの?挨拶もしないとは夕飯抜きがいいのかしら?」
「.....。春のことで頭がいっぱいになっていた。只今帰った。秋香、刷り込みなどしていない。昔から春はお姉ちゃん、つまり私のことが大好きなのさ」
(夏お姉ちゃんめちゃくちゃ美人になのにちょっと癖ある...だけどそこがまたいいかも)
前世の春は年上好きなので好きというのはあながち間違いではない。
だが、この世界の俺はどうなのか分からなかったが部屋の片付けの時に幅が広いように感じた。
そんな話は置いとて姉妹の話に耳を傾ける。
「お姉ちゃん、言わせてもらうけどお兄ちゃんがお姉ちゃんを好きになる理由がありません。寝言は寝てから言ってください。どうせ記憶が無い今がチャンスとでも思っているんでしょ!!」
「なんてことを言うだ!!秋香!!私はそんなこと思っていない!春の深層心理は絶対に姉の私が好きに決まっているのだ。確かに記憶があった頃はチャンスなど微塵もなかったが今なら.....はっ!!誘導尋問が上手い妹だ!!手強い...!」
「お姉ちゃん自分からペラペラ喋ってるのに私のせいにしないでよ!!どんだけチョロいのこの姉!!」
「家族にこうも油断ならない存在がいるとは...」
「こっちのセリフだよお姉ちゃん!!」
「あんた達いい加減にしなさい。春くんを見てみなさいよ!」
ヒートアップする二人の会話に春はアワアワオドオドしていた。
「天使がいる。春は天使なのか?」
「お兄ちゃん、なんて可愛いくてかっこいいの...」
「ふ、2人とも落ち着いて、ね?喧嘩しないで、ね?」
「「わかった!!」」
「春くんは天使なのよ!わかる?記憶がなくなる前も優しかったけど今はさらに優しいし可愛くなっちゃったの!!2人とも気をつけなさいね!」
「あの、2人のことなんて呼べばいいですか?」
「ん?好きなように呼べばいい。」
「お兄ちゃんの好きなように呼んで!」
「じゃあ、夏お姉ちゃんに秋香って呼ぶね」
「「わかった!」」
2人の口論が終わり、秋香は夕飯の準備、夏お姉ちゃんは自分の部屋に着替えに行った。お母さんはお酒を飲んで俺とテレビを見ていた。
俺はそろそろかと思い、あることを聞き出そうとしていた。
それは
・何故入院したのか
・高校はどこなのか
・記憶の無くなる前はどんな性格だったのか
の上記3つだ。
春はそれらを口に出す瞬間...