体育前
着替えが終わり、体育館に移動する春。体育館に着くとクラスのみんなが集合していた。春が一番最後だったらしい。
(それにしても凄い見られてる...)
男がジャージを着ているのがそんな珍しいのかと思うが、この視線だ。男同様珍しいのだろう。
「あの、えっと、そんなに見られると辛いんだけど?」
「「「「「ご、ごめんなさい!!」」」」」
正直、今日会った奴らにそんな目で見られるなんてたまったもんじゃない。もうちょっと仲良くなってからにしてもらいたいものだ。はっきり言って不愉快極まりない。
「分かってもらえればそれでいいよ。」
「あなた達ねぇ...さっきも言ったけど少し考えて行動しなさい。欲にまみれた目をしているわよ?」
「委員長!委員長も見てたんじゃないの?私たちが悪いみたいな言い方はやめて!」
「見たわよ、ちらっと1回だけね。でもあなた達みたいにジーット見続けるなんてしてません。」
「でも見てたんじゃない!なら一緒だよ!自分だけ評価あげようと悪く言うのはやめて!」
(おー、喧嘩してますわ。よく分からん子と委員長こと伊織が。そろそろ止めてあげますか)
「そこの名の分からない子と伊織、そろそろいいんじゃない?授業始まるよ」
「な、名前の分からない子...」
「「「「「「伊織!?!?」」」」」」
よく分からん子はショックを受け、ほかのクラスメイトは伊織という名前呼びで驚いている。名前を呼ばれた当の本人の伊織は顔を赤くして俯いている。
「は、はい一条くん、ここまでにしまふ...」
「うん、ありがとう!見るのをやめるように言ってくれて嬉しかったよ!」
エンジェルスマイル発動、伊織はそっぽを向いてしまった。
「ち、ちょっと委員長!!一条くんとどんな関係なのよ!!名前呼びされるなんて羨ましいんだけど!!」
「さっき名前を教えるように言われたから自己紹介したら名前呼びされました...」
「きぃー!あんたどさくさに紛れてやる事やってるなんて上手い女だわ。」
また知らない子が喋っている。そんなに呼ばれたいなら自己紹介してくれればいいのに。するまであんた達の名前は呼ばないぞ。
そんなことを思っていると、
「あ、あ〜そろそろいいか?授業を始めたいのだが」
体育の先生が痺れを切らし、割って入ってきた。正直ありがたい。
「今日はバスケットボールをする予定だ。一条くんには悪いのだが点数係をやって貰えると助かる。男の子だし怪我されたらたまったもんじゃない。すまないな」
「わかりました。点数係頑張りますね」
「...お、おう。ありがとう。評価ちゃんとさせてもらうから...」
「やだ、体育の松岡、一条くんに惚れたわよ絶対...」
「先生にチャンスなんてないのにねぇ。可哀想に」
「お前ら!!聞こえてるぞ!減点だ減点!!」
「な!職権乱用!!」
「許されない行為です!!」
「ばーか!お前たちが私に悪口言ったからだよー!絶対に減点だ!!」
「「「「子どもか!!!」」」」
なんとも賑やかな先生がいたもんだと春は考えながら軽く笑う。それを見ていたみんなが一瞬で見惚れてその場が静かになっていたのは言うまでもないだろう。




