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有りすぎて無さすぎる。

 事件現場付近から離れ、リゼルとレシアは自分達の客室へと戻ってきた。そこには招かれざる客1名を連れて。


「年頃の女の子を部屋に連れ込んで、招かれざる客は失礼じゃないかい?」


 リターはリゼルが差し出した椅子を避け、彼が利用するベッドの上に腰を下ろしながら煽った。軽く舌打ちをした後、レシアの隣に堂々と腰を下ろして答える。


「俺が連れ込みたい女の子はもう隣にいるんだよ」

「へぇ......」

「ニヤケんな。それより要件は?」


 青年の一挙一動に頬を緩ませては、いやらしい笑みを浮かべる少女探偵。いちいち構うのは流石に面倒だとリゼルは話を急かす。


「要件って聞かれると言葉の立ち位置が少し変わってきそうだけど......まあいいかな。とりあえず私が聞きたいのは、君がなんで犯人が分からないと言ったのかと、情報が有りすぎて無さすぎるの真意かな」

「......俺が犯人が分からないと言ったのは、死体から得られる情報が有りすぎて無さすぎるからだ」

「うん、その『有りすぎて無さすぎる』の意味を教えて欲しいな」


 考えるかのように沈黙を置く。少ししてリゼルはゆっくりと話し出した。


「人に限らず、この世界のほとんどの生物は魔力を持っている。まあこれに関しては常識的な事だな。んで、その魔力は持ち主が死んでも、何日かは何日かは滞留するんだ」

「すぐには消えないって事?」

「そう。理由やらそっからの利用方法やらは色々あるみたいだけど、俺はそこまで詳しくないし、脱線するから今は省く。とにかく、あの死体にも同じように魔力が残ってた」

「それが、有りすぎ無さすぎるの意味?」

「そうなんだけど、もうひとつ、魔力が滞留する方法みたいなのがあんだよ」

「その方法とは?」


 リターの問いに、リゼルは指を立て、その先から炎や雷、小さな魔力の塊を見せながら答える。隣で「出来るの?」とレシアが首を傾げているが問題無いと気にはしない。


「死体限定だけど、魔法とか魔力そのもので干渉、接触するとその魔力が相手にも残るんだ」

「魔法や魔力による接触でも、死体相手なら魔力は滞留する......」

「一応、魔力ってのは人によって多少()()に差はある。でも聖職者以外なら誰であってもそこまでの差は無い。言い換えれば、聖職者以外の奴の魔力を見分ける手段は量以外にほぼないってことだ。その上で、俺は殺された被害者の元の魔力を知らない。元の魔力量や濃度がどんなものか知らないから、死体になった現状、あの体に滞留してる魔力が本人のかも分からないんだよ」

「なるほど。つまり、君の言ってた『有りすぎて無さすぎる』というのは、本人とそれ以外の魔力の差が分からないから殺害方法はいくらでも()()けど、それを暴くための情報が()()って事だね」

「......思ったより賢いな」

「探偵だからね」


 リゼルの肯定をリターは褒め言葉として捉えドヤ顔で返した。

 若干話について来れてないレシアのためにも、簡単に話をまとめよう。

・リゼルは自らの持つ「魔力を視認出来る瞳」により、被害者の体に()()()()()()()()()事を把握している。

・魔法或いは魔力による干渉や接触でも、使用された魔力は死体相手なら同様に滞留する。もちろん、この魔力もリゼルは認識出来る。

・しかし、死体に残ってた魔力が誰のものかは分からない。被害者本人のものか、それ以外のものか、リゼルは被害者の元の魔力を知らないため違いの判別までは出来ないのだ。


「魔法によって殺されたのか、魔力の宿った道具による殺害か、魔道具でってのもある。魔石に魔力を肩代わりさせるってのも有り得る。使った魔石は海に捨てれば証拠も残らんしな。逆に魔力や使わず殺った可能性もあるし、呪いとかによる遠隔殺害も。単純に事故死ってのもワンチャン。名前も知らない赤の他人の死んだ理由なんて、考え出したらキリがないからな。だから俺には犯人はわかりましぇーん」


 ふざけた態度で言い切るリゼル。隣にいるレシアは何となく話が理解出来たのか、無理だと諦めるリゼルを見て少し落胆しつつ、無理ならしょうがないと納得しているようにも見える。

 でも探偵少女は違った。


「情報が足りないから分からない。という事は、情報があれば犯人も犯行もわかるってことですね?」

「あ?」


 リゼルの説明を1から100まで全て聞き、全てを理解した探偵少女は、顎に手を当て不敵な笑みを浮かべていた。

 それは、人を揶揄うようないやらしい笑みでもなければ、人を嘲笑うような下卑た笑みでもない。そもそもマイナスの意味を持つような表情ですらない。むしろ期待を寄せるようかプラス的な笑みだ。だが、それはあくまで探偵少女にとって。その笑みを目にしているリゼルにとっては別に良いものではない。何より、リゼルその笑みと同じような表情を高い頻度で浮かべる人物を2人ほど知っている。

 その笑みを浮かべた者たちが何を考えていて、次に何を口にするかも。


「私と一緒に、この事件を解き犯人を捕まえよう!!!」


 そう、面倒事を頼む時の表情(かお)だ。


「普通に嫌だけど」

最後の、高頻度で不敵な笑みを浮かべる2人というのはラウスとエディオです。

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