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リゼル対ラグラゼール。

今回の地の文は割とノリノリで書いてます。

たのちい。

 リゼルとラグラゼール。人間と魔族の魔法使いによる戦いはド派手に繰り広げられていた。否、片方が派手にしていただけだ。


「ふざけるな! ふざけるな! ふざけるな!!!」


 魔力で出来た黒い翼で空を駆けながらラグラゼールは叫んだ。

 ラグラゼールのオリジナル魔法は「黒翼を操る魔法」である。魔力で作りだした黒翼によって空を飛べるようになったり、他者に翼を与えることで肉体の強化と飛行能力の付与も可能。また、黒翼を弾のように飛ばしたり、魔法を乗せることで本来描けない軌道で魔法を飛ばすことが出来る。シンプルで万能寄りなオリジナル魔法である。

 ラグラゼールは現在「黒翼を操る魔法」を使いリゼルの周りを飛行しながら、彼の防御を掻い潜るように魔法を打ち下ろしている。これだけ聞けばラグラゼールが優位に見えるが、本当に優位なら叫んだりはしない。彼が嘆いていたのはリゼルの暴力的な理不尽さにだった。


「何が魔力量が全てではないだ! 結局魔力量のゴリ押しじゃないか!!」

「あんたが俺に勝てば、魔力量が全てじゃないって証明出来るんじゃないか? 頑張れ〜」

 

 「ふざけるな!」と叫びながら飛行するラグラゼールを追うように、リゼルは()()()魔法を放っていた。いや、これを普通というのは暴論だろうか。

 7属性の攻撃魔法、7属性の防御魔法、そして怪我をしたら即座に治すための治癒魔法。リゼルは3種の魔法を併用して使っていた。百歩譲ってそれだけならまだいい。ラグラゼールもギリ文句は言わないだろう。問題は、彼がこの魔法を()()()()()ことなく発動している事だ。


(なんなんだあの男は! なんなんだ、この異常な魔力と、魔力操作の技術は!)


 魔法とは、術式に流し変化させた魔力を操作する技術の事。その魔法の中でも属性や用途から種類が別れるが、今回はカット。今のリゼル対ラグラゼールにおいて重要なのは、

・魔法は"魔力を変化させたもの"という部分であること。

・魔法の技術は詠唱や使い方だけでなく、魔力操作も重要な要素ということ。

・魔法は魔力操作の元、成り立っていること。

 の3つである。

 つまり、『魔力が続く限り、魔法は永続的に発動し続けられる』という事であり、現在進行形でリゼルはそれを行っていた。()()()()()()も無く。

 加えてリゼルの発動してる魔法は攻防どちらも最も最低消費魔力の大きく、威力が最も強い上級魔法である。7属性全部。

 一応、ラグラゼールも飛行している事でリゼルの魔法を回避し、逆に彼の魔法は黒翼に乗ってリゼルの防御を避けて進む事で彼に被弾する事もある。だが、その傷はすぐに治癒魔法によって治されてしまう。

 まさに、魔力量の暴力だった!

 

「クソっ!」


 ラグラゼールは背中に生やした黒翼を消し、建物の屋根の上に着地する。このまま飛行を続けていてはりを仕留める前に、ラピリアが合流するよりも先に魔力が尽きてしまう。と考え、魔力節約することを選んだ。だが、それは悪手だと気づいた時にはもう遅い。

 

「ぐっ!! っぁ......ッ!」


 ラグラゼールの腹部に突然、内蔵を圧迫されるような重い痛み走る。悶える間もなく顔面に次なる衝撃が届き、遅れて肉体が浮いた。かと思えば、ラグラゼールの体は地面を擦りながら転がっていた。

 じんじんと激痛を覚える顔と腹部を抑えながら目を開くと、視線の先には赤い液体が零れ汚れるコンクリートだった。すぐに気づいた。そこがほんの数秒前自分がいた場所ではないということ。


「何が......ッ」


 現状を把握するようにラグラゼールは顔を上げる。否、わかっている。何が起きたかなど、考えるまでもなく理解している。見ていたからだ。魔法の連打による弾幕で視界が悪くなることはあったが、目の前の敵の動きはずっと見ていた。視線は一度も外していない。

 殴られたのだ。鳩尾を。そして痛みと衝撃で体がくの字に曲がった所に顔面に蹴りを貰ったのだ。全部理解している。見ていたから。ただそれが来ると予想だにしていなかった。そのため、何も対応できず、気づけば吹き飛ばされ、顔と腹に痛みを抱えながら血を吐いていた。

 理解しているからこそ、彼は血も痛みも全て吐き出すように叫んだ。


「言っただろ? ()()()()魔力量が全てじゃないって」

「魔法を全てとする魔法使いが! 肉弾戦など! この外道が!!!」

「長生き故のギャップだな。今の魔法使いは肉弾戦は必須科目なんだよ!」

「貴様!!! うぐッッ!!」


 旧時代の考えで喚くラグラゼールを文字通り一蹴。さらに下から顎を目掛けて蹴り上げる。浮いたラグラゼールの体をリゼルは回転しながら蹴り飛ばし、上空へと運んでいく。

 下に被害が出ないだろう高さまで蹴り上げた所で、リゼルは空中で力なく項垂れるラグラゼールに、指先を向ける。


「待っ」

「じゃあな。時代遅れの魔族様!」


 制止の言葉を無視して、リゼル小さくぼやきながら指先から巨大な魔力の球体を放つ。

 リゼルの絶大な魔力によって作られた魔力弾は、ラグラゼールをさらに高く打ち運び、遥か上空にて爆散した。


「はい。お疲れおつか......れ?」


 建物の屋根にゆっくりと着地したリゼル。いつも通り、煽るような労いの言葉を呟きながら頭の上で僅かな魔力の違和感を覚えた。だが気にする間もなく、魔力探知に引っかかったのは、素早く動く2つの小さな魔力だった。

やはり暴力!暴力は全てを解決する!

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