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無謀な作戦。

 国王が魔神との会談に行ったことで、リゼルとレシアはシーア達に連れられ冒険者ギルドへ場所を移した。ギルド内には他にも多くの冒険者が集まっており、シーアら見ると荒くれ者のような見た目の彼らも丁寧に頭を下げた。それは国王の娘というステータスに対する媚か、或いは......。


「皆様お待たせしました。これより、作戦会議を始めます!」


 どうやら彼らは、リゼル達と同じように国王から声をかけられた冒険者のようだ。中には自主的に参加した者もいるかもしれないが。少なくとも、この場にいる冒険者は全員が魔神の討伐に集まっているようだ。

 リゼル達の紹介はなく、彼らも「新しい仲間が入った」くらいの認識でなのだろう。聞くだけ聞いて帰る気満々のリゼルもそこまで気にしていない。


「では最初に、今の状況について話します」


 そう言ってメイリーが話し出したことで作戦会議は始まった。その内容は、まあまあ酷いものだったが。

 まず話したのは現在の状況。端的に言うと今回のように冒険者を集めて魔神妃フィルドレアに挑んだ事は前にも2回ほどあった。

 1回目は敵の魔族の情報を一切知らないまま普通に返り返り討ちに会い、2回目は1回目で負けた時に捕まった何人かの冒険者達が例の行方不明者同様に地下奴隷として扱われており、彼らを人質にされて負けたという。1回負けた時点で賢者を呼べとリゼルは怒鳴りたくなったがなんとか抑える。リゼル1人が言ったところで方針は変わらないだろうから。

 話を戻そう。今回3回目の挑戦、彼らの作戦は前回の敗因である地下奴隷の解放を最優先にするとの事。地下奴隷の居場所は既に把握しており、海に囲われた魔神の城にはシーアの魔法で海中から潜入する。奴隷解放後は会談中のシラフネと合流し、殲滅するというのが今回の作戦。現在行われている国王と魔神の会談は魔神並びにその部下である魔族達の気を引くためらしい。正直普通にバレてるだろうとリゼルは思う。

 色々ツッコミたい部分はあるが、彼女ら的にはもう1つ、今回の討伐作戦を実行を決意した決め手があると言う。それは、


「魔神妃フィルドレアの部下には、六魔水という強力な魔族が6体居ます。そのうちの1体である召喚士のカイビーは前回の討伐作戦でシラフネ姉様が撃破しました」


 幹部の1人を撃破した、との事。

 曰く、その魔族は召喚魔法を得意としている魔族で、国王が話していた「魔神妃が国に入ってから兵力を増やしている」の1番の要因がかの魔族による召喚魔法らしい。もちろん、海にいる魔物や他の魔族をスカウト的な事もしてはいる可能性はあるが、今までのように簡単に戦力を増やす事は出来ないだろう、との事。


「戦力を増やす手段が減った今がチャンスなのです!」


 杖を高らかに声を張るメイリー。それに呼応して冒険者達も「おぉー!」と盛り上がっている。


「なんか、行けそうだね」

「雰囲気だけだよ。普通に無理だと思うよ」

「そうなの? どうして?」

「シンプルに作戦に穴が多い。その穴に気づいていないのか、無視してるのかは知らないけど、今の作戦のまま突っ込んでもまた返り討ちに会うだけ」


 冒険者達が盛り上がる端で、レシアと静かに会話をしながら、リゼルだけは肘を着きながら渋そうな表情を浮かべていた。


 リゼルの思う穴。

 例えば幹部の召喚士を倒したからと言って、他に召喚士が居ないとは言い切れない。他の召喚士が居て、こちらの冒険者以上の戦力を用意されてたら?

 例えばこの作戦自体がバレてて地下奴隷のいる場所で待ち伏せされてたら?

 前半が上手く行ったとして、後半のシラフネとの合流は本当にできるのか?

 そもそも今の戦力で魔神やその部下に勝てるのか? 等々、言い出したらキリがないほどこの作戦には穴がある。かと言って今から作戦を変えるとしたら、国王達の会談は終わってしまうだろう。リゼルとしてはそれでもいい。というかその方がいい。今回は無理に攻めず、作戦会議に時間を使って次の会談までに戦力と情報を集めつつ、来週か再来週辺りに挑むべきのが妥当だと、その間に自分達は国から出る。それがリゼルが思う1番良い作戦だった。


「「「うぉぉぉ!!!」」」


 ギルド内に響き渡るこの盛り上がりようでは、彼の考えが通るはずもないが。


「馬鹿馬鹿しい。死に場所でも求めてるんか?」


 穴の多い無謀な作戦とそれに盛り上がる考えの足りない冒険者達を見て、リゼルは呆れてため息をついた。そして参加するだけ無駄だと判断し、帰ろうとレシアの手を引きギルドを出て行った。

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