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夏の国の魔道具店。

 夏の国に入国したリゼルとレシア。宿を確保し、荷物を置いて2人は早速観光へと乗り出す。雑誌の取材にも取り上げられるほど人気の夏の国は、その要因とも言えるほどに観光名所も多く、2人は時間の許す限り遊び尽くしていた。


「これは3日じゃ足りないかもね」


 あまりの観光名所の多さにリゼルは入国初日ながら全部回るため、滞在期間の延長を考えていた程。


「回りきれなかったら、また来ればいいよ」

「え?」

「1回しか来ないなんてことはないから。また来て、その時遊べばいい」

「レシア......」


 当たり前と言えば当たり前だが、フィルター効果もあってかリゼルはレシアの発言を、旅人らしい名言として聞き、感銘に打たれていた。一方言った方のレシアはリゼルの大袈裟な反応より、その前の発言にどこか違和感を感じていた。


(アレルの時は、()()って言ってたのに......?)


 気にはなりつつも深く追求はしない。頭のいい彼でも勢いで喋ることはあるのだろう。そう思い、レシアは静かに隣を歩き続けた。


-------------------------


「レシア、ちょっと寄っていい?」

「いいよ」


 店の前で足を止めたリゼルは、レシアの許可を得て中へ入っていく。二人が入ったのは魔道具店。冒険者御用達の店だ。ちなみに本日3軒目。

 「いらっしゃい」と快活な店主の声を聞きながらリゼルは店内を見渡す。


「何か買うの?」

「いや、ただ見たいだけ」


 レシアの疑問に首を横に振りつつも、リゼルは商品棚に置かれている魔道具を目を光らせる。時折手に取ってじっくり見つめたり、武具なら軽く振ってみたりと色々試している。本人に買う気はないらしい。真似てレシアも手に取ってみるがわからない。2本の剣をそれぞれ振ってみたりもするが、首を傾げるだけだった。いっそ自分の武器と比べてみようかとキューブに触れたところでリゼルに止められる。このやり取りも3回目である。


「リゼルは、違いとかわかるの?」

「普通のはわかんないね、鑑定士とか目利きじゃないし。でも魔道具なら組み込まれてる術式はある程度わかるよ。レシアのそれもそうだし」

「そう言えば何か言ってたね」

「何かて......」


 レシアの反応にリゼルは「えぇ......」と漏らしながらガックリと悲しそうに肩を下ろした。まるで自分の話はさして興味がないと言われてるようで、かなり刺さったらしい。これからは少し会話の工夫でもしようかと、思いながら店内の魔道具続けるリゼル。ずらりと並べられた魔道具の端の方で、魔導書コーナーと書かれた看板と本棚を見つけると、彼は足早にそちらへ向かった。


「魔導書?」

「流石にわかるよね?」

「わかるよ。使ったことはないけど」

「まあ、魔法使いじゃなきゃ意識的に使うこともないからね」


 言いながらリゼルは本棚に並べられた魔導書を手に取りパラパラと捲っていく。レシアも真似て捲ってみるが何が書いてあるか理解は出来なかった。


 この世界における魔導書とは内容を読み、術式と仕組みを理解すれば使用出来るようになる、いわゆる教本だ。一応本の後半部分には内容に沿った魔法の術式が組み込まれて物もあり、魔力を流せば読まずとも魔法を使用できるようになっている。が、魔法をメインに使う役職でこちらの機能を使う者はほとんど居ない。どちらかと言えば剣士などがサブで使うか、魔法使いが習得のために感覚を把握しておくかのどちらかである。

 魔導書には魔法使い用と聖職者用の2種類があるが、その説明はまた別の機会に。ちなみに聖職者用の魔導書で一般販売は少ない。

 科学の進んだ昨今ではデジタル魔導書となるものが存在しており、魔導書をインターネット上で購入し、見ることができ、一部進んだ学校では魔法学にデジタル魔導書を取り入れる所もあるという。とはいえ、その場合は魔力を流して術式を発動するという機能が省かれているため、紙の魔導書の需要が減った訳でもない。


「『水中で息が出来る魔法』『服を一瞬で乾かす魔法』『脱水を防ぐ魔法』......流石夏の国。結構良いの置いてるなぁ」

「買うの?」

「正直アリかもと思ってる。ただかさばるからね......」

「うん、荷物が多いと旅は大変になる」

「だよね。じゃあレンタルでいっか。店長! 会け......お?」


 会計を済ませようと並んだ時、レジ前に1つの腕輪を見つける。ただのオシャレ腕輪であればリゼルの目に止まることはないが、彼が止まったのだ。当然魔道具である。じっくり見つめ、手に取りその術式を確かめる。


「それは今日入荷したやつだ。買うかい?」

「結構すごいもんだな。製作者はジン?」

「この時代にジンの作った魔道具が売られてる訳ないだろ! ガハハ! 仮にあったとしてもここまで安売りはしねーよ」

「それもそうだな」

「作ったのは、この国の王様の息子さんだとよ」

「ほへー」

「で、買うのかい?」

「うーん」


 店長のやり取りに納得したりしなかったり、腕輪を填めて効力を確かめたりなど、色々試してはみたものの、最終的には「やっぱいいや」と元に戻し、魔導書のレンタルのみを会計した。

 魔道具店に入る度、その魔道具の数や種類には目を光らせるものの、魔道具一つ一つには目に付くものはないらしく、これまでに回った2軒でも購入品はほとんどなかった。


「まあ、こんなもんだよな。あっても結局かさばるだけだし」

「そうだね」

「レシアは良かったの? 何も買わなくて」

「何が良いかわからないから......」

「そっか」


 軽いやり取りを背にリゼル達は魔道具店を出た。この後すぐにまた別の魔道具店を見つけては寄ってを繰り返すのは省略で。

魔道具には2種類ある。魔法のように術式が組み込まれている魔道具と、術式は組み込まれておらず、科学技術によって効力を持っている魔道具である。

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