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人気な国。

勘のいいガキはうんたらかんたら。

 夜風が涼しい時期は過ぎ、昼も夜も蒸し暑くなってきたこの頃、夜も息苦しい野宿を数日繰り返して、リゼル達は夏に相応しい『夏の国シーロード』に辿り着いた。


「おすすめの旅行先100年連続トップ3、住みたい国ランキング第4位の超人気国『夏の国シーロード』! 俺も幻の国以外だったら一度は行きたいって思ってたんだよな」

「光栄です旅人様。ぜひ、我が国を満喫して行ってください」


 エジルが誕生日に毎年寄越してくるパンフレットを片手に、リゼルが本心からの言葉を漏らすと、それに反応した城門の役員が嬉しそうに答えた。

 『夏の国シーロード』はリゼル達が入国した東部と南部の少しを除き、ほとんどが海に囲われた国である。貿易や海上旅行のための海路も開拓されている事もあり、漁業も盛んで極東で有名な魚料理を極東以外で食べられる唯一の国ともされている。また海に面しているので当然ビーチも設けられているが、この国が人気な理由はその気候の特殊性にあった。


「なぁ役員さん、パンフレットだとこの国は雨がほとんど降らず、常に夏って言われてるけどマジ?」

「はい。この国は幻の国『水の国シリウス』の庇護下にあり、幻の国の国主様の加護の影響を受けているのです」

「国主の加護......」

「はい。国主様の加護によって、常に夏らしい高い気温を維持されており、雨も偶にしか降らず、人為的なものでなければ津波など災害もありません」

「海の近くに過ごして災害ないです。は確かに凄いな」


 リゼルの疑問を役員は自慢げに語る。彼もこの国の出身なのだろう、国の誇れる部分を旅人にアピールできて嬉しいようだ。実際彼が言った通り、この国での水害事故はここ数年記録がない。稀に波に飲まれた客もいるが、その客のほとんどが幻の国に招かれ、無事に帰ってくるという幸運な客ばかりだ。

 常に気候が良く、事故もほとんど発生せず、運が良ければ幻の国に招かれるこの国は確かに超人気国だろう。


「改めまして、ようこそ! 夏の国シーロードへ。歓迎します!」


 入国手続きを終え、リゼルとレシアは夏の国の城門を潜る。


「ん?」


 と同時にリゼルは足を止め、何かを感じ取ったのか警戒するように辺りを見渡した。その何かに気づいたのか否か、リゼルの不快そうに表情を歪める。彼の反応が気になり、レシアも足を止めて聞く。


「どうしたの?」

「いや............やめとこ」

「何を?」

「こっちの話。とりあえず今はなんともないから大丈夫」

「そう?」


 今は大丈夫。と安心させるために言いつつ、リゼルの警戒は解かず、周りを気にするようにしながら歩き始めた。


「面倒事には、巻き込まれませんように......」


 レシアの隣を歩きながら、リゼルは彼女にも聞こえない声で小さく呟いた。その声量に比例するように、得意じゃない()()()()()を行って。

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