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旅する彼女に一目惚れしたので俺も一緒に旅します。  作者: 論です
冒険者パーティーを組もう!
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ビビり勇者。

この勇者、今回の話しか出てこない予定なんですよ。

 森の奥からぞろぞろと姿を現したのは20体以上いるゴブリン達だった。1番後ろには頭と二の腕にバンダナを巻き、他のゴブリンよりもふた周り程大きいゴブリンキングもいる。ゴブリンキングも含めゴブリン達全員の手には銃があった。飛んできた2発の何かは銃弾で間違いないだろう。それぞれリゼルと髭男の仲間の女性を貫いた。命中した事を理解してか、ゴブリン達は銃を手に持ちながら独特の言語で喜ぶように騒いでいる。

 ゴブリン達が銃を持って人間を襲う。その事実が受止めきれず髭男やヒイロ達は呆然と立ち尽くしていた。


「リゼル!」


 一人の少女の叫びを聞き、ヒイロが思い出したかのように倒れ伏せるリゼルに視線を向ける。マントで隠れて見えないがその内側から流れる黒い血から危険な状況だと理解し、仲間のシスターに治癒魔法をかけるよう指示する。次に撃たれたもう1人の方を見るが、その惨状に胃袋から込み上げてくるものを感じ、思わず口を塞いだ。

 撃たれた女の胸には20cm程の穴が開き、空気が通り抜ける音が聞こえてくるほど。即死だった。

 何とか息を整え、女の死体から目を逸らすようにリゼルの方へ視線を向けるヒイロだが、女の遺体が脳裏にうつ伏せにリゼルの傷も同じようなのではないかと、再び吐きそうになる。シスターが泣きながら治癒魔法をかけている。その様子からもはや助からないのだろうと、ヒイロは思ってしまった。


「おいどういう事だ......話が違ぇぞ......」


 髭男が声を震わせながら言った。この場で唯一話を知っているようだった。しかし状況に混乱していてまともに話せる雰囲気ではなかった。それ以上に、目の前には銃を持ったゴブリン達がいる。悠長に話をしている余裕など、そもそもない。

 どうすればいいかと、未だぼんやりとしかけている脳を動かし考える。すると突然、ゴブリン達が口を開いた。


「フタり、ヤッだ」

「オトコを、ヤッだ」

「オデは、オンナ!」

「「ギャハハハ」」


 その声、その言葉を聞いたヒイロ達は思わず目を見開く。誰かは「ありえない......」と言葉を漏らす者もいる。それもそう、ゴブリン達は人間の言葉を話していたのだ。


「構エろ。オンナは、撃タず、に捕まえロ」

「リョーかイ」


 立て続けに起きる訳の分からない状況に全員の困惑が極まる中、ゴブリンキングが指示を出し、それに応えてゴブリン達が再び銃を構える。


「ま、待て! 俺はギルドの遣いだ! 仲間だ!」


 銃口を向けられた途端、髭男が慌てて叫び出した。やはり何か知っているようだ。それどころか、ギルド共関わりがある事をはっきりと口にしている。


「依頼の件の俺らだ。初心者狩りのための、な? わかるだろ? 頼むから俺の事は撃たないでくれ!」


 銃を置き、降伏するように髭男は言う。仲間達も倣うように銃を置いて額を地面につける。さっきまでの威勢はどこへ消えたのか、髭男達は醜い姿を晒した。本当にギルド1番の冒険者なのだろうか。


「撃テ」

「ちょっ、待っ!」


 男の言葉を聞き入れず、ゴブリンキングは命令を下し、数体のゴブリンが引き金を引いた。


「ぐっ、ぎゃあぁぁぁぁ!!!」


 髭男の絶叫が森の中に響く。放たれた銃弾は髭男の右腕を吹き飛ばした。滝のように血が溢れ出る右腕を抑えながら髭男はのたうち回る。男の仲間達も腹や胸を撃ち抜かれ、血を流し倒れた。こちらは即死のようだ。その様子を見て、恐怖を覚えた髭男やヒイロの仲間達も悲鳴の声を上げ出した。

 髭男の醜態を横目にヒイロは、直前までの髭男の発言と、目の前で起きてる事とに思考を潰されていた。今何が起きていて、何をすればいいのか、何も分からなかった。分からない中、彼はただ剣を構えていた。


「ナンだ、オマエ。怖ク、ナイ、ノか?」


 ヒイロの行動にゴブリンキングが問う。純粋に意味がわからなかった。銃で人が死ぬ瞬間を目の当たりにして、何故その行動を取れるのかゴブリンキングには分からなかった。


「こ、怖いよ。怖いけど......!」


 声を震わせながらも、ヒイロは答える。が、ヒイロ自身も自分が何をしているのか、何故この行動を取ったのか理解できてなかった。ただ、悲鳴をあげる仲間達と、傷ついた人を見て、彼の体は自然と動いていた。


「アのオトコを、撃テ。殺セ!」


 ヒイロの行動が気に入らなかったのか、ゴブリンキングは不快そうに睨んで指示を出す。今撃ったゴブリンのリロードを待つまでもなく、早く殺せと急かされた。

 撃たれる。殺される。向けられた銃口を見てヒイロは直感した。それでもヒイロは逃げなかった。恐怖で目は瞑るものの、剣も構えたまま。引き金が引かれ銃弾が放たれるまで、逃げることはなかった。


「へっぽこ勇者と思って悪かったな」


 音もなく放たれた銃弾がヒイロに届くことは無かった。代わりに何かが弾けるような音と、青年の低い声が耳に届いた。何が起きたのかと、目を開けばそこには、倒れていはずの青年が立っていた。


「やるじゃねぇか、ビビり勇者」

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