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旅する彼女に一目惚れしたので俺も一緒に旅します。  作者: 論です
冒険者パーティーを組もう!
35/91

冒険者の国。

 提案と談笑をしながら歩き続けて数時間、リゼルとレシアはようやく1つの国に辿り着いた。


「こんにちは、私はレシア、あっちはリゼル。2人とも旅人。国に滞在したい」


 城門の前で入国審査が行われている。レシアは慣れた様子で端的に事を話した。端的すぎて言葉が足りない気もしなくはないが、伝わればいいだろう。そう思いながらリゼルは周囲や城門の奥から見える国の中を見渡した。


「リゼルさん、レシアさん、ようこそ。何日ほど滞在予定で?」

「とりあえず3日間」

「3日ですねわかりました」

「ところでさ」

「はい?」


 書類を手書きしている職員にリゼルが問う。入国前のやり取りは基本的に慣れているレシアに任せているが、必要な事があれば聞くのがリゼルのスタンスである。


「俺ら冒険者なんだけど、この国のギルドってどこにあるかわかる? ついでに地図とか貰えれば助かるんだけど」

「......冒険者ギルドでしたら西の方角に真っ直ぐ行けばすぐに看板の付いた建物が見えてきます。地図にも印を付けておきますので、どうぞ」


 渡す時の職員の表情が神妙な面持ちだったことに疑問を覚えつつも、リゼルは「どうも」と印の書かれた地図を受け取った。


「これで入国審査は終わりです。ようこそ、我が国へ」


 審査を終え国の中へ足を踏み入れる。見送られながら背中越しに「気をつけて」と小さく言葉をかけられて。


「......」


-------------------------


 国の空気はお世辞にも良いとは言えない、少し荒れた雰囲気の国だった。不景気だった森林の国がマシに見えるほど。その様子見て、リゼルは「先にギルドに行こう」と提案した。眉間に皺を寄せて。

 城門の職員の言った通り、数分歩いた程度の距離でギルドの看板が確認できた。リゼル達の接近に気づいた冒険者の何人かが視線を向ける中、レシア一切気にせず、扉を開けてギルドの中へズカズカと入り進んだ。視線を気にしながら鬱陶しそうにため息を吐くリゼルとは真逆なのが絵として面白い。


「あの、パーティー登録したい」


 早速いきなり端的に、要件を伝えるレシアに職員は少し戸惑うも、黒髪ロングの女性職員が代表して対応し始めた。


「冒険者パーティーの登録ですね。こちらの用紙にリーダーの方とメンバー名前を記入してください」

「リゼル、リーダー」

「そっちに任せる」

「わかった」


 依頼掲示板を見ながらリゼルは答える。新参者だから外から来た旅人だからか、或いはそれ以外の理由か、物色するような視線が妙に多く、リゼルは違和感を覚えていた。年齢や役職等リゼル本人の記入が必要な場所を聞かれてようやく、リゼルはレシアの元へ寄って書類を書き始める。さりげなくローブで彼女を隠すのはキザなのかなんなのか。記入を終えた2人は冒険者手帳を職員に渡し、書類に書いた事と同じ内容が機械によって手帳に記入された所でパーティーの登録を完了する。


「パーティーの登録はこれで完了です。冒険者パーティーやギルドに関してご質問があればどうぞ」


 登録を終えた2人をそれぞれ見ながら職員は質問がないか問う。そこでリゼルは先の掲示板で見つけたとある依頼に関して質問した。


「......じゃあ質問。あの掲示板に限定依頼って書いてあるの見つけたんだけど、あるってもしかしてここで受けたら、ここでしか報酬貰えない感じ?」

「はい、その通りです。限定依頼とはこの国限定の依頼という意味でして、依頼完了後の報酬は我がギルドでしか受け取れません。ご了承ください」

「なるほどね、ありがとさん」


 回答を貰ったリゼルは納得したように、軽い感謝を述べる。リゼルと職員のやり取りが終わったところでレシアは早速依頼を受けようと掲示板眺める。すると、突然4人組の男女の集団が近づいてきた。恐らく冒険者パーティーだろう。リゼルが前に割り込むようにレシアの前に立つと、リーダーらしきそこそこ歳の行った、茶髪の髭の濃い男が手を挙げながら話しかけて来た。


「よう、あんたら依頼を受けたいんだろ? だったらオススメのがあるぜ」

「......オススメがあるなら自分で受けたらどうだ? わざわざ俺らに紹介する必要ないだろ」

「先輩冒険者として新人冒険者への歓迎さ。ここの冒険者をするなら皆仲間、家族のようなもんだからな。仲良くしようって事だよ」


 警戒するように睨みながら低い声で問い返すリゼル。対して男は軽快な様子で話した。男が話し始めると後ろのパーティーメンバーや遠巻きから見ていた冒険者の何人かはクスクスと笑い出し、何人かは沈んだように視線を落すのをリゼルは確認する。


「ごめん、私達はたムっ」

「それはありがとう。ならそのおすすめってのをぜひ教えてくれ」


 レシアの発言をリゼルは口を抑えて遮る。そして最初の態度とは裏腹にその"オススメの依頼"を紹介するよう快く頼んだ。リゼルの返事にニヤリと口角を上げ、1枚の依頼表を取ってリゼルへ渡した。


「俺のオススメはこれだ。ゴブリンの討伐!」

「ゴブリン討伐? 20体で銀貨40枚......随分と破格だな」

「ギルド側からのサービスみたいなもんだよ。ゴブリン討伐っていう簡単な依頼で成功体験を得て、なりたての初心者に冒険者の楽しさを覚えてもらうためのな」

「ゴブリンとはいえ20体は少し多いな。初心者に行かせて大丈夫なのか? パーティーでも生きて帰って来れる保証はなくないか?」

「俺らも一緒について行ってやるから安心しろ。報酬は1割でいい。まずはお前ら初心者の安全と楽しさを覚えてもらうのが第一だからな!」

「......親切だな」

「当然のことさ!」


 胸を叩いてドヤる髭男。男の提案に合わせてギルドの職員からも声が上がる。


「そちらの方々は本ギルドでも最も強い冒険者パーティーです。彼らが一緒でしたら安全は確保されると思います」

「......ギルド公認か。なら安心だな」

「だろ? じゃあ早速」

「けど悪い」


 髭男の言葉を遮りながらリゼルは、今すぐには依頼を受けられないと伝える。


「俺らはこの国に来たばかりの者でな。まずは宿を見つけて荷物を置いて、あとは色々準備するから必要がある」

「そ、そうなのか?」

「あぁ。だから、そうだな。明後日もう1回来て、この依頼が残ってたら受けることにするよ」


 明後日。期限を儲けてもう一度来ると約束する。その約束が守られるかどうか、髭男は不満そうな顔をするが、後ろの仲間からの助言も受けたらしく髭の男は「わかった。明後日ここで待ってるぜ」と快諾した。返事を聞いたリゼルは踵を帰し、レシアの手を引きながら足早にギルドを後にした。


「面倒臭いなぁ......」

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