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国の巫女。

「リゼル!!!」


 少女の叫びも虚しく、焼けるような音とそれを放つ光に掻き消された。煙の中で僅かに見えた凹むように溶けた地面の後が彼女に嫌な想像をさせる。レシアが「なんで?」と言った表情を向ければ、声を聞く前にフォラスタは返した。


「我とて客人を雑に扱う気などない。だが、あの男は我の決定に歯向かう反逆者であり、それ相応の強さがあった。逆に我も彼らの声を聞くまではあれど、その意思に傾くほど余裕はなかった。故にこうせざるを得なかった。言い訳に過ぎないがな」


 申し訳なさそうにフォラスタは言った。今までのような必死さは薄れ、冷静に割り切ったような雰囲気なのは、彼が口にした「余裕がない」「言い訳に過ぎない」が本音だからなのだろう。表情と声色からレシアはフォラスタの、自身と自国への感情を理解した。その上で、レシアには納得出来なかった。


「リゼルは関係ないのに......」


 ボソリと呟くレシアの言葉を疑問に思いつつも、納得できない彼女に対してフォラスタは態度を戻し、元の口調で言う。


「......これでわかっただろう小娘。貴様は巫女になる。これは決定事項なのだ。歯向かえばあの愚かな青年のように」

「誰が、愚かな青年だって?」


 またこのパターンか、3回目くらいじゃないか? もう良くないか? 遮るように発せられた声を聞いたフォラスタは深いため息を吐きながら、不快そうに表情を歪ませた。


「どうも、愚かじゃない青年でーす」


 煙を晴らしながらリゼルは現れた。


-------------------------


「本当にどうなっているんだ、貴様は」

「さぁ? 生物学的な肉体の構造で言えばそこらの人間と変わらんし、見ての通りの結果ですとしか言えないな......」


 フォラスタは再び深いため息を吐いた。


「どうやってあの拘束から抜けた。どうやってあの状況から我の攻撃を耐えた。答えろ」

「......」

「どうした? 答えてみろ」

「答える義務ないんでノーコメントで」

「またそれか」


 これまでの問答からリゼルが真面目に答える気はないとフォラスタは呆れながらも理解する。なんならこのやり取りすら時間の無駄とすら感じるほどフォラスタの目に映るリゼルはふざけた奴だった。得体の知れなさも含めて。


(わざわざ方法教えて対策されたら意味ないしな)


 態度こそふざけているが、リゼルは決して考えまでふざけている訳ではない。自分がやられないため、レシアを助けるために、合理的にその瞬間考えうる最善の言動をしているだけだなのだ。元からこういう性格なのは事実だが。


(それよりも、この後どうするかだな。今のと同じの何回か喰らったら流石に耐え切れんな。アレルもどっか行ったし......)

「しゃーない、やるか」


 やりたくないと心叫びが聞こえそうなほど渋そうな顔をしながらリゼルはボヤく。


「何をやるというのだ。貴様に何が出来るというのだ!」

「さぁ? 何が出来るか、どういう結果になるかはやって見なきゃわからんて。ただ、やる以外選択肢ないからやるだけだ。あんま気にすんなよ森林王」

「リゼル......」

「大丈夫だよ、レシア」


 未だ球体の中に囚われているレシアに軽く微笑む。ふざけた口調と態度は変わらないものの、表情は冷静に、どこか覚悟を決めたようで。リゼルは指で銃を模するようにしながら、静かに指先を向ける。そして、()()を口にしようしたその時一


「星て」

「フォラスタ様!!!」


 一それを口にしようとした時、一人の少年の声が響き渡った。


「アレル?」


 声のした方へ全員が視線を向けると、そこには、国の案内人とその隣に、一人の女性がいた。背の高い、綺麗な緑色の髪をした女性。


「こんにちは〜。この場合は、ただいまかしら〜」


 語尾の長い緊張感のない口調がリゼルとレシアの記憶の中で主張する。間違いない。彼女は国に入る前に森で出会ったあの女性だ。全員の頭の中の疑問に答えるように彼女は答えた。


「どうも〜。森林の国の次期巫女、フランワです〜!」

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