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幻の国で事件発生。

 翌日の幻の国は騒がしかった。いや、騒がしいというか、一人がうるさいだけというか......。


「レシアー、どこだー?」


 台詞からも分かるように、レシアが失踪し、リゼルか彼女の名を叫びながら歩き回っていた。彼だけではない。森林の国の住人達もレシアの捜索に協力している。

 今朝方リゼルが目を覚まし、レシアと合流しようとした九時頃には既に彼女の姿はなく、荷物は全て放置されてることから失踪した時間は夜中頃で、国を出たということは考えにくいと予想がついていた。幻の国とはいえ、国の内側にいるのならば簡単に見つかるだろうと、森林の国の住人達の手を借りて捜索していたが、かれこれ二時間、レシアの姿を見たものは誰一人としていなかった。


「リゼル様、こちらにはいませんでした」

「昨日行った場所も行きましたが見当たりませんでした」

「あっそ」


 住人達の報告に素っ気なく返すリゼル。態度は悪いがその表情は深刻に悩んでいるようで、住人達も口出しはできなかった。


(それ以外にも理由はあんだろうけどな......)


 少し前の、どっかの誰かさんが失踪した時に類似した今回のレシアの失踪。偶然の可能性もなくはない。何より......。


「で、アレル。今回の件について説明してもらおうか」

「なんの話しでしょうか?」

「とぼけんなよ。お前ならレシアが消えた理由わかってんだろ?」


 リゼルは既に真相に考え至っていた。


「......流石ですね、旅人様」

「お世辞はいい。お前が黒幕じゃないこともわかってだ。さっさと答えろ。レシア関係で俺はそこまで優しく出来ねぇぞ」

「......わかりました。では、僕について来てください」


 観念したかのようにアレルはリゼルを案内する。その道先は国の中心に向かっており、その行く先を遮るように狼達が立ちはだかることにリゼルは「やっぱな」と納得していた。

 飛び掛ってきた狼達に「悪いな」とリゼルは小さく謝罪し、応戦する。余計な火力は出さず、簡単な雷の魔法で狼達を気絶させる。


「リゼル様、あなたはどこまで知っているのですか?」


 ふと疑問を抱いたアレルがリゼルに問う。


「知ってる知らないで言うなら何も知らん。特にこの国ことはな。ただ何となく予想はつく」

「そうですか......」

「お前は昨日、この国は不景気だから国の王は寝てるって言ったよな。けど、実際は逆だろ? 不景気だから寝てるんじゃなくて、王が不調だから不景気なんだろ?」

「......はい」


 リゼルの回答はアレルの想定したものではなかった。想定を超えるものだった。故に、彼が口を動かすには十分だった。再び走り出したアレルはリゼルに事情を話し出す。


「この国には、巫女という存在がいました」

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