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森の奥へ。

  昨日のリゼルが感じ取った不気味な違和感は、巻き込まれる前に森を抜けたいという思いはフラグだったとでも言うのか、彼らは森の奥へと招かれる。


-------------------------


「リゼル、起きて」

 小さな言葉と共に体を揺らされたリゼルは瞳を開ける。昨晩感じた不気味な違和感を含め、何があってもいいようにと、普段より浅い所に意識を置いていた。だが、目が覚めて最初に写った光景が白髪の美少女が顔を近づけ、自身の体に接触している状態ともなれば、そんなこと関係なしに覚醒せざるを得ない。リゼルは思春期の男子ゆえ。


「......あっぶっねぇ......」

「おはようリゼル。大丈夫?」

「おはようレシア。大丈夫だよ。朝から心臓が爆発しそうになっただけ」

「? どうして?」

「どうしてだろうね......」


 変な声を上げず、変な反応をせず冷静に起きれたのは良かったと安堵しながらリゼルはゆっくり体を起こし、携帯で時間を確認する。時刻は八時前。それはリゼルがいつも起きる時間より早い時間帯だ。何より普段リゼルを起こす事自体をあまりしないレシアが彼を起こした事実に何かあるのだと、リゼルは即座に察する。


「どうしたの?」

「フランワさんがいない」


 レシアの端的な発言で状況を理解したリゼルは軽く頭を振り、欠伸をし、軽くストレッチをしながら聞き返す。


「それで?」

「それで? って何?」

「それで、俺にどうして欲しいの?」


 まさかの質問にレシアは答えに戸惑う。戸惑いながらも、レシアは自分の本心に従い言葉を返す。


「探すの手伝って」

「......レシアは何時に起きたの?」

「えっと、六時......」

「レシアが起きた時にフランワさんは居たの?」

「居なかった。だから探した」

「そりゃそうか。フランワさんの荷物は?」

「財布とかはないけど、大きい荷物はあったり......」

「そっか」


 いくつか投げられる質問にもレシアは答え続ける。何回か繰り返してリゼルは「なるほど」と納得したように頷いた。何がわかったのかと、レシアが聞くよりも早くリゼルは言う。


「腹減ったし朝食にしようか」

「え?」


 吐かれたその台詞にレシアは間の抜けた声を漏らす。対するリゼルはそんな彼女を気に留めずそそくさに朝食の準備に取り掛かっていた。


「リゼル、フランワさん探さなくていいの?」


 流石に疑問と不安の方が勝ったレシアが準備をするリゼルの動きを気にしながら、行方不明の女性を探さないのかと問う。


「探すってどこに?」

「どこって......」

「あてがないのに探しても無駄に労力を消費するだけだよ」

「でも、この森の中で迷ったら......」

「レシアは一人で近くを探して戻って来れたでしょ? だからフランワさんも普通に戻って来れる可能性はある。むしろ今俺らも探しに行ったら戻ってきたフランワさんと行き違いになるかもしれないでしょ?」

「......確かに、そうかも?」

「それに、フランワさんが賢いなら()()にも気づくでしょ」


 そう言いながらリゼルは鍋を混ぜる。なんのことを指しているのか、最初はわからなかったレシアだったが、昇り経つ湯気を見てすぐに理解する。面倒くさがっているように見えるが実際はリゼル自身もしっかり考えており、考えた上で今必要な事をしているだけだった。それならそうと言うべきではあるが。納得のいったレシアは彼の案に従うように共に食事を摂ることにした。


「......そろそろ行こうか」


 食事を終えて小一時間が経った。後片付けも食後の休憩も済ませフランワの帰りを待っていたが、一向に帰ってくる様子はなく、本格的に迷子なのだと結論付けリゼル達は動き出した。


(と言っても、あてがないのは変わらんからなぁ......)


 声には出さないがリゼルは参ったような本音を漏らす。レシアには彼女が事前に探した捜索範囲の外を調べると説明はしたが、それでもこの森の広さを考えれば一日二日で見つけるのは難しいだろう。それこそ、食事の時リゼルが気にしていた行き違いが起きる可能性もある。そんな中、一人の女性を見つけ出すのは流石に無理があると歩き初めて数歩でリゼルは諦めかけていた。その気持ちも理解はできる。


(せめて、()()()()()()()()()、それか、どっか拠点にできる国でもあればなぁ......まあ、言ってもしゃーないか)


 叶うことない意味のない願望だと吐き捨て、リゼルは隣の彼女と同じ歩幅で歩き続けた。


 彼の願望が願い届いたのか、或いは豪運という名の偶然か。歩き始めて数分、リゼルとレシアの前にひとつの国が現れた。


「ようこそ、森林の国フォラスタへ」

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