森の迷子。
「助かりました〜。私も道に迷っていたので〜」
「それは良かった」
「良くないよ。俺らも迷ってるんだよ?」
助かった。というワードを聞いて嬉しそうに答えるレシアと、状況が良くなった訳じゃないと突っ込むリゼル。魔法使いの国を出て三日が経ったこの頃、彼らは森の中を彷徨っていた。
「でも助かったのは本当ですよ〜。私一人じゃこの森の中は危険でしたから〜」
伸びた語尾で喋るのは森の中で偶然であったフランワという名の彼女。モデルのように背が高く、目線がリゼルより少し低い程度の高身長。整った顔立ちに艶のある長く綺麗な緑の髪が特徴的な綺麗な女性だ。レシアが可愛い系なら、フランワは綺麗系だろう。
曰く、フランワは故郷への帰る途中で、見覚えのあるこの森の中に入ったところ見事迷子になったとの事。ちなみに森に入ったのは一週間近く前。故郷へ向かうどころか抜け道さえわからなくなってしまったようで、彼女が口にした通りリゼル達と出会わなければ色々危険だっただろう。
「別に俺らと一緒でも安全とは限らないだろ。それに、俺らが盗賊とかだったらどうするんだ?」
「リゼル、私達は盗賊じゃないよ」
「例えばね。例えばの話だね今のは」
「盗賊じゃないようなので大丈夫ですね〜」
「......もういいよ」
本当に見覚えのある森なのか、そもそも森なんぞどこと比べても変わらなくないか等の疑問から疑いの目を向け続けていたリゼルだったが、隣の美少女と目の前の女性の天然さから疑うだけ無駄だろうと溜め息を着いた。森の中で動くこと自体に警戒するのは当然として、リゼルとしてもフランワに対しては数少ないやり取りながら悪い人間ではないと思える部分はあった。どちらにせよという楽観的な考えもあるにはあるが。
「それで、これからどうするの?」
「どうするも何もないよ。フランワさんが道を覚えていたらそれで済んだ話だけどそうじゃないからね」
「ごめんなさい〜」
語尾のせいで緊張感がないが、彼女なりに申し訳なさはあるのだろう、リゼルの言葉に対してフランワは頭を下げて謝罪している。けれどリゼルもレシアも彼女を責める気は全くないので「大丈夫」と励まして話を進める。
「こういう時ってレシアは経験ある? あったらどうするか任せたいけど......」
「うん、任せて。まず、私達が来たのが東だから、その逆の西に向かって歩く。フランワさんが知ってる道を見つけたらそっちに逸れて、わかんなくなったらまた西に進む。これを繰り返して森の脱出かフランワさんの故郷を見つけよう」
「了解。まあ、最悪俺が上から出口探すよ」
「上から?」
「上から」
レシアが可愛らしく小首を傾げるように僅かに頬を緩めてニヤけるリゼル。気持ち悪いな。とりあえず進み方は決まったとリゼルは達は深い森の中を再び歩き出した。
「レッツゴー」
「レッツゴ〜」
「あー、そういうノリなんだ......」




