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彼の言い分。

「別に自分が加害者じゃねぇんだったら謝んなよ。馬鹿か」


 それまで黙って見ているだけだったリゼルが口を挟んだ。


「お前がどう思っていようと、この件に関してはお前は被害者だ。落ち度はあっても非はない。だから無駄な謝罪なんざすんな」

「いえ、僕が、最初から他人を頼るってことをしていればもっと早く解決できた話でしたし、オズさんをここまで困らせなかった」

「他人に頼らなかった被害者が悪いとかどこのクソ事件だよ。ふざけんな。つーか、お前が頼れなかったのはお前の問題じゃない。そういう状況まで追い込んだ環境の問題だ」

「環境の問題?」


 意味を理解出来ないと首を傾げるソロンに、リゼルはレシアとオズに一瞬視線を向けた後、呆れたように言った。


「魔法を使えないやつはこの世界じゃ人以下なんだろ?」

「それは.....っ」


 リゼルの一言を聞いたオズが言葉を詰まらせた。それは彼らがこの国に来て言われた最低な嫌味。もちろん、リゼルにこれを肯定するつもりはなく、今口にしたのもオズへの嫌がらせではない。ただの事実確認でしかない。この国における、魔法を使えない者への認識。そういう者たちの境遇に対しての。


「別に責めてるわけじゃない。ただ、こんなこと言ってくる国の誰にいじめの被害者が頼れるんだよ」


 魔法使い以外を見下し見捨てるこの国で、魔法が使えなくなるいじめを受けたと、誰に頼ればいいのか。頼れる相手などいなくて当然だろう。それがこの国の実態なのだから。


「ソロンに落ち度はない。嫉妬されるだけの天才に罪はない。被害者は悪じゃない。どこまで行こうと被害者は被害者だ。悪いのはいじめを実行したクソガキ共であって、お前が他人を頼れなかったのはそういう状況を作った国の問題だ」


 だからお前が謝る必要はない。と、最もな言い分を並べた。


「悪いのは僕です」

「まだ言うか」

「はい。このパンを届けてくれてたのがオズさんなら、僕はオズさんに助けられてたことになります。それなのに、オズさんに謝らせてしまいました......だから、悪いのは僕です」

「ソロン......」


 それでも、と譲らず言葉を返すソロン。意地と言えばただの意地だ。だが、その意地にもソロンなりの理由はあり、何より彼はその事に向き合っている。その意思がはっきりと伝わる眼差しからリゼルは目を逸らした。


「......そうかよ。当事者のお前がそこまで言うなら俺はもう何も言わん。好きにしてくれ」


 面倒くさいからか、或いは不貞腐れたのかリゼルは吐き捨てるように言った。その感情は悟られないようしてはいるようだが。


「なんでもいいが、これで俺らの依頼は終わりだな。行こうレシア」

「え、うん」

「じゃあなソロン。末永く幸せにな」

「ちょっと、あなた!」

「はい!」

「ソロン! あなたも何を言って」

「リゼルさんもレシアさんもありがとうございました!」


 顔を真っ赤に騒ぐオズとソロンの言葉を背に、リゼルは手を振りながら足早にその場を離れる。彼の表情がどこか悲しげなものだったのをレシアの瞳は捉えて。

リゼルにも色々あるんすよ。

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