女が書いた新書はゴミ
【GETUP!GETLIVE!漫才・コント大賞】応募用の漫才のネタです。
ボケ「いやな世の中だ」
ツッコミ「なんかあったの?」
ボケ「話すと長い」
ツッコミ「じゃ、結論から言ってみなよ」
ボケ「女が書いた新書はゴミ」
ツッコミ「何言ってんの!?」
ボケ「結論」
ツッコミ「もうこの話はやめよう?」
ボケ「ここでやめたら俺が時代錯誤のクズみたいだ」
ツッコミ「ということは、一から説明すればきちんと納得できる話なわけね……いや、どんな過程であれ、結論がアレならもうダメだから」
ボケ「話してみないとわからない」
ツッコミ「前向きな言葉だけど、この瞬間だけは後ろ向きであってほしかったよ」
ボケ「電子書籍のセールで新書をよく買う。そのときタイトルとレビューだけ見て、興味がわいた本だけを選ぶ」
ツッコミ「新書っていろいろとあるもんね。浅く広く学ぶには良いよね。すぐに読み終わるし」
ボケ「そこで新書を読んでいくうちに気づいたんだが……」
ツッコミ「気づかないでほしいことに気づきそう」
ボケ「読んでいてゴミだと思った新書の著者名を確認すると、必ず女」
ツッコミ「やっぱり!」
ボケ「絶対に女だと思って確認したとき男だったときには仰天さえした」
ツッコミ「なら必ずじゃないでしょ! 反証あるんだから」
ボケ「ほんとにゴミなんだもん」
ツッコミ「あんまり聞きたくないけど、どういうところをゴミだと感じるの?」
ボケ「憶測がすごい」
ツッコミ「エビデンスがないってこと?」
ボケ「この前、あまりにもおかしいと思って『かもしれません』『気がしています』『と思います』『おそらく』『のではないでしょうか?』『あるようです』『なのでしょう』にハイライトをひきまくった」
ツッコミ「その時点でヤバい感じは伝わってくるけども。どうだったの?」
ボケ「あまりにも量が多すぎて読むのを途中でやめた」
ツッコミ「ええ……」
ボケ「電子書籍には人気のハイライトを表示させる機能があるから、他の人の端末でも真っ黄色になっている」
ツッコミ「そんなことに線を引くのは君だけだから人気にはならないでしょ。な、ならないよね?」
ボケ「あと平気で私怨を挟む」
ツッコミ「私怨?」
ボケ「前にいた上司への嫌味とか政権への皮肉とか。専門分野をわかりやすく解説するための構成で突然エッセイにしてくる」
ツッコミ「いやあ、たしかに抜粋して聞くとアレだけども、女性が書いた新書のすべてがそうってわけじゃないでしょ?」
ボケ「俺はそんなこと言ってない」
ツッコミ「なんだったっけ?」
ボケ「女が書いた新書はゴミ」
ツッコミ「きちんとはっきりと言ってるよ! 取返しのつかないレベルで!」
ボケ「話はまだ終わってない」
ツッコミ「え? 女性の書いた新書がゴミだからいやな世の中だと言いたいんじゃ?」
ボケ「そんなわけないだろ。差別主義者か」
ツッコミ「めちゃくちゃ僕の言葉だよそれ」
ボケ「ゴミな作品はいくらでもあってもいい。作者と出版社に殺意がわくけど、それでも生きてもいい」
ツッコミ「なら何がだめなのさ」
ボケ「おまえ」
ツッコミ「え? 僕ぅ?」
ボケ「正確にはおまえのような人類」
ツッコミ「僕のような人類っていうと、僕が人類じゃないみたいだけど」
ボケ「俺の読んだ本のなかでゴミだと思った著者はひとりを除いて全員女であったという事実を公表してはいけない雰囲気を醸しだす人類とおまえ」
ツッコミ「僕も人類だからまとめていいよ! ええ? 差別って言われるのがイヤってこと?」
ボケ「差別なんてとんでもない。俺は著者の性別を気にせずに購入してこんな目に遭ってる。むしろ差別をしなかったために時間と金銭の損失を被った被差別者だ」
ツッコミ「ヤバいヤバい……」
ボケ「インターネットで調べても出てこない。『女が書いた新書はゴミ』と調べても何も出てこない。この世には大勢いて、ひとりぐらい言ってもいいのに、言わない」
ツッコミ「言うわけないし検索が下手!」
ボケ「見渡せば他の本の感想だってそうだ。それでいいのか。作者がエゴサーチで見ているかもしれない、好きな人が見ているかもしれない、不快にさせるかもしれない、炎上するかもしれない、その配慮で口をつぐんで、自分の気持ちを押し殺していいのか」
ツッコミ「いいよ、それが平和だから! 平和のために圧殺して!」
ボケ「それに。好きなものの好意的な感想がなかったときみたいに、俺はかなしかった」
ツッコミ「それは……そうだね……一生かなしむといいよ」
ボケ「いやな世の中だ。だけど俺は、俺だけは、この世にあらゆる角度の感想を残すんだ。だれもひとりぼっちにしないために」
ツッコミ「ええっと、つまり?」
ボケ「女が書いた新書はゴミ!」
ツッコミ「圧殺して!」