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第1話 まさかの連載

文字数が多くなったので、2話に分けております。

私の備忘録も兼ねております。

取材前


「なぜ伏見稲荷大社への取材を?」


 そんな質問を読者さんからもらえたら良いなと思っておりますが、そもそも伏見稲荷大社への取材なんて誰にも言っておりません。


 当然ながら誰も聞いてくれないので自分で語ります(笑)


 それは私が物の怪の話しを書こうと思ったからです。物の怪なら近所の伏見稲荷大社がいいよね。取材にも行きやすいし。


そんな単純な理由に行き着いたのは、北陸オフ会で「物の怪が出てくる話を書こうと思っているのです」と話す先生がいたからです。


 それと「異世界は幸せ(テンプレ)に満ち溢れている」担当の、仲良し編集ルナさんから「今の流行は物の怪ですよ! 京都ですよ! 伏見稲荷ですよ! うっちーさんは京都に住んでるから、いっぱい書けますって! 取材も出来るでしょ!」と昔っからアドバイス(?)を覚えていたのも後押しになりました。


 そして北陸オフの帰りであるサンダーバードの車内で1話を書き上げた私は、調子に乗って一気に5話まで書いてみたわけです。いつもなら、我慢しきれずに公開するのですが、今回は奥さんや知り合いに見てもらおうと考えました。


 そして感想をもらう度に手直ししつつ執筆をしてました。順調に修正をしながら(現在進行中です)、続きを書こうとしたのですが問題が発生しました。


 行き詰まったわけです。


 出だしの部分は良いのですよ。まだ、主人公は宿泊先から出ずに進みますから。そこに京都要素を埋め込ませつつ、阿闍梨餅や緑寿園紫水の金平糖など、私のお気に入りを出して誤魔か――お茶を濁す事には成功していたのです。


 でも限界です。


「ダメだ、このままでは『伏見じゃなくても良いですよね?』や『妖狐を出せばいいと思ってません?』とか『ストーリーは相変わらずテンプレですね』などの感想が来るかもしれない!」


 まて! テンプレのなにが悪い! どの物語にもテンプレはあるんだよ! 物語からテンプレを抜いたら話しが進まないでしょうが! そもそもテンプレとは王道であり普遍的な安心感があるのですよ! それを――


 ……。すいません。ちょっと興奮してしまいました。


 まあ、要するにネタが切れた訳ですよ。(おい)


 だって! ファンタジーなら脳内ワールドで強引に書けるけど、現代物は多少ぶっ飛んでてもOKとはならず、少しでも信憑性を持たせたいじゃないですか! ネットと本で仕入れる情報では限界があるのですよ!


 そこで閃きました。


「そうだ、伏見稲荷大社に取材に行こう」


 タイトルにもある『自腹取材で奥さんと伏見稲荷大社へ行ってきた』になるわけです。やっとタイトルの一部が回収できました。ホッと一息です。やったね。


 そして残りの『奥さんと』部分です。


 なんで伏見稲荷大社に一人で行かないとダメなんだ? デートスポットでもあるからね? 1人で行って、「あのおっさん、1人で伏見稲荷大社に来てるぞ」「おもかる石を持って『やったー。願いがかなうー』とか叫ぶのかしら?」と周りのカップルからプークスクスと言われるかもしれないのですよ(作者の個人的な感想です)。


 主人公は一人で伏見稲荷大社に行かせましたが、それは物語上であり仕方なくなのです。


 なんで私が男一人で「わー。プリンアイスが美味しそう♪」とか「冷凍ミカンを袋詰めで売れるの?」や「かに肉棒(私の目にはカニカマが棒に刺さっているように見える)に興味がぁぁぁぁ!」「おぉ! あれが雀の炭火焼き(伏見稲荷では有名)か。高っ! 500円って高っ!」とかしないとダメなのよ! 冗談じゃないわ! (なぜお姉口調?)


 そこで私は考えました。「そうだ。奥さんを連れて行こう」名案に気をよくした私は作戦を考えます。土日が関係ない職場に働きに出ていて忙しい奥さん。その変則的な休みを調整して私と伏見稲荷大社に行ってくれるだろうか?


 結婚して20年近く経つ(上の子が高校生だからね? いい年なのですよ)ので、デートの誘いを改めてするのは緊張が走ります。


 意を決した私は、洗い物をしている奥さんに緊張を押し殺して誘ってみました。


「ちょっと取材で伏見稲荷大社に行きたいから付いてきてくれへん?」


 誘い方! デートの誘い方じゃないよ!? え? 取材だから普通だろだって? 知ってるよ!


「いいよ。いつ行くの? 土曜やったら仕事も休みを取るようにするよ?」


 あれ? 軽い? 休みは家や子供の用事をこなしていて、ユックリ出来ないと嘆いていたよね? ひょっとして執筆中に「うーん。リアリティがなーい!」と嘆いてたのを覚えててくれたのかな? そんな奥さんの気遣いに涙を流しそうになりながら(そこまでではない)ワクワクして日程を伝えると、奥さんもお昼ご飯の場所や伏見で帰る和菓子などを調べ始めます。


「丸もちの中にあんこが入っているお店があるよ! 他にも――」


 意外と奥さんがノリノリだ。ひょっとして息抜きが必要なのはお互い様だったとか? まあ、私はネタが切れた訳ですけどね! それがなにか? 


 デート(取材)の日程を決めて、あとはその日を待つだけになりました。あれ? 土曜日雨が降りそう……。


 ◇□◇□◇□

 当日


 私は俗に言うと「晴れ男」であす。今まで遊びに行って雨が降ったのは数えるほど。そんな私の能力が発動したのか、当日は曇り空。念のために折りたたみ傘をセッティングして戸締まりの確認です。


 2階で上のお兄ちゃんが夜遊び(スプラトゥー○2のガチエリアを夜明けまでやってた)疲れで、グースカと寝ているのを放置して鍵を掛けると出発です。


 最寄りの駅から京阪伏見稲荷駅までの切符を買います。奥さんが財布を出そうとしているのを「1万円を崩したいから」と言って、無駄にドヤ顔をして押し止めて切符を購入します。


 これぞ、相手に財布を出させない作戦! (そのままです)


 そして、京阪電車の中で「小説家になろう」と「小説を読もう」の広告を楽しみながら伏見稲荷駅に到着しました。駅に降りると柱がオレンジです。さすが伏見稲荷の鳥居カラー! (ちなみにJR稲荷駅の柱もオレンジです)


 構内には「ふしみいなり」と書かれた看板があちらこちらにあり、伏見稲荷大社周辺のマップが描かれております。駅を出てすぐに観光客も多く、家が近所なのに混んでる時間帯に来た事がないなー。と思っていました。


(過去に薄味メロン先生とデート(デート?)をした事はありますが、その時は7時くらいでお店は開店準備すらしてませんでした)


 そして、伏見稲荷大社に向かっていくと、お店、お店、お店のオンパレード。喫茶店やパン屋さんがあります。どこも美味しそうですが、さっき朝ご飯を食べたばかりです。涙を飲んで通り過ぎます。


 そしてガチャガチャを見付けます。かなりの「お稲荷さんきつね」推しです。6個並んでいるガチャガチャの内、4個がそうです。残りの1個はポケモ○関係ですが、京都の観光名所が入っている中にポケ○ンがいます。


 そして、全く関係ないのがドラえも○です。普通にドラえ○んとドラミちゃ○の6種類です。さすがは国民的大スター。そんな的違いな関心をしていると、奥さんが話し掛けてきます。まさかドラ○もんの人気に感心していたとは言えず。


「お稲荷さんきつねが多いなと思って」


「ほんまやなー。こっちは巾着のガチャガチャがあるよー」


 ほう。それは題材として妖狐を出すつもりの私としてはやらねば!


 無駄な使命感をむき出しにして、100円玉を3枚握りしめるとスタンプが出てくるガチャガチャを回します。子供が小さい頃以外でガチャガチャするのも久しぶりな気がします。出てきたのは鳥居をバックに背負い、稲を咥えたお稲荷さんきつねです。


 やだ、本気で可愛い。


 1人でホコホコしているのをじっと見ている奥さん。私は黙って100円玉を奥さんに差し出します。戸惑っている奥さんの手を握って300円を渡すと、巾着のガチャガチャを回し始めます。笑みを浮かべていた奥さんの顔が困惑に変わります。


 そしてお約束のように出てこないガチャ玉。なんどか悪戦苦闘しているのを見かねた私が変わると、勢いよく「ぐらぁぁぁ」と擬音が出る感じで回します。


 抵抗空しく敗れ去ったガチャガチャは力尽きてガチャ玉を吐き出します。ふっ! 最初から抵抗せねば苦しまずに済んだものを。


 などとは特に考えずに、ドヤ顔で奥さんにガチャ玉を手渡します。巾着は伏見稲荷のきつねさんが描かれた小物を入れるのに丁度良い大きさでした。


「まさか、出えへん(でない)とは思わんかったわー。なんに使おうかなー」


 可愛らしい絵柄を見てニコニコしている奥さんを眺めながら、旅先ではいつもどちらかが落ち担当になっているなーと感じつつデート(取材ですよ?)を続けます。


(まさかの続編!?)

まさか伏見稲荷大社にたどり着けさえしないとは……。

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